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ルームツアーで人気の家を見て「デザイン」と「性能」のバランスを考える

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今回はルームツアーで人気の家を見て「デザイン」と「性能」のバランスについて解説します。 現在のYouTubeでは、ルームツアー動画の人気が高まっています。私もよく参考にするために視聴していますが、先日ルームツアーの流行について松尾先生が興味深いことをおっしゃっていました。そのお話をもとに、今回は家づくりにおいて重要な「デザイン」と「性能」という二つの要素について考えてみたいと思います。 松尾先生によると、現在のルームツアーでは様々な家が紹介されていますが、特に目を引くのは「意匠性」、つまりデザイン性の高い住宅だということです。例えば、非常に洗練されたデザインや、細部にまでこだわった超絶技巧が施された住宅が多く、そうした家は注目を集めやすいため、再生回数も伸びているのが現状です。しかし、再生回数が多い動画の住宅をよく見てみると、断熱性や気密性といった性能面では評価が低い、場合によってはほとんど考慮されていないものもあります。それにもかかわらず、ルームツアーで注目されることによって「この家こそが良い家だ」という風潮が再び強まってきていると指摘されていました。 とはいえ、最近では消費者の意識も高まり、単にカッコいい家というだけではなく、「この家はデザインは良いけれど、断熱性が低そう」といった鋭いコメントをする方も増えてきています。一般の方々の住宅に関する情報の成熟度は確実に向上していますが、それでもなおデザイン性ばかりが注目され、性能が二の次になってしまうケースがあるのが実情です。そのため、ルームツアーを見る際には、情報に振り回されることなく、ニュートラルな視点を持つことが重要だということです。 松尾先生は「1級建築士であっても、自ら設計した家の各部分が、どの季節にどのような温度になり、どのような環境になるのかを実際に測定し、断熱性能の違いによる温熱の差を体感しながら確かめた経験のある方は非常に少ないのが現状。1級建築士という資格があるからといって、全員がそれを理解しているわけではなく、その知識や経験には個人差がある」とおっしゃっています。 典型的な例として、デザインや意匠性に優れ、カッコいい建築を手がけることで人気のある建築家の方が、40代を過ぎた頃に自身の経験やノウハウをすべて注ぎ込んだ自分の家を設計し、理想のデザインで建築するわけです。そして、いよいよ完成した家に住み始め、初めて迎える夏や冬に、その家の温熱環境を実際に体験することになります。 ところが、こうした建築家の住宅は見た目の美しさが評価され、周囲の人々からカッコいい家と称賛される一方で、実際に暮らす家族からは「とても寒い」「とても暑い」といった厳しい評価を受けることも少なくありません。まさに笑えない事態が実際に起こっているのです。松尾先生は、こうした建築家のご家族とも親しくされているようで、「松尾先生、この家、本当に寒いんですよ」といった愚痴を聞くこともあるそうです。 このような話からも、デザインだけではなく、住み心地を左右する断熱や気密といった性能の重要性をしっかりと理解する必要があるということがわかります。 また、気象研究家の籾山政子先生という、昔からこの分野の第一人者とされる方がいらっしゃいます。その先生が「有名人は冬に死ぬ」という格言のような言葉を残しています。これはある意味で的を射た話です。有名人は資金力があり、人脈も広いため、著名な建築家に家を設計してもらうことが多いのですが、そうした家の多くが意外にも低断熱であることが少なくないのです。結果として、冬の寒さが厳しくなり、健康を損ねてしまう可能性があるのではないかという仮説が語られています。もちろん、これがどこまで科学的根拠のある話かはわかりませんが、一理ある考え方ではないかと思います。 私の友人のご夫婦は、もともとマンションに住んでいましたが、一軒家に憧れを持たれていました。ある時、コンクリートの打ちっぱなしで非常にスタイリッシュなデザインの家を見つけ、奥様が一目で気に入られたそうです。価格も意外と抑えられていたこともあり、思い切って購入し、一軒家へと住み替えることになりました。 それから数年後、久しぶりにお会いして「新居はいかがですか?快適に暮らされていますか?」と尋ねたところ、「冬がものすごく寒いんです」とおっしゃいました。暖房をつけてもなかなか暖まらず、光熱費も非常に高くなってしまうとのことでした。さらに、夏はうだるような暑さで、「見た目はカッコいいけれど、思っていたのとは全然違った」とおっしゃっていました。そして、結局3年ほど住んだ後、その家を手放して引っ越しをされたのです。 こうした事例は決して特別なケースではなく、よくある話です。たとえ著名な建築家が設計した家であっても、デザイン性を優先するあまり、快適性が犠牲になってしまうことがあるのです。