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特集「キャッチ」『コロナ後遺症』治療のいま

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特集『キャッチ』です。新型コロナウイルスの新規感染者数は全国的に減っていますが、いまも多くの人が、かつて感染した“コロナ”の後遺症に悩んでいます。“コロナ”からの回復の『第2幕』といえる後遺症治療のいまに迫ります。 福岡市博多区の『みらいクリニック』です。 ■みらいクリニック・今井一彰院長 「朝起きられますか。」 ■福岡県内在住・50代男性 「波はありますけれど。」 診察を受けているのは福岡県内に住む50代の男性です。8月、新型コロナウイルスの感染が判明しました。その時の症状は軽かったものの、その後、陰性となってからも強い倦怠感などの『コロナ後遺症』で苦しみ続けています。 ■50代男性 「けん怠感もそうですけれど、思っていることがなかなか言葉に出てこないっていうのが、すごくもどかしいっていうか。」 『みらいクリニック』は2月、『後遺症外来』を設け、“コロナ”感染後に苦しむ患者の治療にあたっています。 後遺症は倦怠感や頭痛、集中力低下などさまざま。これまで197人の患者を診察してきました。 後遺症との因果関係は、はっきりとわかっていないものの、患者の多くは、鼻の奥にある『上咽頭』に炎症がみられるといい、このクリニックでは、その炎症を抑える治療を行っています。 男性は後遺症により、日常生活にも支障をきたしています。 ■今井院長 「仕事ちょっとセーブしています。」 ■50代男性 「まだ、お休みをいただいております。」 ホテル療養を終えた後、男性は約2週間、起き上がれないほどのけん怠感がありました。感染から3か月がたち、その症状は和らぎつつあるものの、今度は物事を理解する力が低下し、10月から仕事を休んでいると言います。 ■男性 「朝起きられないっていうのが、週に1、2回、多くて2回くらい。いま今症状で何が一番きついかと言いますと、パソコンとかスマホとか、そういった画面からの文字、それが入ってこない。理解できないっていうのが一番つらいところですね。」 『コロナ後遺症外来』を受診する患者の特徴について、今井院長は次のように話します。 ■今井院長 「日常生活が脅かされるような感じという方が多いですね。半分の方がひと月で改善して、大体7割の方が2か月かかります。ただし、残念ながら3割の方は、それ以上治療が及ぶ。」 この日は『脱毛』に悩まされる20代の女性も初めて後遺症外来を訪れました。8月に感染していました。 ■県内在住・20代の女性 「(脱毛が)気になりだしたのは1か月、2か月くらい前ですかね。」 夏の『第5波』当時と比べると、大幅に感染状況が改善したいまも後遺症外来を訪れる患者は、あとを絶ちません。この日は18人が受診しました。 ■今井院長 「後遺症というのは2か月から3か月たって、発症してくるので、いま来ていらっしゃる方々も8月とか7月に感染した後のが残るということで、受診されています。これからも増えていくんじゃないかなというふうには思います。」 ただ、今井院長は後遺症も改善が見込めると話します。 ■今井院長 「適切な治療をすれば、少なくとも2か月で7割の方は改善していきますから、そこに希望を見いだして、決して不安に陥ることなく安心材料にしていただきたい。」 一歩ずつ、後遺症からの回復を目指す1人の少女がいます。 ■県内在住の少女(16) 「“コロナ”が治っても全然、普通に動けるやろうなって思っていたんですけれど、思った以上に、けっこうきつくて、しんどかったです。」 こう話すのは、福岡県内に住むゆりこさん。5月に新型コロナウイルスに感染。その後『コロナ後遺症』に苦しみました。 ■少女 「ましにはなったけれど、完璧にはまだ。」 ■弟 「ねえね起きるよ。」 ■少女 「…」 ことし8月、感染から3か月後のゆりこさんの様子です。家族で食卓を囲む時間に、ソファーに一人、横になったまま。 ■少女 「何もできない。しようと思っても、なんていうのかな、体が動かなくて何もできなくて。」 検査で陽性となった時、発熱などはありませんでしたが、その後、けん怠感がひどくなり、ほとんど通学できませんでした。 ■少女 「学校はもう退学しましたね。」 感染から7か月。後遺症外来での治療などを経て、後遺症は少しずつ収まってきたものの、まだ完全ではないと言います。 ■少女 「頭痛がめっちゃひどい日があったり、めまいはまだ治っていないけん。そんなに、頭痛薬はかばんとかに、けっこう入れています。このへんですね。1日にひどいときは、2,3回も飲んだりするけん。」 それでも、以前とは大きな変化が。 ■少女 「全部お母さんがするのもきついし、できることは、しとかないといけないかな。」 母親の隣で、家事の手伝いができるように。さらに。 ■少女 「今月これなんですけれど、この点がついているところが入っているところです。」 9月から居酒屋でアルバイトを始めたのです。回復の歩みとともに、少しずつ一歩ずつ、日常を取り戻そうとしています。 ■少女 「“コロナ”になって、後遺症ってけっこうきついけん。でも、それを周りの人には分かってもらえんけん。周りの人も理解してほしいなとは思うし、まず“コロナ”にならんのが一番やけん、いろいろ皆で考えて行動してほしいなと思います。」 感染の波が落ち着いても、陰性となっても。新型コロナウイルスで苦しんでいる人たちがいる。それが“コロナ禍”の実情です。

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