2021年12月12日(日)に開かれたアルボムッレ・スマナサーラ長老のパーリ経典解説@ゴータミー精舎のライブ配信録画です。※エディター機能不調のため、再度アップロードしました。スライド資料に準拠したチャプターを作成済みです。(字幕作成:菊池まどかさん)
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00:00 礼拝と慈悲の瞑想
04:43 逝く支度 死を基礎にした人生設計
04:58 はじめにーー仏教サンガの理念と歴史
22:50 Bhaddakasuttaṃ「賢善経」
Aṅguttaranikāye Chakkanipātapāḷi 増支部 六集の聖典
2. Sāraṇīyavaggo 憶念章 4.賢善経(Bhaddakasuttaṃ)
日本語訳:光明寺経蔵(https://komyojikyozo.web.fc2.com/)
(一部改訳:佐藤哲朗)
25:23 Sāriputta尊者が語る
Tatra kho āyasmā sāriputto bhikkhū āmantesi –
ときに尊者サーリプッタが、比丘たちへ呼びかけた。
‘‘āvuso, bhikkhavo’’ti. 「友なる比丘たちよ」と。
‘‘Āvuso’’ti kho te bhikkhū āyasmato sāriputtassa paccassosuṃ.
「友よ」と、彼ら比丘たちは尊者サーリプッタへ応えた。
Āyasmā sāriputto etadavoca –
尊者サーリプッタはこう言った。
35:09 不幸な死
‘‘Tathā tathā, āvuso, bhikkhu vihāraṃ kappeti yathā yathāssa vihāraṃ kappayato na bhaddakaṃ maraṇaṃ hoti, na bhaddikā kālakiriyā.
「友らよ、ある比丘が、その生き方をする者には、賢善なる死がなく、賢善なる命の終わりが存在しない、そのような生き方をします。
Kathañcāvuso, bhikkhu tathā tathā vihāraṃ kappeti yathā yathāssa vihāraṃ kappayato na bhaddakaṃ maraṇaṃ hoti, na bhaddikā kālakiriyā?
では友らよ、いかにある比丘は、その生き方をする者には、賢善なる死がなく、賢善なる命の終わりが存在しない、そのような生き方をするのでしょうか。
40:10 不幸な死を齎す生き方 ①雑務
‘‘Idhāvuso, bhikkhu kammārāmo hoti kammarato kammārāmataṃ anuyutto,
①友らよ、ここにある比丘が、雑務を喜び、雑務を好み、雑務の喜びにふけり、
注:作務を行うことに真面目です。
出家世界でも沢山の行儀作法、義務、日常の仕事などがあります。
それらを喜んで行うのです。
充実した出家生活だと満足するのです。
1:00:00 ②おしゃべりが好き
bhassārāmo hoti bhassarato bhassārāmataṃ anuyutto,
②議論を喜び、議論を好み、議論の喜びにふけり
注:出家に仕事があります。能力がある人は説法する、対話をする、議論をするのです。
仏教に異論を立てる人がいるならば、仏陀の教えを解明してあげなくてはいけないのです。
しかし、それこそ出家の仕事であり、義務であると思ってはならないのです。
こころが乱れる作業です。
出家の目的ではないのです。
1:07:21 ③睡眠が好き
niddārāmo hoti niddārato niddārāmataṃ anuyutto,
③睡眠を喜び、睡眠を好み、睡眠の喜びにふけり、
注:森住生活は静かなものです。やることがなければ、時間を気にせず休眠できます。
脳が活性化してないと、瞑想実践もできません。睡魔に襲われます。
眠気とは無知に属する煩悩の働き場です。
1:19:00 ④衆会が好き
saṅgaṇikārāmo hoti saṅgaṇikarato saṅgaṇikārāmataṃ anuyutto,
④衆会(しゅうえ)を喜び、衆会を好み、衆会の喜びにふけり、
注:孤独が寂しくて暗いと思う人は他人との関係を喜ぶのです。
期待するのです。求めるのです。
衆会の会話が俗世間的な出来事になります。
煩悩がかき回される、増幅する機会になります。
こころの成長、次元を越えることは孤独行になります。
1:22:03 ⑤仲間が好き
saṃsaggārāmo hoti saṃsaggarato saṃsaggārāmataṃ anuyutto,
⑤交際を喜び、交際を好み、交際の喜びにふけり、
注:人間関係を好むことです。隣に話す相手がないと寂しく感じます。
一種の依存です。
自分のこころの次元は仲間との対話次元に止まります。
たとえ覚者達と仲良く話していても、次元を越えません。
覚者は真理を語る、実践方法を明かす。
しかし、実践は一人で行うものです。
1:26:28 ⑥妄想が好き
papañcārāmo hoti papañcarato papañcārāmataṃ anuyutto.
