00:00 OP
01:26 社交不安障害/回避性パーソナリティ症
02:38 認知の歪みを治す
04:49 いつもの回路を使ってしまう
07:37 別ルートに入るには
本日は「私は何かしたんじゃないかと気になってしまう人」についての動画です。
結構そういう方はいらっしゃいます。
男性にもいますが女性に多いかなと思います。
周りの人、職場の人や友だちが普段よりもよそよそしく感じてしまう、いつもと雰囲気が違うと思うと「あれ、何かやっちゃったからかな? 何か失礼なこと言っちゃったかも」と思ってすごく気にする人がいます。
僕もこんなキャラですが、わからなくもありません。
意外と気にする方ですが、それが過度な人、気になって冷や汗が出たり仕事が手に付かなくなったり、日常生活に支障がある人は病気の可能性があります。
皆そういう要素はありますが、それが過度なもの、「あなた気にしすぎよ」と肩を叩かれても全然落ち着かない人は病気を疑ったりします。
薬を使うと結構良くなったりします。
■社交不安障害/回避性パーソナリティ症
こういう人はどういう病気が考えられるかというと、一般的には「社交不安障害」「回避性パーソナリティ症」が疑われることが多いです。
こと人間関係において不安を感じやすいという脳の特性がある人なので、SSRIという抗うつ薬が有効です。
ただ、SSRIを飲んでも即効性はありません。
SSRIは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」と言います。
本来だったら捨ててしまうセロトニンをもう一回取り込んで、セロトニンの量を増やす薬です。
セロトニンの量が増えることによって、セロトニンをよく使う神経系、不安を抑えるような神経細胞が伸びるイメージ、木に水をやるようなイメージです。
そうすると根がグーッと伸びる、枝葉が伸びるような感じです。
セロトニンをあげることで神経細胞が育ち、不安を感じにくくなります。
■認知の歪みを治す
ただ精神科の疾患は、薬物治療だけでは当然良くなりません。
カウンセリングだったり、認知の歪みを治したりする治療が必要になります。
どういうことに気をつけたら良いのかというと、何をしたんだろうとすごく気になる人の特徴として、嫌われることに対する過度の恐怖感があります。
ですから、恐怖症の一種だと考え、暴露療法で慣らしていくことが重要になります。
私は嫌われたんじゃないかと思って人を避ける、嫌われたんじゃないかと思って声を掛けにくくなりますが、「声を掛ける」ということです。
毎朝声を掛ける、ちょっと嫌だな、ちょっと怒ってるなと思っても声を掛けてみる。
声を掛けられるようになったら、ちょっと機嫌が悪いときにも仲直りを自分から提案してみるなど、色々な形で人に慣らしていく努力が必要だったりします。
1日1回声を掛けていたのを2回にするなど、少しずつ人との接点を増やすことで対人間の恐怖感を減らしてあげることが重要です。
強迫的だったりすることも多いです。
それくらいのことで嫌われるわけないじゃないか、機嫌を損ねるわけないだろうと頭ではわかっていても、ついついやってしまうパターンがあります。
彼氏はそんなすぐに嫌いになったりしないとわかっているのに、LINEを何度も見てしまうなどあると思います。
こういう場合も暴露療法は有効です。
LINEが気になるようなら徐々に携帯を見る時間を減らす、ついつい聞きたくなるけど聞かないようにする、デートも毎回自分から誘うのではなくちょっと減らしてみるなど、色々なことをやってみると良いと思います。
デートは自分から誘わなくても相手から誘ってもらえると落ち着くなどありますが、あまり良いたとえではありませんが、そういうやり方もあります。
■いつもの回路を使ってしまう
もうちょっと脳科学的に理解してもらった方が良いかもしれません。
脳はどうなっているかというと、例えば目から入った情報があるときだけ動くのではなく、脳は常に動いています。
何かがあるから動くのではなく、常に動き続けています。
「内部活動」があるといわれています。
それはみなさんも分かりますよね。
目を閉じても考え事をしているし、夢も見ます。
夢は何も情報が入っていないのに頭が動いているということなので、内部活動があるというのは皆さんが考える通りかなと思います。
その内部活動も癖のようなものがあります。
お客さんをつかまえるために、いつも同じ道を徘徊するタクシーがありますよね。
不安障害の人はいつも同じような回路を無意識に使っています。
何をしたんだろう、不安だな、私何かやっちゃったのかな、ということを常に考えてしまっているので、このルートを変えてあげる必要があります。
不安なことをずっと考えているなら、マインドフルネスのような形で別のことに集中する、呼吸を整えるなど別のことをします。
