今年4月、45歳で亡くなった神戸市灘区の「関本クリニック」の関本剛院長が生前に収録したビデオメッセージ。緩和ケア医として多くのがん患者を支えてきたが、3年前の9月に肺がんが見つかり自らもがんと向き合うことになった。同じく医師の母親が開業した医院を継ぎ、1年が過ぎた頃だった。脳への転移も判明し、宣告された余命は2年だった。
大切な家族や友人との時間を大切にしながら、死の1カ月前まで患者に接し続けた。今年4月、自宅で妻らに看取られながら最期を迎えた。
穏やかな表情でカメラを見つめ、「平均寿命からしたらいささか短い人生」としながら「一言で言うと『最高の人生』でした」。ただ残していく家族が「唯一の気がかり」と話すも悲壮な雰囲気はなかった。「先に逝かれた先輩たちと宴会三昧の日々。後から来られる皆さまのため、いいお店をアテンドさせていただきます」と場を和ませ、最後のあいさつに。それは「さようなら」ではなく、「また会いましょうね」。柔和な笑みで手を振った。