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00:00 OP
00:50 愛着形成
06:02 見捨てられ不安
07:57 ケース紹介(創作)
14:15 治療
本日は「愛着形成から来る見捨てられ不安」というテーマでお話ししようと思います。
「見捨てられ不安」は初めて聞いた方もたくさんいると思います。
「愛着形成」も初めて聞く方が多いと思うので、それらはどういうものなのかを解説しつつ、実際の臨床はどういう形で治療していくのか、創作ですがお話ししようと思います。
毎週火曜日は、人間関係の悩みから来る精神疾患というテーマでお話ししようと思っているんですけど、今回は見捨てられ不安をお話ししようと思います。
■愛着形成
まず愛着形成ですね。
愛着形成とは何ですかということなんですけども、ざっくり言うと、子供の時にしっかり親子の間で愛情関係が結ばれなかったことです。
「愛着」というのは何かというと、母親からきちんと適切な愛を受けて、自分も母親に愛を返す。
この上手い循環を行うことを愛着形成と言ったり、それがうまくいかないと愛着形成の失敗と言ったりします。
それが上手くいかなくて暴れちゃう子とか、社会適応が難しい子たちを愛着障害と言ったりするし、それが大人になっても続く場合は、「大人の愛着障害」みたいな言い方をしたりします。
そもそも人間というのは不完全な状態で生まれてくるんですね。
他の動物みたいに生まれた瞬間から立てるとかそういうことはなくて。かなり未熟な状態で生まれてくるんですよ。
それはなぜかというと、人間の脳みそは巨大過ぎるんですよね。
キリンの首が長すぎる、サーベルタイガーの牙が長すぎるみたいなのと一緒で、人間の脳は大きすぎるんですよ。
生物としてはちょっと変な進化の方向に行っているんですよね、恐らく。
だから本来だったら絶滅しますね。大きすぎてバランスが悪いから。
だけどたまたまうまくいっているという感じがします。
人間は脳が巨大すぎるがゆえに問題を色々引き起こしている、というのがある種の考え方なんです。
人間の脳は大きいので産道を通過できないんですよね。人間は立って歩くようになって、骨盤が小さくなっているんですよ。そこに脳が巨大化しているものだから出産がメチャむずいんですよね。
出産がなかなかできないし、命がけなんだけれども、もう一つのやり方としては成長させる前に出産するというやり方をした。
だから人間というのは未熟な状態で子供を産むことを選択した動物なんですよね。なので不完全な状態で生まれる。
そして脳みそというのは凄いんですね。
人間の脳は20年以上かけて成長し続けますからね。
人間は脳みそがずっと成長し続ける動物なので、そういうことが起きている。
30歳くらいまでには完成して、そこから成長はしないまでも知識は増えていったりするわけだからすごいですよね。そんな動物なんですよ。
だから生まれた後もきちんと育てなきゃいけないんですよね。
母子を中心とした養育がとても大事な生き物です。
きちんと子供の時に育てていく、思春期の時にきちんと育てることをしないとうつ病になりやすいことはもうわかっている。
虐待があったりすると、うつ病、アルコール依存症や各種依存症になるリスクは上がることはもうわかっている。
その時のストレス状況が、将来における成長に悪影響を与えていることはもうわかっているわけですね。
じゃあ母親の責任なのかというとそれだけじゃないんですよね、もちろん。
こんな重要な役割を母親だけ一人に担わせることなんか無理です。
そもそも人間というのはチンパンジーとかと同じで、群れの動物なので、チーム制で子育てをしてきたと考えられているんですね。
本来チーム制で育てるんだけれども、今日では核家族化してチーム制を取らなくなってきているんですよね。
なのでいろんな問題が起きているということかなと思います。
緩やかなチーム制は取っているんですよね。
保育園、幼稚園、小学校、あとはお金の手当てとか、税金的な手当てもなくはないわけで。
だから緩やかなチーム制は取っているんだけれども、そうは言っても昔のようなやり方ではなく、うまくいってるケースもあればうまくいかないケースもある。
なので実際、子供を産んでいないですよね。どう考えても少子化になってるわけだから、子供を産めなくなっている。
チーム制がうまくいってないので、子供を産めなくなっていると考えます。
■見捨てられ不安
愛着とはそういうことなんですけど、そこでうまくいかないと「見捨てられ不安」というのが起きるんです。
見捨てられ不安になる人もいる。
見捨てられ不安とは、自分の好きな人が私のことを捨て去るんじゃないかと思うわけです。
ちょっとした一言、ちょっとしたケンカ、「もうお前いいよ」「嫌いだよ」とか些細なことを言うわけですよね。
ちょっとした摩擦や対立は絶対起きるわけですよ。別の人間だからね。
「もういいよ」とプイッとしたり、腹が立ったりしたらちょっとトイレに籠るとかすると、そのちょっとしたすれ違いや摩擦、対立に対して過度な不安を覚えるんですよね。
もう自分は捨てられるんじゃないか。自分はもうこの人を失ってしまう。嫌われてしまったんじゃないか。もう永遠の別れなんじゃないか。この人を失ったら、自分はもう生きていけないんじゃないかみたいに思うわけです。これを見捨てられ不安と言ったりします。
よく例えられるのは、母親を失う赤ん坊のようなものと言ったりしますけれど、そういうことが大人になっても起きるということですよね。
そういうものを持ってしまう人っていうのがいる。
