古来より、穢れを祓うものとして神事に使用され、伝統文化・芸能の場でも広く扱われてきた麻。伊勢麻は精麻の生産を通じ、麻の伝統的価値を訴求し、国内で安定的に供給することを目指しています。
日本で縄文時代より生活を支える産業として、全国で栽培されてきた麻は、薬物として使用できない種ですが、厳しい規制を受け国内生産は縮小。現在、国内の生産は栃木県の数軒と、伊勢麻のみで、神事に使用する麻は海外製を使用する例が多いといいます。
栽培免許は都道府県ごとの判断。三重県では県内の祭祀で使用する場合のみと栽培目的が限定され、さらに防犯対策コストが過大。共同代表 松本さんは、この規模では事業の維持が困難であると話します。
松本さんは三重県の規制の厳しさを受け、「伝統的価値を安く見積もっている」ことを懸念し、「このままでは麻の伝統が繋がっていかない」ことに警鐘を鳴らします。伊勢麻の共同代表の谷川原さんは、畑に種を蒔いてから皮を剥ぎ、質の良い精麻に仕立てるまで、常に麻の発酵状態を優先して作業を進めています。自然を相手にした作業は、五感を研ぎ澄ました真剣勝負でなければ良い結果にならないと話し、一朝一夕には習得できないセンスを次世代へ伝えていかなければ、文化が途絶えてしまうといいます。生産農家が年々減少するいま、伊勢麻の取り組みの発展が望まれています。
伝七ステーションは三重県の魅力を「受け継がれた人の想い」と捉え、SDGsの観点から地域ならではの持続可能性を映像を通じて発信します。
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