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最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
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先日新宿の朝日カルチャーセンターで甲野善紀先生と対談させてもらった折りに、甲野先生が妙好人の話をなされました。
赤尾の道宗とよばれた方であります。
その逸話が印象に残っていました。
「赤尾の道宗」という方のすぐれた評判をきいたある人が「化けの皮をはがしてやろう」と、田んぼの草取りをしていた道宗の尻を蹴飛ばして転ばせたそうです。
すると道宗は、平然と立ち上がって、また何事もなかったように草取りを始めました。
それでもう一度、蹴飛ばすと、また転ぶのですが、同じように平然と草取りをしていました。
その方は呆れていながら感心して
「見知らぬ者に蹴飛ばされ、転ばされて腹がたたないのか」と尋ねました。
すると道宗は「前世の借金払いだ。まだまだ残っているかもしれん」といったという話であります。
甲野先生と対談した明くる日は、日比谷図書文化館で「空のこころ」と題して講演をしていました。
東アジア伝統思想交流フォーラムという企画であります。
昨年も登壇させてもらい今回二度目であります。
日本アジア共同体文化協力機構というところが主催です。
会長は元総理の福田康夫さんであります。
昨年講演した折には、福田元総理もお見えになってご挨拶させてもらいました。
今回はご欠席でありました。
今回の中心は、伊藤みろさんという映像作家の方が、「空のように生きる」という映像詩を作ってくださり、それを発表されることでありました。
長年空の写真を撮ってこられた伊藤さんが、私の『はじめての人におくる般若心経』の本から言葉を選んで載せてくださったのです。
素晴らしい映像に私の言葉が添えられています。
私の言葉は、私自身が読んで録音したものを載せてもらっているのです。
できあった作品を拝見するのは私も初めてでありました。
自分が朗読したものがどのようになっているのか心配でもありました。
その会のはじめに、宮本雄二理事長の挨拶があって、そのあと私が「空のこころ」と題して一時間お話しました。
はじめに空の心とは、かたよらない心、こだわらない心、とらわれない心のことだと結論を伝えました。
かたよらないというのは難しいものです。
人間はなにか極端にかたよりたがるものです。
お釈迦様の場合、苦行主義にかたより、そしてまた快楽主義にかたよるというその両極端から離れることを説かれました。
右にかたよったり左にかたよったりしてしまうものです。
こだわりというのも人間にはあるものです。
自分の思考ややり方、あるいは過去の実績、昔からの言い伝え、自分の物などに人はこだわりを持ちます。
私自身もこだわりを持っています。
たとえば衣装にしても伝統の法衣を着るというのもひとつのこだわりと言えるかもしれません。
とらわれもいろいろありますが、仏教ではなんといっても「自分というものが実在していて変わらないと思い込む」とらわれを説いています。
このこだわりやとらわれを思い込みであると説くのですが、こだわりや思い込み無くして生きていくことはできません。
これらはよい意味ではたらくとアイデンティティとなります。
自己のよりどころとなるものです。
しかしこだわりやとらわれが強くなってしまうと、相手と衝突したり、または争いの種になることもあるのです。
仏教ではそのようなとらわれはすべて空であると説いています。
空であるということはどういうことなのか、仏教ではとらわれや思い込みがどのようにして起きるのかを分析して追求します。
まずお互いに感覚器官の具わった身体があります。
眼耳鼻舌身という感覚器官があります。
それに意識を加えて六つあります。
六根といいます。
それが外界に触れます。
触れると快か不快かという感受がおきます。
心地よいと喜び、不快だと怒ります。
喜ぶとそれが愛着になります。
もっと欲しいと強く思うようになります。
怒ると憎しみになって退けようとしたり攻撃しようとします。
これが意志作用です。
その結果よい人、よいもの、嫌な人、嫌なものという認識を生じます。
そのようにして私たちは自分中心に世界を色づけてしてみています。
しかしそれらは現象に過ぎないのです。
条件によって仮に生じた現象であります。
それは常に遷り変わり、固定した実体を持ちません。
移り変わり固定した実体をもたないことを「空」といいます。
真理を知らない無知とありもしない自我を実在と思い込んで、執着することによって苦しみを生じるのです。
正しくものを見ることによって苦しみから解放されます。
執着から解放され、苦しみから解放されて、恐れ、不安が消滅するのです。
空であるからといって決してなにもないわけではありません。
空のなかにはなにもありませんが、空であるからこそ、あらゆるものがそのなかから現れてくるのです。
それは鏡ようなものです。
鏡のなかにはなにものも存在しません。
だからこそ、あらゆるものを映し出すことが可能なのです。
心の本体は清浄でありいろんな思い込みやとらわれが起きるのは、晴れた空に雲が湧くようなものです。
どんな雲が湧いても、空にはなにもないのです。
自我というのは空に浮かぶ現象なのです。
あとで伊藤みろさんが宮沢賢治の『春と修羅』の序文を紹介してくれていました。
「わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です」
これも空を詠っています。
私の講演のあと、伊藤さんが映像詩についての思いを語られ、そして今回作ってくださった「空のように生きる」という映像詩を公開してくださいました。
素晴らしいなと感動して拝見しました。
そして宮本理事長を交えて、司会の瀬口さんと共に伊藤さんと私の四人でパネルディスカッションとなりました。
終わりに質問を受けたのですが、これが実に手厳しいお言葉を頂戴しました。
ある方は、映像詩は素晴らしいけれども私の朗読がいらないと言われました。
こちらはこの映像詩を作るためにいろんな苦労があって、どうにか作成できたのですが、厳しい言葉でした。
またある方はとても文章にするにはためらわれるような言葉で私の講演について酷評してくださいました。
よほど僧侶に対してよい思いを懐いていらっしゃらないのだと察しました。
面と向かってのことですから少々驚きました。
しかしながら、よく言ってくださったものです。
真摯に受け止めさせていただきます。
こちらが苦労しても、まったくよく思わぬ方もいらっしゃるものです。
皆さんの前でひどく言われてしまうこともあるものです。
そこで壇上で思い出していたのが、甲野先生から教わった赤尾の道宗さんの言葉です。
「前世の借金払い」です。
またこれだけ努力してきて公衆の面前で罵られると、きっとこれから良いことがあると思ったのでした。
いずれも空に浮かんだ現象に過ぎないのです。
終われば何事もなかったように帰路についたのでした。
横田南嶺
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