手軽にアウトドア気分を味わえると人気が高まっているのが「チェアリング」。折りたたみイスを持って好きな場所でくつろぐだけ。たったそれだけですが・・・ハマる人が急増しているんです。
“ぽかぽか陽気”の中、新宿御苑には11日、ただただイスに座って日向ぼっこを楽しむ家族や、ゆったりと読書を楽しむお父さんの姿が。
「今日は何をしに来られたんですか?」(記者)
「今日は“チェアリング”をしに来ました。イスだけ持って行って、外で簡単にアウトドアが体験できるというので」(チェアリング参加者)
必要なものは“イス”だけ。開放感のある屋外で、ただ座って過ごすという“チェアリング”。SNSでも投稿が相次いでいます。
「気持ちいいですね。座ってゆっくりできるんで。おしりも痛くならないし」(チェアリング参加者)
「(滞在は)3時間前後ですかね。来て、ちょっとゆっくりしてごはんを食べて」(チェアリング参加者)
テイクアウトしたごはんを食べたり“お昼寝”を楽しんだりと、楽しみ方は人それぞれ。また、スマートフォンなどで音楽や動画を楽しむ人の姿も。
「こういう広いところでゆっくり他の人を見ていると、ポジティブな考えとか明るい気持ちにもなるし」(チェアリング参加者)
また、楽しむ場所も人それぞれです。高層ビルが立ち並ぶ都会の喧噪の中や、富士山を望みながら自分だけの時間を過ごすことも!さらに・・・
「チェアリングを楽しんでいる方があちらにも、そしてこちらにもいらっしゃいます」(記者)
“開放感”が魅力のビーチも、チェアリングにはおすすめのスポットです。ここにはこんな上級者が。
「長いと半日ぐらい。最近は(仕事が)リモートになったので、ここで会議とかできます。気持ちいいですからね。しんどいミーティングとかは楽になります」(男性)
また、趣味のウクレレの練習も兼ねてチェアリングを楽しむ人たちも。
「天気が良ければ毎週」(男性)
「大体どれくらいの時間練習されているんですか?」(記者)
「2~3時間」(男性)
ハマる人続出の「チェアリング」。今やイスの種類も様々です。およそ30種類を販売するこちらのアウトドアショップ。イスの売上は去年と比べ1.5倍になっているといいます。中でも人気なのが・・・
「あ、リクライニングができました」(記者)
こちらのイス。外で使う人もいるほか、自宅でリラックスしたい人にも人気なんだとか。他にも2000円以下のお手頃価格のものや、持ち運びやすい商品も「チェアリング」にぴったりで売れているといいます。
「多い時では(1日に)10組以上が買われていくことが多くて、ブームがかなりきていると思いますね」(エルブレス ららぽーと新三郷店 末田佑希さん)
“ちょっとしたアウトドア”「チェアリング」。そのブームのきっかけは。
「雑誌の企画で『屋外でイスを置いてお酒を飲んだら楽しいんじゃないか』という話になって」(ライター スズキナオさん)
ライターのスズキナオさん。5年前、ライター仲間と“面白い飲み方”として「チェアリング」を思いつき、雑誌で特集したところ評判に。そして、新型コロナの影響で遠出しにくくなった去年ごろからブームになったといいます。
「心の解放感をもたらしてくれるというか、“自分だけの場所を見つけた”みたいな喜びがちょっとある」(ライター スズキナオさん)
自分だけの場所を見つける喜び。その魅力は意外な所でも。埼玉県熊谷市にある玉井寺の副住職・坂田さん。事務作業も多く、作業がはかどらないこともあるといいます。そこで始めたのが「チェアリング」。このように外でイスに座り仕事をすることもあるそうなんです。
「(屋内だと)文章の方もなかなか行き詰まったりするときも多いので、そうするとちょっと(外に出て)場所を変えて気持ちもリセットして」(瑠璃光山 玉井寺 坂田孝純 副住職)
そんな坂田さん、今「チェアリング」で“ある事”に力を入れています。昼休みに向かったのは車で15分ほどの公園。集まっていたのは、地元のチェアリング仲間です。
「距離を置きながらなんですけど、心も丸くなってみんなで楽しんでいます」(チェアリング参加者)
ここで思い思いの時間を過ごすといいますが、目的は他にも。
「きょうは『熊谷チェアリング』です」(チェアリング参加者)
地元青年会議所のメンバーでもある坂田さん。おすすめスポットで「チェアリング」する様子をSNSにアップする事で熊谷市の魅力を発信しているのです。
「(チェアリングは)手軽だってところもありますので、広がりとしては、まだまだできるんじゃないかなと思っています」(瑠璃光山 玉井寺 坂田孝純 副住職)
街の魅力発信にも一役買っている、ただ座るだけの「チェアリング」。楽しみ方は今後も広まっていきそうです。
(12日19:19)