そのご夫婦はお子さんを望まれていたのですが、なかなか授かることができませんでした。しかし、寒い家を離れ、暖かい家に住み替えた後、無事にお子さんを授かることができ、大変喜ばれていました。もちろん、これは科学的な因果関係があると断言できるわけではありませんが、ご本人たちも「寒さが良い影響を与えなかったのかもしれない」と感じられていました。そして、「失敗ではあったけれど、早めに決断してよかった」と振り返っておられました。これはあくまで個人的な体験談ではありますが、住環境の影響を考えさせられる出来事だったと思います。 そこで、マトリクスを作ってみました。縦軸を「性能」、横軸を「デザイン・意匠性」として考えると、理想的なのは「性能が高く、デザインも優れた家」です。誰もがここを目指したいと思うでしょう。一方で、「デザインはカッコいいが、住み心地が悪い」というのが、先ほどの事例のような家になります。また、「性能は非常に優れているが、デザインがやや物足りない」と感じる家もあります。しかし、こうした家は必ずしも悪いわけではなく、むしろ住み心地を重視する人にとっては十分魅力的です。 つまり、家づくりにおいては、少なくともこのマトリクスの上側2つの領域にある家を選ぶことが大切だと考えています。今日の話のポイントは、「デザインと住み心地は両立できないのか?」ということです。どうすれば、このマトリクスの右上に位置する、デザインも良く、住み心地も快適な家を実現できるのか。それを考えるうえで最も重要なのは、「構法をあらかじめ決めておくこと」だと私は思っています。 「構法」というのは、建築の基本的な工法を指し、たとえば鉄骨造・木造・RC造などがあります。先ほどのコンクリート打ちっぱなしの家の例で言うと、外側だけでなく内側もコンクリート打ちっぱなしにすると、断熱層を作ることができません。そうなると、どうしても寒暖差に弱い家になってしまいます。このように、デザインを優先して構法を選ぶと、後から住み心地の問題が発生することもあるのです。そのため、家づくりのスタートとして重要なのは、そうした問題を防ぐために、まず「性能が担保できる構法になっているか」をしっかりと確定させることだと思います。 デザインや意匠性を重視する人は、どうしても「まずカッコいいデザインを考える」ことから始めがちです。そして、デザインが固まった後に、それに合う構法を当てはめようとするのですが、実はこの順序は逆の方がよいのです。まず構法を決め、その構法の制約の中でデザインを追求することで、結果的にデザインの完成度も高まるのではないかと考えています。 よくある設計の流れとしては、最初に家のテーマや必要な条件を整理し、どれくらいの広さが必要か、どんな様式や素材を使うかを決め、次に間取りを決め、その後に窓や細かい加工の設計を進めるというものです。しかし、これでは後から性能面での問題が出る可能性があります。そうではなく、まず構法ありきで考え、次にテーマや条件の整理を行い、その上で窓や加工を決め、最後に間取りを検討するという流れの方が、バランスの取れた家づくりができるのではないでしょうか。 また、構法を決める際には、断熱や気密性能だけでなく、地震に強いか、台風でも安心か、長持ちするか、メンテナンスにかかるコストはどうか、といった点も含めて検討することが大切です。こうした要素をすべて含めたうえで「性能の高い構法・仕様」を選び、それを標準化した上でデザインを追求するというのが、理想的な家づくりの流れだと思います。 デザインだけを優先してしまうと、どうしても住み心地の問題が後回しになりがちです。今でもルームツアーの動画を見て「素敵だな、こんな家に住みたいな」と思う方は多いと思いますが、そうした家が本当に快適な住環境を備えているのかどうかは、しっかりと確認する必要があります。「疑ってかかる」というと語弊があるかもしれませんが、デザインだけでなく性能の面でも本当に満足できる家なのかを慎重に見極めた上で、設計や施工を依頼する先を決めることが、とても重要なのではないかと思います。ぜひ参考にしてください。 -------------------- ホームページはこちらです。 https://www.m-athome.co.jp/ 新しいモデルハウスはこちらです。 https://www.m-athome.co.jp/modelhouse/yasumuro/ 高性能リノベーションはこちらです。 https://www.m-athome.co.jp/lp/renovation/ 高性能規格住宅はこちらです。 https://www.m-athome.co.jp/lp/kikaku/ 見学会を受付中です。 https://www.m-athome.co.jp/eventinfo/tour ルームツアーはこちらです。 https://www.youtube.com/@morishita.athome_room-tour #モリシタアットホーム #ルームツアー #デザイン #性能 #姫路 #工務店 #注文住宅

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