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【報ステ】在任16年での“後悔”とは…ドイツ・メルケル元首相が語る“混迷の世界”【報道ステーション】(2025年5月29日)

ANNnewsCH 678,350 4 weeks ago
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21世紀の主要な外交舞台には、いつもこの人の姿がありました。16年にわたってドイツを率いたアンゲラ・メルケル元首相。ヨーロッパで最も頼りにされる政治家として、一筋縄ではいかない各国のトップと渡り合ってきました。一線を退いた今、彼女は混迷する世界をどう見ているのか。単独インタビューが実現しました。 ※ノーカット完全版はこちらhttps://youtu.be/yDLOkdjFiZU ■原点は東ドイツ“自由”への眼差し “ヨーロッパの盟主”“自由民主主義の最後の砦”はたまたロシア融和でウクライナ侵攻のすきを作った“責任者”。様々な評価をされてきた宰相が来日しました。日本のテレビの取材に答えるのは首相退任後初めてです。 激動するポスト・メルケル時代を横目に書き上げた回顧録。タイトルに選んだ言葉は『自由』でした。 ドイツ メルケル元首相 「(Q.表題を『自由』にした理由は?)テーマの自由は私の人生全体を貫いています。この本は、自由のない東ドイツでの子ども時代から政界引退まで書いたものです。自由は子ども時代に特別なものでした。当時、自由はありませんでしたが、政界に入り重要な意味を持ちました。自由は民主主義国家にしかなく、そのために私は活動してきました」 東ドイツで育ったこと。それがメルケル氏の原点です。東西冷戦の始まりとともに生まれた分断国家。その東側は貧しく、どこに秘密警察が紛れているか分からない灰色の世界でした。自由なき独裁体制下を生き抜いた少女が目指した道は、理系である物理学でした。 アンゲラ・メルケル著『自由』(KADOKAWA) 「2たす2は東ドイツでも4なのだ」 ■歴史の“転換点”政治の道へ サイエンスの世界を突き進んでいた研究者に転機が訪れます。1989年11月9日、世界を引き裂いていた分厚い壁が一夜にして崩壊しました。この日、西側になだれ込む群衆の中にメルケル氏もいました。毎週木曜日の楽しみだったサウナのバッグを抱えたまま。 歴史の転換点をつかみとり、政治の世界に飛び込んだメルケル氏。副報道官を皮切りに閣僚、党首、そして、ドイツ史上初の女性首相へと駆け上がっていきます。 ドイツ メルケル元首相 「(Q.愚かな質問かもしれませんが、旧西ドイツで育っていたら?)愚かな質問ではありません。政治の道を選ばず、他の職業へ進んでいたでしょう。西ドイツでは教師か心理学の道を志したかもしれません。東ドイツではやろうとは思いませんでした」 就任以来、4期16年の長きにわたって国を導き、ヨーロッパの羅針盤として各国の指導者たちと渡り合ってきました。2021年、首相退任とともに政界を引退。これが一時代の終わりを告げたかのように、国際社会は今、冷戦崩壊後最大の揺らぎの中にあります。 ■在任16年 対峙した“2人” その震源となっているのが在任中に向き合った米ロ2人の指導者です。トランプ氏の本質をこう見ています。 ドイツ メルケル元首相 「『報道陣が握手を求めている』と彼にささやきました。馬鹿なことをしました。トランプ氏は人に不安を与えようとします。安倍総理とのあいさつでは19秒間、手を握りましたが、私には手を差し出しませんでした。トランプ大統領の問題は、不動産業者だったことで、その土地を入手するのが自分なのか他人なのかしか関心がありません。常に敗者と勝者しか存在せず“ウィンウィン”を知らないのです」 一方のプーチン大統領。緊張と対立は常にありつつも関係を維持してきました。ロシア語大会で優勝経験のある秀才と、東ドイツに派遣されていた元工作員。互いの言語を理解しあえる仲です。メルケル氏の首相退任を前に花束を贈ったプーチン大統領。その半年後のことでした。 