01:00 迷惑な患者さんとは
03:00 聞き分けの良い患者さんとは
03:50 全員を救えるわけではない
本日は「迷惑な患者と聞きわけの良い患者」というテーマでお話ししようと思います。
精神科臨床をしていると、困った患者さんは結構います。
益田の腕が悪いんじゃないかとか言われそうですけど、そうと言えばそうかもしれないけども、こちら側に怒りをぶつけるとか攻撃性を向けることは珍しくないです。
実際、殺人予告とかもあります。
一方で、「益田先生は素晴らしいんだ」「神様だ!」「感謝してます!」とか言う人もいます。
時々クッキーとか持ってきてくれる人もいますけど、基本的にはお断りしているんですよ。プレゼントはお断りしているんですけども、やっぱりプレゼントを持って帰ってもらうのもかわいそうというか、惨めな感じがあるわけですよね。
だから受け取るんですけども、基本的にはお断わりですよと説明しています。
今回はいただきますけど、みたいな感じで。
これも理想化させすぎている、聞き分けが良すぎるなという感じですね。
僕らがどんな気持ちなのかをお話ししようと思います。
若い医師とか若い支援者はそこまで達観できないとは思いますけど、ある程度一人前になってきたらどう思うのかという話ですよね。
■迷惑な患者さんとは
迷惑な患者さんとはどんな人かと言うと、簡単に言えば、傷ついている患者さんが多いですよね。
散々傷付いてきた人なんだなと僕は考えます。
障害に傷ついたり、これまでのいじめや虐待とか色々な背景があります。
自分が社会に受け入れられていないんじゃないかとか見下されてるんじゃないかとか、そういう風に思っている人たちが多いということでしょうかね。
だからそれだけ嫌な思いをしてきたんだろうなと思ったりします。
障害がある人とか、患者さんたちというのは、その分ピュアなんだと。
傷ついてきた分、心が清らかなんだと思う人たちはいると思いますが、そんなことはないわけで。
普通の人間と変わらないし、もしかしたら普通の人より性格が悪いことの方が多いです。
恵まれなかったというか、傷ついてきたということはそういうことです。
こういうことを言うと、「益田は」とか言って絶対嫌な思いをする人が多いと思いますけど、でも一つの真実というか、そう思います。
実際、精神疾患や貧困が犯罪率を上げている、虐待があった人たちが犯罪者に多いというのは事実でもあるわけですけど。
だけどそれは彼らが悪いとか自業自得だとかではなくて、単純にどっちが先かっていうとまあこっちが先ですよね。傷つけられたことが先かなと思います。
精神科の世界というのは、
will not, do not, cannotは同じと考える見方もあるんですよね。
だから結果だけ見る。
甘えているんじゃなくてできないんだとか、やってないんじゃなくてやれないんだと見る見方もあるんです。
だから、人間の意志というものを無視して結果だけを見て、この人を把握するというものの見方もあるわけで、何かそうなのかなと思ったりしています。
■聞き分けの良い患者さんとは
聞き分けの良い患者についてはどうかと思うと、虐待歴がある人は聞き分けが良かったり、こちらに妙に合わせてくれたり、そういう人も多かったりします。
理想化とか、陽性転移とか。
この人は素晴らしいんだと思い込みたいというか、そういう人たちもいるなと思います。
容易に、ある瞬間を境に怒ってしまって、陰性転移に切り替わることも珍しくないので、これもこれで用心が必要だなとかあります。
精神科の患者さんの中には、ミュンヒハウゼン症候群や自己愛性パーソナリティの人、詐病とか色々いるんですけど。嘘をつく病気の人もいますし。
あとは発達障害のような形で記憶が捏造されてしまう、正しく記憶されてない人たちもいたりします。色々なことがあるなと思います。
でもこういう人なんだなとか、こういう症状なんだなと思ってやっています。
■全員を救えるわけではない
そうは言っても、全員を救えるかとか、殺害予告は来ているけれども、この人を治療していかなきゃということはあまりしないです。
昔、そういう人も治療の対象なんだと言って、明らかに恨んでいるにもかかわらず、「益田ドクターが大嫌いだ。もう絶対ぶん殴ってやる、殺してやる」とか言っている人にも、「いやいや、ちゃんと通ってよ」と言って、いつかはわかるからとか言って治療していたことがありますけど、うまくいかなかったです。
そんなのはうまくいかないんですよね。
こじれちゃったらもう全然うまくいかない。
病院はいくつもあるので、別にウチだけじゃないので、よそに行ってもらった方がいいとかあったりします。
こういう人間の限界性とか、そういうものはあるなと今は考えたりはしています。
こちら側が何を提供できるのかということですよね。
精神科医は万能ではないし、日本の医学レベルは万能ではないのでできないこともあります。
精神科医は人を治すのが仕事だろうと言われるけれども、その言葉に悩んだ時期もありましたけど、それは建前であって、あくまでガイドライン通りの治療、診断をして、薬を処方して、出来る限りの話は聞きますけど、聞けない部分はあるので、そういうものだと割り切ってやっています。
割り切らないと潰れちゃうというのもあるし、実際こじれたところからはもう戻せないというか、そういうことも珍しくないというか。
だからといって個人的に嫌いだとか、憎むとかはなくて。
ただそういう人もいるなと思いながら治療している感じでしょうかね。
今回は、迷惑な患者・聞き分けの良い患者というテーマでお話ししました。
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▼自己紹介
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。2020年6月5日より断酒継続中。
▼参考
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 https://www.medsi.co.jp/products/deta...
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb...
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