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【千代田区神田神保町・内山書店】中国・アジアの架け橋に、想いをつなげる本屋

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本の街・神保町にある内山書店。そのルーツは中国・上海にあります。国内有数の中国専門書店として名高い本屋ですが、最近は間口を広げてアジア圏の本も揃えます。各国のコミックやイベントグッズなど、硬軟織り交ぜた品揃えとなっています。

内山書店が中国・上海で誕生したのは1917年。日本から上海へ、目薬の販売員として渡った内山完造さんが、自宅の玄関先で細々と書店をはじめました。当時、日本の租界地だった上海には多くの日本人がいて、彼ら相手に日本の本を仕入れて売るスタイルでした。書店は評判となり、日本人だけでなく中国の人々、なかでも、魯迅や郭沫若など中国の文化人や学者らが足繁く通うようになったといいます。

上海の書店業が成功し、完造さんは自分の弟の内山嘉吉さんに東京で書店をすることを勧めます。それが、1935年に創業した東京の内山書店です。内山書店3代目社長の内山深さんは、「当初は世田谷区で開業しましたが、1年足らずで神保町近くに越してきました。その頃は中国に関する本を中心に販売しており、あまりお客様が来ませんでした」と振り返ります。深さんによれば、「確か一番最初のお客が(取り調べのために訪れた)公安だった」とのこと。その後、日中戦争(1937-1945)が激しくなり、上海の内山書店は撤退せざるを得なくなります。

激動の時代を生き抜いた内山書店の今の姿はどうでしょうか。店頭に並ぶのは、話題のSF「三体」の原書をはじめ、中国の現代文学や小説などの原文・和訳が豊富です。語学書のほか、日本のコミックを中国語訳した、柔らかめの本もあります。「時代の流れもあり、ここ最近ですが、中国でもいわゆる男性同士の恋愛もの・ボーイズラブも人気です。中華圏BLは、綺麗なストーリという点が人気です。当店でも、そういったものを仕入れると、日本のファンの方がすぐに気づいて、次から次へと購入してくれるようになりました」(深さん)。内山書店スタッフの高橋美千代さんは「BL要素が入っている『魔道祖師』は、中国語原文と日本語訳の両方ありますので、対比して読むこともできます。また、中国人の若い方の間で、古装(中国の古代の衣装)を着て写真を撮るのが最近流行っていて、古装の作り方の本もあります」と棚を紹介します。

内山書店の現在のスタイルには、理由があります。「本にお金をかける行為自体が、今の日本の人たちにとってあまり重要視されていないように思います。今後本屋として、本を買わない人に対して、本屋に振り向いてもらうことをやっていかないと。狭い中でお客様を取り合っているだけでは、先行きがないと思います」(深さん)。さまざまな人たちに、本屋の意義、楽しさを発信してくための、試行錯誤の日々です。

2021年7月、中国・天津で「内山書店」が誕生しました。書店を開いたのは、現地のテレビ局に勤務していた趙奇さん。内山書店のことを取材で知り、かつての日中交流に感銘を受けて、趙さんは書店再開を決意しました。東京の内山書店も、趙奇さんの取組みに協力したそうです。

深さんは、「いま日本では、中国に対する感情があまり良くない部分もあります。しかし中国では、お互いにもっと交流しようという流れができてきています。日本でも、中国の柔らかめの本を若者たちが購入しています。自分が欲しいと思ったものが、たまたま中国のものだったりもします。民間レベルで反日反中関係なく交流していけたらと思います」と語ります。多様なルーツを持つ人同士の理解を深めたい、内山書店創業からの想いはこれからも続いて行きます。

原案・石橋毅史
撮影・木村重明 制作・板橋昭平 編集・水戸英樹
監督・篠原哲雄
統括・東京都書店商業組合

ふらっと気軽に行ける本屋さん、たまには寄ってみませんか?
内山書店の公式サイト→http://www.uchiyama-shoten.co.jp
内山書店の公式ツイッター→https://twitter.com/uchiyamasyoten
東京都書店商業組合青年部の内山書店紹介ページ→http://seinenbu.tokyo-shoten.or.jp/shop/tokyo/312
このチャンネルを運営する東京都書店商業組合の公式サイト→http://tokyo-shoten.or.jp/

この動画は、中小企業新戦略支援事業(団体向け)に係る特別支援「新しい日常対応型業界活性化プロジェクト」を活用して、東京都書店商業組合が制作したものです。

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