ロシア プーチン大統領(2022年2月) 「我々はウクライナの非軍事化、非ナチ化を目指す」 ウクライナへの全面侵攻を始めたのです。 ドイツ メルケル元首相 「(Q.プーチン大統領の人物像は?)プーチン大統領は早い段階で言いました。彼にとって20世紀最悪の出来事はソ連崩壊だと。そのソ連崩壊は、私にとっては独裁政権からの解放です。彼はウクライナとベラルーシが独自の道を進むのが許容しがたいのです」 ウクライナへの侵攻は3年前に始まったわけではありません。2014年、ロシアは軍事力を背景に一方的にクリミアを併合。ウクライナ東部で戦闘が続く間、メルケル首相は外交を続け、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の対話も仲介しました。しかし、ある出来事をきっかけに断絶したといいます。世界を覆いつくしたパンデミックです。 ドイツ メルケル元首相 「プーチンと直接話す機会がなくなり、ビデオ会議や電話だけになりました。それがプーチンに判断を誤らせたのです。ウクライナの政権転覆がすぐできると考えていました。しかしそうはならず、ウクライナは抵抗しました」 天然ガスをロシアに依存し、関係を深めていったメルケル政権。その融和的な態度がウクライナ侵攻を招いたのではないか。向けられる批判に対し、回顧録では「関係を維持したのは正しかった」と主張しています。 アンゲラ・メルケル著『自由』(KADOKAWA) 「ロシアはアメリカ合衆国と並ぶ世界トップの核保有国であり、EUにとっては地理的にも隣国なのだから」 しかし今回、後悔の念を漏らす瞬間がありました。 ■ロシアに対抗する“軍事力” むきだしの力で隣国を支配しようとするロシア。あまりに価値観の違う相手にどう対峙するのか。今月就任したドイツのメルツ首相は、射程の長い兵器をウクライナと共同生産することで合意。射程500キロのミサイルの供与については、明言しないもののドイツの兵器でロシア領内を攻撃することも容認に転じています。 ドイツ メルケル元首相 「(Q.ウクライナへの武器供与の強化をどう受け止めるか?)政界を引退したので今の政治には口出ししません。現政権が判断することですが、今重要なのは欧州独自の強力な軍事的抑止力を構築することです。『後悔は何か?どんな誤りを犯したか?何が足りなかったか?』と問われたら、それは軍事力強化のスピードです。あまりにも遅すぎたため、今埋め合わせが必要です。軍事力だけでは戦争には勝てず、外交も必要ですが、軍事力がなければウクライナは勝てないでしょう」 ■世界に再び“壁”大切なことは メルケル氏を自由な世界に導き、首相へといざなったベルリンの壁崩壊。30年余りの時を経て、世界には再び壁が築かれつつあります。目に見える壁も関税という目に見えない壁も。 ドイツ メルケル元首相 「(Q.自由を阻害する“壁”があちこちに立ちはだかっているが?)自由とは自分のことだけ考える不謹慎なものではなく、他者の自由を認める必要があります。現在の民主主義は、ドイツが統一し多くの国が自由になった1990年当時より、強い圧力にさらされています」 メルケル氏と同じく自由を重んじた前ローマ教皇フランシスコ。根本的な意見の隔たりがある相手にどう対応するかアドバイスを求めた時の教皇の答えに心を打たれたといいます。 アンゲラ・メルケル著『自由』(KADOKAWA) 「『曲げて、曲げて、曲げて、けれど折れないようにすることです』私はそのイメージが気に入った」 ドイツ メルケル元首相 「(Q.“壁”の立ちはだかる世界で自由と民主主義を守るには?)自由を守るために最も重要なことは、妥協を良しとすることです。妥協する覚悟がなければ共存はできません。多くの人が共に暮らせば異なる意見も出ます。家庭内でも休暇の計画を立てれば皆意見が違います。全員が自分の主張に固執すればコミュニティーは崩壊します。妥協を軽視せず重視すること。それが私からのアドバイスです」 [テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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