⑥捏造を喜び、捏造を好み、捏造の喜びにふけります。
注:認識は事実ではなく合成した認識情報の結果です。
貪・瞋・痴の感情で色・声・香・味・触・法というデータを合成して認識データだと勘違いするので、捏造になります。
捏造の世界は俗世間の次元です。輪廻の次元です。
捏造を好んでいる限りは解脱の境地に達しません。
無駄な出家になります。
1:31:47 まとめ
Evaṃ kho, āvuso, bhikkhu tathā tathā vihāraṃ kappeti yathā yathāssa vihāraṃ kappayato na bhaddakaṃ maraṇaṃ hoti, na bhaddikā kālakiriyā.
友らよ、このように、ある比丘は、その生き方をする者には、賢善なる死がなく、賢善なる命の終わりが存在しない、そのような生き方をするのです。
1:33:10 教えの主旨ーー実体論
Ayaṃ vuccatāvuso –友らよ、この者は言われます。
‘bhikkhu sakkāyābhirato nappajahāsi sakkāyaṃ sammā dukkhassa antakiriyāya’.
『比丘が、有身(自我)を大いに喜び、正しい苦の終わりをなすために有身を捨てない』〔と〕。
注:俗世間的に言う『私』とは実在する実体ではなく、因縁によって瞬間的に成り立つ現象に過ぎないのだと、自分の修行によって発見しなくてはならない。
発見者が預流果と言います。
1:37:35 幸福な死
今まで説かれた六の生き方を避けることになります。
経典を省略。
Ayaṃ vuccatāvuso – 友らよ、この者は言われます。
‘bhikkhu nibbānābhirato pajahāsi sakkāyaṃ sammā dukkhassa antakiriyāyā’ti.
『比丘が、涅槃を大いに喜び、正しい苦の終わりをなすために有身を捨てている』と。(尊者は、預流果に達する道を主として教える方です。智慧が欠かせない仕事です)
1:41:40 参考にした仏陀の偈
‘‘Yo papañcamanuyutto, papañcābhirato mago;
捏造にふけり、捏造を喜ぶ獣〔のような者〕、
Virādhayī so nibbānaṃ, yogakkhemaṃ anuttaraṃ.
その者は〈涅槃〉を、無上の〈束縛からの安穏〉を失う。
‘‘Yo ca papañcaṃ hitvāna, nippapañcapade rato;
しかし、捏造を捨て、離捏造の教えを喜ぶ者、
Ārādhayī so nibbānaṃ, yogakkhemaṃ anuttara’’nti.
その者は、〈涅槃〉へ、無上の〈束縛からの安穏〉へ到達する」と。
1:44:19 偈の解説
papañcābhirato mago-捏造を喜ぶ人
Magaは畜生、鹿、人という意味にも使えます。
ここでは人ですが、全体的生命・衆生という意味です。
捏造・幻覚が命を司る、繋げるエネルギーであり、生死の輪廻を繋げる糸でもあります。
nippapañcapade rato -離捏造の教えを喜ぶ者
Padaは言葉、概念、道という意味です。
離捏造は空性とも言えます。概念が成り立たない境地です。
第四、「賢善経」終わり
三宝のご加護がありますように
ありがとうございます。
1:52:37 「廻向の文」と祝福の偈
■廻向の文(終了時にお唱えください。)
「あらゆる生命に憐れみをもって真理を説かれた
本師釈迦牟尼佛陀の聖なる教えに従い、
我々がここまで積んだすべての功徳を、
神々、先祖、祖父母、両親、親族、恩師をはじめとし、
一切の生きとし生けるものに、廻向いたします。
この功徳によって、生きとし生けるものすべてが幸福に暮らせますように。
そして、解脱を得られますように。」
■スマナサーラ長老のプロフィール
アルボムッレ・スマナサーラ長老(Alubomulle Sumanasara Thero)
テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に国費留学生として来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は日本テーラワーダ仏教協会で仏教伝道と瞑想指導に従事する。他にNHK教育テレビ「心の時代」出演、朝日カルチャーセンター講師などを務める。『ブッダの幸福論』『無常の見方』『怒らないこと』(和文)『Freedom from Anger』(英文)など著書多数。
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