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浅草を駆ける女性車夫たち

産経ニュース 3,171 4 months ago
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雷門、浅草演芸ホール、花やしき-。人力車の上から眺める東京・浅草の名所が絵巻のように流れていく。9月も続く猛暑のなかで、風が心地良い。まもなく約40分の小旅行を終え、浅草寺付近に止まった。「お疲れさまでした!」。栗色のポニーテールが振り返り柄が下ろされた。 力仕事のイメージが強かった浅草の車夫の世界に飛び込む女性が増えている。案内してくれた、デビューして約1年という新井里穂さん(20)は「英語を生かした仕事をしたかった」と額に汗を輝かせたまま笑顔で話した。 「『あなたに案内してもらってよかった』と感謝されることが前向きなモチベーションになってます」  コロナ禍が明け、インバウンドが戻ってきた浅草観光を支える人力車。約130人の車夫を抱える「東京力車」では、4年前には4人だった女性車夫が現在は研修生を含め約30人に増えた。 交流サイト(SNS)の発信などで女性もできる仕事との情報が広がったことに加え、新井さんのように外国人客の接客を仕事にしたいという求めにもマッチしているのが理由だ。    車体だけでも約90キロあり、客を乗せると200キロを超えることもある体力勝負の仕事だが、雇用する側は、男性には力やスピードは及ばなくても女性が持つ丁寧できめ細やかな接客にメリットを見いだしている。 「女性車夫さんの方が話しやすそうという声も聞かれます」と同社の大利弥里(みさと)広報部長(31)は明かす。 食べ歩きが好きな女性車夫も多く、新しいスイーツ店などに詳しいのも人気だ。わざわざ女性車夫に会いに浅草にやって来る海外からの観光客もいるという。  島田萌加さん(20)は、「今しかできない新しいことにチャレンジしたかった」と話す。  研修期間は人によるが、2カ月から1年ほどだ。 「今は、マンホールなどのボコボコした道を進むときは揺れないように気をつけています」。現在は研修期間が終わり晴れて一人前の車夫となった。 「皆さんを楽しませることができるよう安全に気をつけながら会話も大切にやっていきたい」と目を輝かせた。 今日も、さっそうと浅草を駆け抜ける女性車夫たちが日本屈指の観光地を華やかに彩っている。 (写真報道局 納冨康)

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