「日本のシャーマニズム研究に最初の宗教民俗学的なメスを入れた」と評される、柳田國男の前期傑作論文『巫女考』を解説しています。
現在の巫女研究においてもなお重要文献であると同時に、社会の変革を望む柳田の熱が感じられる論文の中身をぜひご堪能ください。
🔸本動画の後編はこちらです!↓
【社会学】動物の聖性を利用した「憑きもの信仰」の真実とは?(柳田國男『巫女考』)
https://youtu.be/2MjdZzR-kSY
→日本の知られざる「憑きもの信仰」や、「憑きもの筋」をめぐる歴史についてわかりやすく解説しています。
#民俗学 #巫女 #japaneseculture
00:00 世界の巫女
00:21 『巫女考』概要
00:52 古代日本の巫女
01:19 柳田の<ミコ>の分類
02:12 巫女の本来の役割
02:28 エリアーデによるシャーマンの分類
03:15 佐々木宏幹による「憑霊型」のタイプ分け
04:28 口寄せ巫女の各地での名称
04:52 梓巫女
05:34 口寄せ巫女への偏見
06:03 神の子孫としての<ミコ>(神子)
06:33 神聖な存在の零落
07:15 口寄せとはどんなもの?
07:22 口寄せの様子:長塚節『土』から
11:44 口寄せ巫女の手箱
12:29 神を招く植物・笹
13:49 巫女の託宣
14:24 各地に広がる神社の謎
15:18 信仰を伝えるために彷徨う巫女
16:54 巫女の様々な活動形態
17:16 憑座の巫女と審神者の男性宗教者
18:05 巫女の夫
18:44 熊野比丘尼
19:19 遊行の女性たち
19:35 『巫女考』を世に出した大きな理由
19:48 1873年の「神子禁止令」
20:38 幕末の呪術的・宗教的混乱
21:35 ミコ筋・アルキ筋への偏見
22:23 経世済民の人・柳田國男
23:09 『巫女考』のラストフレーズ
23:45 柳田巫女論のその先
24:13 漂泊する人々の研究と柳田
24:50 柳田が転換した理由
25:12 エンディング
■参考文献・論文
赤坂憲雄『漂泊の精神史―柳田国男の発生』小学館, 1994
有泉貞夫「柳田國男考―祖先崇拝と差別―」『柳田國男研究』筑摩書房, 1973
川村邦光「Ⅰ巫女の現在」「Ⅱ近代日本における巫女」『巫女の民俗学 <女の力>の近代』青弓社, 1991
佐々木宏幹「二 日本における土着宗教と憑霊」『憑霊とシャーマン─宗教人類学ノート─』東京大学出版会, 1983
滝川政次郎「第二節 柳田説批判」『遊女の歴史』至文堂, 1981
谷川健一ほか編『民衆史の遺産 第6巻 巫女』大和書房, 2015
長塚節『土』ほるぶ出版, 1985
野村純一ほか編『柳田國男事典』勉誠出版, 1998
萩谷朴校注『枕草子』新潮社, 2017
林淳「梓神子と神事舞太夫」『国立歴史民俗博物館研究報告』2008-142
藤井隆至「柳田国男の社会問題研究」『国立歴史民俗博物館研究報告』1993-51
堀一郎「第十二篇 あるき巫女と歌比丘尼」『我国民間信仰史の研究(二)宗教史編』創元新社, 1968
山路興造「巫女の諸形態―賤視される巫女・されない巫女―」『世界人権問題研究センター研究紀要』2020-25
堀岡喜美子「祭礼神幸と巫女の現出」『佛教大学大学院紀要 文学研究科篇』2020-48
堀岡喜美子「明治維新「神子禁止令」の思想背景と社会的意味―「淫祀論争」と大阪の動向からー」『仏教大学大学院研究紀要』2018-46
柳田國男「巫女考」『柳田國男全集11』筑摩書房, 1990