0:05 はじめに
0:33 うつ病・適応障害と休職、一方で生活の問題
1:55 収入の一部がサポートされる「傷病手当金」制度
4:26 うつ病等で休むのは「会社に迷惑かけている」か？
5:55 メンタル医療費と、サポート「自立支援医療制度」
6:45 まとめ
うつ病・適応障害で、治療のために休職が必要になる事がありますが、生活面・経済面の心配が話題になります。治療に専念できるための「傷病手当金」制度がうつ病・適応障害でも適応になり、収入の約2/3が保証されます。またメンタル医療費に関しては「自立支援医療制度」を活用できる場合があります。
精神科医が約7.5分でご質問にお答えします。
出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart Station理事長）
こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com
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↓↓内容の詳細は下記になります。
＜ご質問：うつ病・適応障害、休職したら収入０？＞
ご質問にお答えします。今回は「うつ病・適応障害、休職したら収入0？」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
今回お受けしましたご質問は「うつ病もしくは適応障害で休職を言われています。ただ、休職をしたら収入が0になってしまうのですか？」というご質問になります。
シンプルなお答えとしては、「サポートする制度があります」というふうにお答えします。
＜うつ病・適応障害・治療としての休職について＞
まず振り返っていきますと、うつ病に関しては、落ち込みや意欲の低下などが目立つ脳の不調になります。主に脳のセロトニンの不足が言われまして、主には抗うつ薬を治療として使っていきます。
そして、ストレスで悪化するということがありますので、休養が大事でして、休職をして治療することが多くあります。
次いで適応障害ですけれども、これはストレスを背景に落ち込みなど、うつ症状などが出るいわゆるストレス反応になります。
これは脳の不調まではないということでうつ病と区別するんですけど、実際は中間のこともあります。
そして、ストレスで悪化するということがありますので、先ほどと同じく休職をして立て直すということは少なからずあるということになります。
ここで休職と言いますと、これは治療のために一定期間、仕事を休んで療養することになります。目安は3カ月になります。
まずは休むこと・休養に専念をして、その後リハビリをやっていって、最終的に復帰につなげていきます。
この期間が短すぎると復職した後の再燃・ぶり返しのリスクが高くなってしまいますので、注意が必要なものになります。
＜休職と生活、サポート制度＞
ここでご質問として「一方、休職をすると、なかなか生活はできません」ということがあります。
ここでのお答えとしては「長い目で見て、しっかり治すのが優先だと思います」と答えるんですが、「でも収入が0になってしまいます」というご質問があります。
ここに関しては、「サポートがあります」ということになります。
＜うつ病・適応障害でも使える「傷病手当金制度」＞
病気での休職ということに関して、「傷病手当金制度」というものがあります。
これをちょっと見ていきますと、「傷病手当金制度」は、病気やけがのために働くことができない、療養・休職を要するときに、お給料のだいたい3分の2程度が結果として支給されるという制度になります。
この「病気」に関しては、うつ病・適応障害（など）メンタルのご病気も該当します。
制度の要件などを見ていきますと、まず同じ病名だと期間は最大1年6カ月までということになります。
そして、医師による証明書というのが必要になって、定期的に療養している・月一回以上通院しているということが原則求められます。
そして支給は休みが続いて4日目から支給されるということになります。
＜傷病手当金申請の書類と流れ、注意点＞
これを申請しないと得られないわけですけれども、申請に必要な3つの書類というのがあります。
いずれも申請の書類なんですが、その中で「本人さんが記載するもの」、「事業主・会社の人が記入するもの」、あとは「療養担当者・担当主治医が記入するもの」ということになってきます。
基本的な申請までの流れなんですけれども、基本的には会社の方で取りまとめることが多いので、それに対応していきますと、まず1つ目としてはご本人さんの記入する分を書くと、2つ目としては医師の記入分を医療機関に依頼をして書いてもらうと、主治医に書いてもらうということになります。
そして、3つ目としては、この「ご本人分」と「医師の医療機関の分」をまとめて会社に渡すと、そうすると会社の方で手続きをすることになります。