あるいは、勉強をする、テトリスをやる、動画を観るなど、呼吸に集中するより別のことをした方が良いです。
とにかくそちらが気になるようなら、一回別のことをすることでリセットしてあげるというのも重要です。
いやそんなことわかってるよ、と皆さん思うと思います。
わかっているけどやめられない、つまり報酬系に関与しているからわかっているけどやめられないのです。これは依存症と同じです。
強迫的と言っていますが、これは依存症的でもあります。お酒と同じです。
嫌われたのではないかとすごく不安で気になり、不安が高まります。
確認をしてしまいます。
そうすると安心します。ああ嫌われてなかった、あれは思い過ごしだったと安心するのですがまた不安になります。そして確認したくなる。
こういうサイクルがあります。これを依存症的と言います。
報酬系のメカニズムがあり、不安だけど楽になるからまたやりたくなってしまう、ということです。
お酒も同じで、何か嫌なことがあり、お酒を飲むと楽になり、また嫌なことがあったりするとお酒を飲みたくなる、というサイクルができ上がります。
ギャンブルもそうです。
嫌なことがあって、ギャンブルをして楽になったから、嫌なことがあるとまたギャンブルをしたくなる。
買い物依存も性依存も、ゲーム依存も一緒です。
このサイクルを止めてあげなければいけません。
だから、お酒と一緒で無理やりやめなければいけないんです。
■別ルートに入るには
我慢してやめる必要がありますが、このサイクルから別ルートに入るためにはどうしたら良いのかというと、頭で理解してあげることが重要です。
客観的に今の状況を理解してあげることが重要です。
マインドフルネスなどで別のことをすることで、思考回路を一度別ルートへということも大事です。
でも、そもそも人って嫌うものじゃないですか。
永遠に仲が良いということはあり得ないので、ちょっと諦めます。
人に頼らないと生きていけない、私はひとりでやっていけない、職場で味方がいなくなったらクビになってしまう、と思うかもしれませんが、自立すれば良いのです。
最悪クビになったとしても別のところでやっていける、という気持ちになれる解決能力や、ちょっと嫌なことがあっても仲直りができるコミュニケーション能力を身に付ければ良いわけです。
不安だけど、ごめんねと謝ることができるとか、あの時はごめんなさい、とか上手い言い方がありますよね。
ちゃんと謝る、軽く謝るなど色々な謝り方があるので、そういったことを身に付ける。
謝らなくても自然な雑談の流れで相手の機嫌を確認する方法もあるので、そういう能力を身に付ければ、いざ嫌われても大丈夫だろうと思えます。
過去に嫌なことがあった、いじめられていた、親からの虐待があったという人は、最初のところでどうしても強力な刷り込みができてしまっています。
人には嫌われるものだという思い込みが最初にでき上がっていると、いつも同じことを考えがちです。
子どものときに親が怒っているのではないかとずっと考えていたルートができ上がっているので、いざ親と別に暮らすようになっても、このレールはなかなか取れません。
ですが、そのトラウマの治療をすることで、このサイクルから楽になることはあります。
自分らしくやる、開き直る、失敗を恐れないということも重要です。
それができたらこのルートに入らないよと言われそうですが、そういうゴールに向かって僕らは行っているんだ、という意識があるのとないのとでは全然違います。
こういう意識を持ってルートを理解してやっていくと良いのではないかなと思います。
気にする必要ないとみなさんが言っているように、本当に気にする必要はありません。
だけど気になってしまうのはなぜかというと、あなたが悪いのではなく、こういう脳のメカニズムがあるからであるし、記憶、トラウマの問題があったりするからです。
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社交不安症
https://youtu.be/Ar2NeYCYXZM
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早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
【自己紹介】
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 https://www.medsi.co.jp/products/detail/3509
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb130991f3fa4
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