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【一葉記念館】〈朗読書〉雪の日 樋口一葉

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朗読+読書=【朗読書】は、朗読を聞きながら樋口一葉の作品を読んでいただく動画です。 (画質を720p以上にするとより文字が鮮明に見えます。) 「雪の日」の題名が初めて記されたのは、明治25年(1892)2月4日の日記です。この日、雪のちらつく中、一葉は小説の師半井桃水宅を訪ねました。桃水は自ら汁粉をつくり、一葉の小説デビュー作を載せる雑誌『武蔵野』創刊を伝えます。やがて夕方となり、雪が酷いから今夜「こゝに一宿し給え」と申し出ました。桃水自身は別宅に泊まるので心配ないと。しかし、一葉はそれを拒み、大雪のなか人力車で帰途につきました。日記には「吹かくる雪におもてもむけがたくて頭巾の上に肩かけすつぽりとかぶりて折ふし目斗さし出すもをかし 種々の感情むねにせまりて雪の日といふ小説一篇あまばやの腹稿なる」と記しています。 実際に「雪の日」が小説として成立したのは、1年近く後、桃水との別離を経た翌26年1月20日でした。明治25年12月26日、三宅花圃を通じて『文学界』創刊号(明治26年1月31日発行)への執筆を依頼され、12月31日までに完成させようとしますがまとまらず、一度は断りの手紙を出します。年明け1月8日、花圃のもとに年始の挨拶に訪れた際、執筆を強くすすめられて再び筆をとり、20日に完成させました。創刊号には間に合わず、第2号は原稿が多くあったため、『文学界』第3号(明治26年3月31日発行)に掲載されました。 ************************* 動画の書籍は、昭和17年・新世社発行の『樋口一葉全集』第1巻です。これは、監修幸田露伴、責任編纂佐藤春夫、装幀木村荘八、扉意匠鏑木清方、題簽(書名の揮毫)は一葉の甥樋口悦という錚々たるメンバーによって世に出されたものです。 動画は、より読みやすくするために本文部分のみで構成しましたが、書籍では、下欄に以下の脚注が掲載されています。 *無き名取川=古今集に「みちのくにありといふなる名取川なき名とりては苦しかりけり」とあり。〈注:203頁前出〉 *千秋を重ねて=「一日会はずは千秋の如し」の思ひを日々重ねての意。 *由縁あれば…=古歌に「むらさきの一もとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る」を引歌とせるものなり。 *式部が歌=紫式部の「降ればかくうさのみまさる世を知らであれたる庭につもる初雪」。新古今集に見ゆ。 (佐藤春夫) *************************

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