琉球舞踊コンクール 新人部門
踊り 岸本恵乃
1995年
この代表的な二歳踊り(にーせーうどぅい)は旅の風物詩で、
琉球の使者が薩摩に行く船旅途中の海上風景を語っています。
旅に出るため観音堂に願掛けをしています。
4~5月頃風が南または南南西から吹くためその時期に那覇港を出発していました。
歌詞に「七島渡中も灘安く」とあるように
七島の灘の難所を乗り切るのにいかに苦労したかをしのばせています。
【歌詞】
1.旅の出立ち 観音堂(たびぬんじたち かんぬんどう)
千手観音 伏し拝で(しんてぃかんぬん ふしうがでぃ)
黄金酌取て 立ち別る(くがにしゃくとぅてぃ たちわかる)
〈旅の出発は観音堂の千手観音を拝んで
黄金の盃で酒を酌み交わしてから別れゆく〉
2.袖に降る露 押し払い(すでぃにふるつぃゆ うしはらい)
大道松原 歩み行く(うふどまちばら あゆみゆく)
行けば八幡 崇元寺(いきばはちまん すうぎーじ)
〈袖に落ちる涙を押し払って、大道の松原を行くと
八幡宮崇元寺です〉
3.美地高橋 打ち渡て(みーじたかはし うちわたてぃ)
袖ゆ連ねて 諸人の(すでぃゆつぃらにてぃ むるひとぅぬ)
行くも帰るも 中の橋(いくもかえるも なかぬはし)
〈美栄地高橋を渡る頃は、同じ船の人々、見送りの人々
往来の人々も一緒になり、中の橋に出る〉
4.沖の側まで 親子兄弟(うちぬすばまでぃ うやくちょうでい)
連れて別ゆる 旅衣(つぃりてぃわかゆる たびくるむ)
袖と袖とに露涙(すでぃとぅすでぃとぅにつぃゆなみだ)
〈港の側まで親子兄弟皆揃って別れることは
旅衣の袖と袖を涙で濡れてしまった〉
5.船のとも綱 とくとくと(ふにぬとぅむじな とぅくとぅくとぅ)
船子勇みて 真帆引けば(ふなくいさみてぃ まふひきば)
風やまともに 午未(かじやまとぅむに) んまひちじ
〈船のとも綱をゆっくりと引き、船乗り達がきびきびと帆を上げると
南西の風がまともに吹き付ける〉
6.又も巡り合う 御縁とて(またんみぐりあう ぐいんとぅてぃ)
招く扇や 三重城(まにくおうじや みーぐしく)
残波岬も 後に見て(ざんぱみさきん あとぅにみてぃ)
〈縁があれば又会おうと扇を振るうちに
もう三重城、残波岬が後ろになっていく〉
7.伊平屋渡立つ波 押し添いて(いひゃどぅたつなみ うしすいてぃ
道の島々 見渡せば(みちぬしまじま みわたしば)
七島渡中も 灘安く(しちとぅとぅなかん なだやしく)
〈伊平屋沖に立つ波が船を押し出して
島々を見渡すうちに難所で名高い七棟灘も無事に乗り切った〉
8.立つちゅる煙は 硫黄が島(たちゅるけぶりは いおうがじま)
佐田の岬も はい並でエイ(さだぬみさきんはいならでぃ エイ)
あれに見ゆるは御開聞(ありにみゆるは うかいもん)
富士にみまがう 桜島(ふじにみまごう さくらじま)
〈立ち上がる煙は硫黄が島、佐田の岬も見え、あそこにみえるのは
開聞岳。富士に見間違える程の桜島です〉
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