後継者不足とコロナ禍にあえぐ岐阜県の温泉地。
救世主となっているのが、地熱発電所なんです。その理由とは。
(大石アンカーマン)
「名古屋から車で3時間半。北アルプスの麓にある奥飛騨温泉郷にやってまいりました。このあたり温泉エリアが広がっているんですが、今まさに、この温泉地で地熱発電が盛んに行われているんです」
岐阜県高山市、北アルプスの山々に囲まれた奥飛騨温泉郷。
平湯温泉や新穂高温泉などがある、東海地方有数の温泉地です。
ピーク時には年間114万人ほどの観光客が訪れていましたが、後継者不足などの影響で宿泊施設そのものが減り、2019年には、およそ60万人に落ち込みました。
さらに…
(大石アンカーマン)
「こちら温泉の案内図ですけど、白いテープが張られています。廃業した所なんですかね」
コロナ禍が追い打ちをかけ、多くの宿泊施設が廃業の危機に。
そんな中、温泉の地熱を生かして再起を図る地域があります。
焼岳などの山々が一望できる中尾温泉。
(大石アンカーマン)
「いい湯かげんですね」
保温効果が高く、湯冷めしにくい泉質が特徴です。
コロナ禍の危機的状況から中尾温泉を救ったのが…
地熱発電所から供給される温泉です。
(大石アンカーマン)
「こちらに巨大な煙突があって、白い煙が立ち上っています」
(中部電力グループ シーエナジー 西村和哉さん)
「こちらが井戸になります。出てきている流体の温度がピークで150℃程度」
こちらの発電所では、マグマで熱せられた蒸気と地下水を、地下1500メートルからくみ上げて分離し、蒸気の力でタービンを回して発電します。
(中部電力グループ シーエナジー 西村和哉さん)
「こちらがタービンになります」
(大石アンカーマン)
「もっと大きいものをイメージしてました」
(中部電力グループ シーエナジー 西村和哉さん)
「意外と小さいですね。コンパクト」
1分間に約6000回転するタービンによって最大 約2000キロワット、1年間に約4000世帯が使う電力量を賄うことができます。
通常、発電所で蒸気と分離させた地下水は、枯渇を防ぐために地下に戻しますが…
(大石アンカーマン)
「発電所の一角に、お湯がでていますね」
この地熱発電所では、くみ上げた全ての地下水を、温泉として近くの旅館などに供給する全国でも極めて珍しいシステムを整備しました。
毎分およそ1200リットルの温泉水が供給され、時期によっては、中尾温泉全体で使うお湯の最大8割程度が、発電所からだといいます。
(大石アンカーマン)
「この熱水はどんな存在ですか?」
(中野温泉 うちのペンション 内野政光さん)
「このお湯は宝物ですね」
「宝物」と呼ぶ理由は…
2023年5月18日放送 CBCテレビ「チャント!」より