①ベンチャーズの「小さな花」（1996年6月発売のCD「ワイルド・アゲイン」より）0:00～
②クワイエッツの「小さな花」（1989年9月発売のアルバム「モア」より）3:14～
③スプートニクスの「小さな花」（1977年6月発売のアルバム「チャート・トッパーズ・レコーデッド1977」より）5:52～
④エキゾチック・ギターズの「小さな花」（1969年4月発売のアルバム「インディアン・ラヴ・コール」より）8:25～
⑤ハンターズの「小さな花」（1962年2月発売のアルバム「ヒット・フロム・ハンターズ」より）10:51～
⑥バート・ウィードンの「小さな花」（1959年5月発売のシングル）13:06～
ザ・ピーナッツのデビュー曲として知られている「可愛い花」は原題を「プティ・フルール」＝「小さな花」といい、ニューオーリンズ出身のクラリネット＆ソプラノ・サックス奏者、シドニー・ベシェによって1952年に書かれたインストゥルメンタルです。
幼いころから天才的なプレイヤーとして頭角を現したシドニー・ベシェはルイ・アームストロングやデューク・エリントンらと並ぶジャズ界の実力者の一人でしたが、何度かのヨーロッパ・ツアーのあと、1949年のフランス・ジャズ・フェスティバル出演を機に活動の本拠をフランスに移し、欧州各地で演奏活動を展開、フランスのヴォーグ等のレーベルから「小さな花」をはじめ数々の名曲をリリースしました。
「小さな花」は1959年にフェルナン・ボニフェイとマリオ・ボーによってフランス語の詩が付けられ、シャンソンとして大ヒットしたため、同年、英国の名ギタリスト、バート・ウィードンがギター・インストとして初めて「小さな花」をカバーし、1962年には同じ英国のインスト・グループ、ハンターズがバート・ウィードンのバージョンを参考にしてダンス・チューンにアレンジした「小さな花」をリリースしました。
米国ではデュアン・エディのバンド、レベルズ出身のセッション・ミュージシャン、アル・ケイシーが率いるエキゾチック・ギターズというギター・インスト・ユニットが1969年に発売した「インディアン・ラヴ・コール」というアルバムに「小さな花」を収録しています。このユニットはランディ・ウッドのプロデュースで1968年から1977年にかけて12枚のアルバムを残していますが、そのうちの4枚目が「インディアン・ラヴ・コール」で、「ラウンチー」を書いたギタリストのビル・ジャスティスがアレンジを手掛けており、ベースでキャロル・ケイも参加しています。ちなみに、エキゾチック・ギターズのアルバム・ジャケットにはガットギターとエピフォン・トライアンフとともに1965年モデルのモズライト・ギターが配置されているのが目をひきます。
英国、米国ばかりでなく北欧でも「小さな花」は人気のようで、「霧のカレリア」で知られるスウェーデンのグループ、スプートニクスが1977年のアルバム「チャート・トッパーズ」でこの曲をカバーしていますし、フィンランドのグループ、クワイエッツも1989年のアルバム「モア」に「小さな花」を収録しています。
ベンチャーズは1996年にリリースしたCD「ワイルド・アゲイン」で初めて「小さな花」を取り上げました。この時の演奏メンバーはジェリー・マギー（リードギター）、ドン・ウイルソン（リズムギター）、ボブ・ボーグル（ベース）、メル・テイラー（ドラム）、デイブ・カー（キーボード）、マイク・ローズ（サックス）、スティーブ・クロング（パーカッション）とクレジットされています。
この動画では「小さな花」の代表的なエレキ・インスト・バージョンを新しいものから順に並べてみましたが、どのバージョンもそれぞれ独自のアレンジを凝らしたオリジナリティあふれる演奏で、いずれも甲乙つけがたい印象です。ベンチャーズ以外はどれもスローなテンポで落ち着いた雰囲気の演奏となっているのに比べ、ベンチャーズのバージョンは比較的速いテンポの演奏でノリがよく、曲の後半部分にサックスをフィーチャーしているのが特徴です。このサックスのメロディとジェリーのリードギターの掛け合いが実に素晴らしく、いかにもベンチャーズらしい小気味のいい演奏となっています。ちなみに、サックスを吹いているマイク・ローズは本名をマイケル・ロジンスキーといい、1980年代から2000年代にかけて活躍したセッション・ミュージシャンで、ベンチャーズとは2011年の「Ｖ-ゴールド」でも共演しています。
#TheVentures #PetiteFleur #SidneyBechet
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