重症な人もいれば軽い人もいますよ。でもそういう人たちがいて、生きるのに苦しくなって生きづらくて精神科を訪れることは珍しくないですね。
見捨てられ不安がある人で診断されているのが多いのは「境界性パーソナリティ症」、「摂食障害」、「うつ病」、「双極性障害」、いろんな疾患で見られる心情かなと思います。
■ケース紹介(創作)
創作のケースに移りましょう。
A子さん、30代~40代女性にしようかな。それぐらいの女性です。
おとなしい人で、両親は離婚していて母親は働き者で遊ぶのも好きな人です。
友達のような親子でいたいよねと言うタイプの女性。編集者みたいな感じです。
父親からいくらかの養育費があったり、時々お金をもらえる。お小遣いをもらって時々会えるみたいな形ですよね。表面的には仲のいい、うまくいっている母子家庭のように見える。
小中とおとなしい子供でいい子だったんだよね。
母親が友達のような関係でいたよねということで、何て言うのかな、お母さんを支えなきゃと思ってしまうわけです。
だから子供の時からうまく甘えられないし、お母さんをフォローしてあげなきゃと頑張ってしまう。
実際いい子でいるし親からも褒められるから、それを苦としていない、楽しい。
それでだんだん過ぎていくんだけど、中高時代からやはり自分が適切に甘えられなかった、愛着形成がうまくいっていなかったことに気付く。そういうことがちょっとわかってしまうというか、無意識的にうまくいかない感じですね。
友達との関係においても、常に一歩引いて大人として振る舞ってしまう。
友達をフォローしてしまう、対立や摩擦が起きた時にこちらが譲って相手をフォローしてしまう。常に話の聞き役、相手のことを褒めてあげる。自分の自慢話はしないとかね。うまくやっちゃう。
そうするとやはり無理がかかって、子供ですからね。食べられなくなっちゃうと摂食障害みたいになっちゃうんですよね。
何で食べれないんだろうとかなってしまう。
だけど、この子のすごいところは自力で治してしまうんですよね。だから高校時代は摂食障害みたいなことあったけども、大学時代で治す。
今度は大学時代に入ってくると、自分を分かってくれる人はこの人なんじゃないかと恋愛をしてしまうんですよね。
恋愛をする度にすごく激しい恋愛になってしまうんですよね。
普段はおとなしい子なのに、付き合うと彼氏の前では豹変してしまう。
すごくわがままを言ってしまったりする。試し行動をしてしまう。
もうあんたなんか別れるんだから!と言って自分の家に来てもらうとか、SNSとかでごめんごめんと言って必死に謝ってくれないと満足できないとか、そういうことをしてしまう。
何人も付き合ったり別れたりを繰り返す。
最初のうちは彼氏も付き合ってくれるんだけど、途中から付き合いきれなくなって別れる。
別れたあとは酷い罪悪感に襲われたりとかする。
あとは付き合ってる最中に喧嘩があると別の男性のところに行っちゃう。女性のほうから浮気をしてしまう。
若いとモテちゃうからね。そういうことが起きてしまう。
そういう形なんだけれども、彼氏でアク抜きをしていくような感じでもあったわけですよね。
見捨てられるんじゃないかとか試し行動をしながら、人間とは何かとか愛情を取る距離感っていうのをやる。
彼氏にはめちゃ悪いよ。向こうに対してはめちゃくちゃ申し訳ないなと思いつつもやってしまう。
小さい体のうちに母親とやっていた喧嘩みたいなもの、やるべき喧嘩とか体が小さいうちに友達とやるような喧嘩みたいなことを、全部大人になってから一気にやっちゃうわけですよ。
この20代の何年かのうちに、彼氏との間で全部やり直すという感じですよね。
だから彼氏にとっては大変というか、すごいことになるんだけど、まあアク抜きみたいなことをしちゃうということですね。
それで、自分の情緒が不安定だからなかなか合う人がいないんですね。感情の起伏も激しいし。
そうなってくると、何事にも動じない、常に一貫している人を好きになっていくことが多いですね。そうするとASD傾向のある男性とこの人の場合は結婚したということですよね。
発達障害っぽい人はなんか変わらないし、こっちの細かい情緒には触れずに一貫した態度を取ってくれるので、この人頼りがいがあると思って結婚になる。
子供もそうするとASDっぽくなっているというケースですね。
結構あるあるなんですよ。こういうのはよくあって。
大人になっていくと彼氏の問題とか、色々時を経て愛着の問題は解決していく。
見捨てられ不安もある程度解決していく。
そういう中で、今度は物理的な問題が起きるわけですよね。
あれ全然うちの旦那家事手伝ってくれない、全然子供のことわかってくれてないなとか、子供が発達障害の問題があって、夫婦で協力してやらなきゃいけないのに、全然協力してくれないなとか。
そもそも母子家庭で育っているから、チーム制の子育てを体感的にわかっていなかったりするんだよね。
だからどうしたらいいんだろうという形で自分で自分を追い込んだりしてうつ状態になってしまう。
カサンドラ症候群みたいになってしまうということですね。
発達障害の人と結婚したパートナーの人がうつになることをカサンドラ症候群というんですけれども、こういうケースは実際よくありますね。
臨床上めっちゃあります。
■治療
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https://wasedamental.com/youtubemovie/7622/#c01
#精神科医 #益田裕介 #オンライン自助会