「あ、あの!」
目が隠れる程伸び切った髪に、お世辞にもお洒落とは言えない服装のおどおどした男
それが彼の第一印象だった
普通なら街中で突然声をかけられても、進んでる足を止める事さえ無いのに
不思議と話を聞く為にその場に立ち止まってしまった
真面目そうな見た目と俗に言うナンパをする行為の相違性によるものか
彼の唯ならぬ表情への違和感か
その直後、彼から発せられた不可解な言動からか
「僕のこと、あ、その、忘れちゃってるかな?」
顔も名前も声も、全てに覚えが無いこの男に
どこか懐かしさを感じるのは何故だろう
「『時計台の下で人を待つと少しの遅刻も見逃せないんだよ』」
知らないと跳ね除けて、背後から静止させようとする声を受けて、何度も歩みを止めそうになる理由が、この少し後で彼と再会した時に分かるのだろうか
彼の理解し難い説明が心にストンと落ちて、どこか納得できる理由が、私の行く先々で偶然出くわす彼の言葉で分かるのだろうか
何の見返りも無く私を助けてくれる彼の背中を見て涙が溢れそうになる理由が、この物語の最後にわかるのだろうか
「私、ナンパなんて嫌いだと思うから、もし貴方の事を知らない世界に迷い混んだら、最初に出会った日の事でも話してくれない?」
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