00:00 OP
00:30 ストレスの原因
02:58 いつからストレスを受け始めるのか
04:00 現代の日本は
04:56 どれくらいの人が悩んでいる?
06:47 ストレスの特徴
08:49 ストレスへの対処
10:26 集団の循環
13:01 前兆
本日は「日本社会のストレスや特徴」を質問形式でお答えしていこうと思います。
■ストレスの原因
まずストレスの原因はどんなものかということです。
よくある日本っぽいストレス、皆が意識している原因は何かと思うと「世間体」です。
とにかく「周りの目」。
周りから見てどう見えるのか、そういうものをすごく意識しています。
医局から見てどうなのかとか、医師の間での評判はどうなのか、本当に医者の世界もそうです。
患者さんからの評価よりも、医師の中での評価の方を気にします。日本の医者は。
医者が求めるのはお金よりも医者の中での評価です。
年収よりも、医師の中でどう見られているのか、同級生とか、先輩後輩からどう見られているのか。
学問的にどうなのか、医局的にどうなのかを重視する医者が多いです。
これは本当にそう思います。
それは医学の世界だけではありません。
会社の中での評価、狭い業界での評価をすごく気にしたりします。
そういう世間体をすごく重視する。そこでの一喜一憂が多いというのが、日本という狭い国の特徴かなと思います。
そこでいつも「自己嫌悪」に襲われるんですね。
これに比べてダメだとか、自分はダメだと。
世間を気にするわりには、自分のことばかり考えます。
相手が悪いと思う人もいるのですが、どちらかというと世間と比べて自分はダメだな、こう見られているから自分はダメだなと思いがちです。
患者さんは相手を責める人も時々いますが、ほとんどは自分のことを「自分はダメだ」と思っています。
何であなたは劣等感をそこまで感じなきゃいけないんだろう、という人まで劣等感を感じて悩んでいます。
そして「べき論」です。
こうすべきなんだとかそういう思いに囚われている人が多いです。
かくあるべし、みたいなものがすごく日本にはあるんだろうなと思います。
美意識としてあるのでしょうね。
武士たるものこうあるべき、女性たるものこうあるべき、そういうべき論というのがいくつかあります。
対立するべき論もあるけれども、そのべき論をすごく重視する。
それがないととても不安になる、というのが日本的な特徴です。
■いつからストレスを受け始めるのか
いつからストレスを受け始めるのかというと、最近の人たちの話を聞くと、母親と友達になってからかなと思いますね。
母親に甘えられない、親に甘えられないようになってから、ストレスを感じるようになるのかなと思います。
日本やアジアの国というのは、基本的には子供は神聖なもの、大事なものとして徹底的に甘やかされます。
けれどもある瞬間から上下関係ができて、親は敬わなければいけない、迷惑をかけてはいけないという風に、親に気を遣うようになります。
気を遣うようになってから、いろいろなストレスが始まります。
親もどこかのタイミングで子供と思ってたものから対等な友達のようになって、母親の愚痴を聞かされる子供たちみたいなものが生まれてきたりすると、それがストレスの始まりです。
■現代の日本は
現代の日本は、ストレスあるいはストレスの原因となるものは多いのかということですが、多いと思います。
それは時代の変わり目だからです。
今までは人口が多くて、労働人口も多くてイケイケだったのが、どんどんいけなくなってきました。
今までも高齢者は多かったけれど、まだまだ現役の人たちも多かったのが、いよいよ本当に働けなくなってくる。お年寄りたちが働けなくなってくるので、日本は変わらざるを得ないです。
色々な意味で変わらざるを得ないと思うので、ここのタイミングはすごくストレスが多いと思います。
今も変化は多いですが、今まで以上に多くなると思います。
現代日本というのは今まで変化をしてこなかった分、多いんじゃないかなと思います。
■どれくらいの人が悩んでいる?