ここで注意点として見ていきますと、まずはこの書類の「未来の日付は使えない」ということになります。ただ、10月1日に証明したとすると、これは9月30日まで、「過去の分」休職を要したという証明はできるんですけども、10月1日との記載でも、10月30日とか未来の分の証明はできないというところがあります。ここは注意が必要です。
2つ目としては、社会保険に加入している必要があります。いわゆる正社員だとだいたい加入しているんですけれども、パートタイムの勤務の場合、労働時間が短い場合は社会保険に加入していない場合があります。その場合は、この制度は使うことはできません。
3つ目としては2-3カ月かかるというところがあります。お給料の3分の2はサポートされるんですけれども、それが振り込まれるまでは手続き等が必要になりますので、ちょっと原則2-3カ月遅れて、ということになります。
＜休むと「会社に迷惑がかかる」は本当か？＞
という中で、「それはわかったんだけれども、やっぱり会社に迷惑かけたくありません」というご質問も受けます。
これに関しては、「基本的には会社もしっかり治療することを望んでいることが多いです」というふうにお答えします。
調子が悪ければ、しっかり休職してしっかり治してしっかり戻ってきてほしいという話ですけれども、これは理由としては、1つ目としてはいわゆる「安全配慮義務」というのがあります。
会社としては、職員に対してその心と体・心身の安全を配慮するということが労働安全衛生法などで義務づけられています。
その観点から見ますと、うつ病・適応障害で安全な労務・仕事が困難になっているのであれば、これはもう休職を勧めるなどして、職員の安全を守るということが必要になりますし、そういうふうに動くんじゃないかというふうに思われます。
理由の2つ目としては、実務上の理由になってきます。
不調が続いているとき、そういうときですともう、当日に欠勤が必要になったり、早退が必要になったり、仕事をしてもなかなかミスが・普段しないミスが出てしまったり、こういったリスクが続きます。
そうすると管理側・会社側としては、「その場合にどう対応するか」というのも含めて、いろいろ調整をしていく必要が日々出てくることになります。
そういうことを踏まえると、むしろもう調子が悪ければ、「もう休む時はしっかり休んで万全な状態・ぶり返す危険がなるべく減った状態で、しっかり復帰した」という方が職場としても対応がしやすいというところは、多くの場合によっては（例外はあるかもしれませんけど）多くの場合によってはあるかと思います。
＜休職中のメンタル系医療費と「自立支援医療制度」＞
ここでもう一つの質問として「休職をしながらですと、医療費もきついです」というご質問を受けることがあります。
これに関しては、「医療費のサポートする制度もあります」というふうにお答えします。
どういう制度かというと、いわゆる「自立支援医療制度」というものがあります。
これは精神科関連の制度なんですけれども、うつ病などで治療の継続が必要なときに関して、医療費が3割から1割になるという制度になります。
これは医療機関で自立支援医療の診断書というのを発行しまして、それを他の書類とあわせて市役所に出して申請するということで受けられる場合があります。
ただ、これは重症度や病名などで適応になるか・ならないかというのがありますので、これは主治医の判断が必要になりますので、これに関しては主治医の先生と相談をしていただけたらと思います。
＜まとめ＞
今回は「うつ病・適応障害、休職したら収入は0ですか？」という質問について見ていきました。
うつ病・適応障害の治療で休職が必要になる場面というのは少なからずあるんですけれども、その際にいわゆる経済面・生活がどうかという問題が・心配が出てきます。
対策として「傷病手当金制度」というのがありまして、社会保険に加入していれば申請をすることで本来の約3分の2がカバーできるというところがあります。
また、通院を続けるときの医療費に関しては、要件を満たせばではあるんですが、「自立支援医療制度」を活用することによって、負担額が3割から1割に減る場合があります。
こころ診療所グループ（医療法人社団Heart Station）
府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
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【解説者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医）
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。