室町幕府3代将軍、足利義満。
金閣を建てたことで知られるこの人物については、
天皇家に取って代わろうとしていたという説(王権簒奪説)が
戦前から唱えられていました。
今谷明『室町の王権―足利義満の王権簒奪計画』(中公新書、1990年)が、
史料を博捜して王権簒奪説を実証的に補強したことで、
読書界に大きな反響をもたらしました。
作家や評論家が今谷説に賛意を示し、
また追随したことで、
今なお一般読者の間では影響力の強い学説となっています。
しかし歴史学界では今谷説の検証が進み、
王権簒奪説への疑問点が多数提出されています。
本講義では王権簒奪説、さらには王権簒奪説批判を紹介し、
足利義満の実像に迫ります。