東日本大震災で被災し、今年4月に復旧した県栽培漁業センター(鹿嶋市平井)が育てたヒラメの稚魚2万匹が3日、震災後初めて大洗沖に放流された。県内では来月中旬まで、日立市など11地区、15回にわたって各漁協が順次放流する。
水槽に入れられ、同センターから出荷されたヒラメの稚魚は、同日午後、大洗漁協が小型船舶に積み込み、沖合約1キロで次々に海に放した。大きさ9~15センチの稚魚は早ければ来年秋にも40センチほどに育ち、漁獲される。
同漁協組合長の飛田正美さん(65)は「まだ風評被害は残っているので、漁獲が戻り、値段も上がってくれれば」と回復に期待を込めた。
県水産振興課によると、同センターの被災を受け、2011年はひたちなか市の県水産試験場で、昨年は京都府内で、ヒラメ稚魚を育て放流してきた。
県内のヒラメ漁獲量は11年は505トン、昨年は出荷制限が4カ月強あったため300トンにとどまった。