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滝庵(いおり)滝|青が満たす氷の壁と静寂に包まれた空間。奥日光の冬の物語。

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今シーズン、冬靴をはじめて取り出しました。 硬いソールを指先でなぞると、ああ、ほんとに本格的な冬なのだなぁ、と実感します。 (だいぶ出遅れてますけど) マイカーで移動できるようになると、公共交通機関の乗り継ぎがわずらわしく感じられるようになりました。時間を気にせず、好きな場所へ行ける自由はほんとうに大きいです。 けれど、私の技能では雪道運転は避けたい...。 そうなると、雪の山へアクセスするのが難しくなる。 結局、公共交通機関でアプローチできる場所は限られ、なんか毎年似たようなルートを歩くことになります。 とにかく、重量のある冬靴自体、しばらく履いていなかったわけですから、いきなり厳しい登山に踏み込むのはやめようと思い、奥日光の雪原歩きを計画しました。 日光といえば、「雲竜瀑」を見たときは、死ぬほど感激したっけ。 あの圧倒的なスケール、青く透き通る氷の壁、轟々と響く静寂。 言葉にならない感動が、今も心の底に凍りついたまま(笑)残っています。 そこで、雲竜瀑ほどのスケールはないけれど、「庵滝」という氷瀑があるらしいと知りました。 小田代ヶ原の雪原を歩き、秘瀑「庵滝」の氷瀑を目指すトレッキング。 庵滝は高さ約30mの氷瀑となり、日陰でゆっくりと凍るため、美しいブルーアイスが見られるのだそうです。 この日も赤沼バス停を出発し、小田代原を経て弓張峠へむかいました。 庵滝は、かつて秘瀑でしたが、今では、もうすっかり人気の地となっていました。 踏み固められたトレースはくっきりと続き、週末ともなれば、登山者がひっきりなしに訪れ、氷瀑の前では順番待ちすら発生するそうです。 正直なところ、これほど明瞭なトレースがあれば、ギアはほとんど必要ないでしょう。 それでも、一応持参し、使ってみるのは、確認も兼ねていたからです。 わざわざ踏まれてないところを歩いてみたり...。 撮影をしながら歩くと、どうしても工程が遅くなります。 けれど、それが思わぬ幸運をもたらすこともあります(笑)。 見惚れるほど美しい雪原の風景に、夢中でレンズを向け、足元の雪の質感や、木々に降り積もる白のグラデーションを追いかけているうちに、気がつけばずいぶん遅れをとっていました。 先を行く人々は、すでに帰路となりスライド。 やがて庵滝にたどり着くと、目の前には誰もいない!氷瀑! 青白く凍りついた滝が、ひっそりと森の奥で息づいています。 右側にそびえる大きな氷柱にはぽっかりと穴が開き、そのかたちは岡本太郎の太陽の塔を思わせます。自然がつくり出す造形の奇妙さに、思わず見入ってしまう。 静寂の中、凍った滝を独り占めする贅沢。 氷瀑は、日陰に育まれた青の結晶。 裏側から見上げれば、鋭い氷柱が岩肌に張り付き、 まるで大地が息を潜める冬の彫刻のよう。 奥日光の冬は、きっと刻々と表情を変えるのでしょう。 雪が降ればすべてを覆い、寒波がくれば氷は再び成長する...。庵滝の青は、そんな自然の営みの中で、静かに輝き続けていました。 撮影日:2025年1月25日(土)

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