ストレスにかかっている、あるいは悩んでいる日本人は、何%ぐらいが医者の助けを求めるのかということです。
何%かというのはデータがないのでわからないのですが、精神科を年間400万人が受診していて、これはだいたい人口の3.3%です。翌年にも400万人くらいいて、少しずつ増えています。
少しずつ入れ替わったりしているので、生涯で精神科を受診する人はもっといると思います。
ちなみにこのチャンネルの登録者数は30万人います。
400万人中、7~8%が登録しているとすると、精神科を受診する人たちの1割以上がおそらく僕のチャンネルを見たことある、ということになっています。
それはどういうことかというと、日本の人たちが勉強熱心だったりするということと、あとは「聞けない」ということです。
他の人に聞けないから、動画を見ることで相談しようとしている。
他の人に相談できない、身近な人に相談できないのでインターネットの情報を見たり、匿名の中でコミュニケーションすることで安心感を得ている、ということなのかなと思います。
こんなの世界的にないですからね。
こういうチャンネルがあるのは日本っぽい特徴かなと思います。
いや、海外にもありますが、僕みたいなチャンネルは少ないということです。
■ストレスの特徴
ストレスの特徴というのは何かというと、日本のストレスというのは「穢れ」「恥」「忖度」です。
ちょっとでも失敗する、ちょっとでも何か悪いことがあると、それはけがれているものだとして排除する方向に行く。
ちょっと傷ついたものでも使っていこうよとか、ちょっと泥は付いたけど大丈夫だよ、という発想がなかなか持ちにくいです。
モノにしても商品にしても、組織にしても、そして自分自身についても、何かちょっとでも泥がついたもの、一度失敗したものを自他共に排除しがちだということです。
あとは「恥」をすごく重視します。
武士は名誉を重視するので、恥をかかされるのを死よりも恐れるというか、恥をかいてはいけないと思っている。
日本人は恥を恐れるんですよね。
人から悪く思われたくない、人からバカにされたくないという思いが強くて、がんじがらめになっている。
そして武士の国なので上を立てなきゃいけない、君主を大事にしなきゃいけないということで、忖度の国です。
別に腹の底から尊敬しているわけでもないんですよね。
上司はバカでもいいんですよ。
上司は愚かでもいい。ただ、自分はその愚かな上司を立てる、ちゃんと忠義がある、というところに美意識があります。
上がダメでも、そのダメな上司を支える自分はかっこいいみたいなのが、日本の良くも悪くも美意識。長く続いた江戸時代の美意識です。
今でも部下というのは、上司の気持ちを常に考え続ける忖度の文化がある。
それがストレスかなと思います。
これは他国、他民族とは違うのではないかと思います。
■ストレスへの対処
日本人はそのようなストレスにどのように対処しようとしていますか、ということですが、「自己破壊的」です。
ストレスが溜まってくると、排除する。
1回使ったものを捨てる、使い捨てのような要素がある。
それは自分自身に対してもそうです。
自分はもうダメなんだと言って切腹をするというか、壊してしまう。人間関係も切ってしまう、SNSも全部消してしまうリセット癖みたいなものがあったりします。
本当に自分を破壊する、そして距離を取るみたいなところがあります。
ちょっと劣等感はあるけれど、まあ自分はバカなんだなと思いながらヘラヘラと友達と遊んでおけば良いのに。僕もそうですよ。僕もダメな奴だなと思われていますからね。
同級生からダメな奴だと思われて、ダメな奴と思われているから自衛隊をすぐ辞めているし、ダメな奴だと思われているから今でも遊んでくれるというか、仲良くしてもらえるというか。
僕も別にダメな奴だということを受け入れているというか。
そうなのですが、そこを切ってしまうというのがありますね。
ただまあダメな奴だと僕は自分のことを見限っている、という意味で、自己破壊的だと思ったりします。
自己破壊的なものとして自傷も多いですし、自己破壊的な発散なので、性風俗とかアルコール、ギャンブルというものが多いなとは思います。
■集団の循環
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早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
【自己紹介】
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 https://www.medsi.co.jp/products/detail/3509
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb130991f3fa4
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