【この動画の概要】
今日は、隠れ双極症をどう見抜くかについて、お話いたします。よろしくお願いいたします。
〇双極症の患者数と診断の実態
・人口の約1%、つまり100人に1人が双極症である。
・双極症は過小診断されやすく、診断されずに隠れているケースが多い。
・統合失調症は比較的診断されやすいが、双極症はうつ病と間違われることが多い。
〇双極症が診断されにくい理由
・実際には、双極症のうつ状態の期間が長く、特にⅡ型では軽躁状態が見逃される。
・うつ状態の人の半数は双極症の可能性がある。
〇うつ病と双極症の誤診
・うつ状態には統合失調症やアルコール依存症など他の要因も関与する。
・難治性うつ病の6割が双極症であるとする研究がある。
・うつ病治療の基本であるSSRIなどの抗うつ薬は、双極症には効果が低く、波を大きくする可能性がある。
・感情の不安定さを性格の問題と誤解されることもある。
〇軽躁状態の見逃し
・うつ病の人にとって、軽躁状態は「調子が良い時」と認識されやすい。
・しかし、実際には多弁になったり、睡眠時間が短くなったり、金遣いが荒くなることがある。
・患者自身が軽躁状態の自覚がないため、医師に伝えられず、診断が難しくなる。
・そのため、医療者が軽躁状態の可能性を考慮する必要がある。
〇双極症の治療と抗うつ薬のリスク
・SSRIなどの抗うつ薬を単独で使用すると、双極症の波を激しくし、感情の振り幅を大きくする。
・これにより、自殺のリスクが高まる可能性がある。
・難治性のうつ病でSSRIが効かない場合、双極症を疑うべきである。
・うつ病と双極症の鑑別には、病歴や家族歴が重要な手がかりになる。
〇双極症の特徴的な病歴
・うつ病は平均30歳で発症するが、双極症は20歳前後で発症しやすい。
・10代や20歳で発症した場合、双極症の可能性を考慮すべきである。
・家族歴も重要で、両親がうつ病と診断されていた場合、実は双極症だった可能性がある。
双極症の治療方針
・双極症の治療には気分安定薬が重要である。
・使用される薬には、リーマス(炭酸リチウム)、デパケン(バルプロ酸)、テグレトール(カルバマゼピン)、ラミクタール(ラモトリギン)などがある。
・SSRIなどの抗うつ薬は、必要に応じて気分安定薬と併用する。
・うつ病治療でも、気分安定薬や抗精神病薬を併用することがある。
〇診断の重要性
・うつ病の治療がうまくいかない場合、双極症の可能性を検討する必要がある。
・特に、若年発症や家族歴がある場合、気分安定薬を優先すべきである。
・うつ病の中に双極症が紛れている可能性を考慮し、適切な治療を行うことが重要である。
・双極症と診断されていない人が適切な治療を受けられるよう、慎重な鑑別が求められる。
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