『伊勢物語』(いせものがたり) 平安時代の歌物語。作者・成立年未詳。 多く「むかし、男(ありけり)」の冒頭句をもつ125段から成る、在原業平(ありわらのなりひら)と思われる男の生涯を恋愛を中心として描く物語。『在五が物語』。『在中将』。『在五中将日記』。などとも呼称されてきた。
この物語は「作者と成立」は共に未詳ですが、物語の成立当時から古典教養の中心であり、各章段が一話をなしていて分量も手ごろで、都人に大変親しまれたと考えられている平安時代に登場した物語です。
『源氏物語』(紫式部・著)には『伊勢物語』を「古い」とする記述が見られ注目されますが、一体『伊勢物語』の何がどのくらい古いのかといった説が分かれており、なお決着を見ていません。作者については、古くから多く意見がありました。『藤原清輔の歌学書『袋草子』や、『古今集注』の著者『藤原顕昭』や、さらに『藤原定家』の流布本奥書に作者は『在原業平』であろうとの記述があり、さらに朱雀院の蔵書塗籠本にも同様の記述があったとされています。その原書である『伊勢物語(嵯峨本)』(国会図書館蔵)の読みときを【『伊勢物語』読み解き抄】と題して順次行っていくものです。