両宮山古墳は、墳丘の長さ206mの巨大前方後円墳です。岡山市造山古墳、総社市作山古墳に次いで、墳丘本体の規模は吉備では第3位。ただし、周囲に水をたたえた周濠があり、さらにその外側にもう一重の周濠が巡っていたことが発掘調査で確認され、様式としては近畿の王権中枢の大王墓にもっとも近いものです。周囲に帆立貝式の前方後円墳を主とする陪塚群をもつことも、近畿の、とくに百舌鳥古墳群の大王墓と共通しています(動画中では「廻り山古墳」と「森山古墳」とを逆に紹介しています:申し分ありません)。度重なる発掘調査によって、葺石もなく、埴輪も立てた痕跡がないことがわかり、寿陵をしたものの埋葬を行わないまま未完成で放置された可能性が高くなりました。この考古学的事実と、「吉備上道臣田狭」が雄略大王によって朝鮮半島に派遣されたまま叛意を抱いてついに帰らなかったという『日本書紀』の記述との関連が、近年ではしばしば話題に上ります。なお、東側から墳丘上に登ることも可能です。岡山駅から宇野バスで30分「穂崎下」下車5分。