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抗うつ薬について【総論から各論まで、精神科医が全体像を18分でしっかりまとめます】

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00:40 抗うつ薬総論 05:53 各論 06:20 各論①SSRI 08:27 各論⓶SNRI 10:32 各論⓷NaSSA 12:33 各論④スルピリド 14:35 各論⑤アリピプラゾール 16:25 各論⑥三環系抗うつ薬 16:59 補足:気分安定薬をうつに使うとき 17:35 まとめ うつ病・適応障害の治療では、しばしば「抗うつ薬」を使います。この抗うつ薬、全体的な使い方のルールから各薬剤の特徴まで、精神科医が要点を約18分の動画で網羅してまとめています。 出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長) こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所 https://fuchu-kokoro.com チャンネル登録お願いします https://www.youtube.com/c/こころ診療所チャンネル ↓↓内容の詳細は下記になります。 (1)はじめに 抗うつ薬は、こころの薬、向精神薬の中でも非常によく使うことがある薬です。うつ病・パニック障害などにも使います。いろいろなタイプの抗うつ薬がありますけれども、今回、この動画で全体像をまとめていきたいと思います。 (2)総論①抗うつ薬について 抗うつ薬ですけれども、まずどういう薬かといいますとうつをよくする、代表的な向精神薬・代表的なこころの薬です。いろいろな種類はありますけれども、代表的なものはSSRI、脳のセロトニンを上げることによって症状をよくする薬です。ここでセロトニンというのをちょっと見ていきますけれども、これは代表的な脳内物質の一つでして、リラックスや安定といったところをつかさどるタイプの脳内の物質になります。これが不足すると落ち込み、不安、いわゆるうつ病や不安障害の症状が出ることがあります。 この治療として、抗うつ薬を使います。抗うつ薬、どういう病気に使うかということですけれども、まず第1にうつ病、そのほかにいわゆる不安障害系。具体的には、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害などに使うことがあります。 (3)総論②抗うつ薬の使い方 まず1つ目、少ない量から徐々に増やしていきます。これは、抗うつ薬の副作用として、どうしても身体が慣れないことで副作用が出ますので、まず少ない量からなるべく慣らし、だんだん効く量に持っていくということがあります。そして、十分に効果が出てからすぐにやめてしまうと再燃・ぶり返しのリスクが高いですので、落ち着いてからも一定期間使うといいとされます。その期間を使ってから徐々に減らしていく。ここで一気に減らしてなくしてしまうと、離脱症状が出てきますので、ゆっくり減らすというのがポイントになります。 (4)総論③抗うつ薬の副作用 抗うつ薬の副作用、大きく言うとこの3つです。一つは体が慣れないという副作用、2つ目が相性が悪いことによる副作用、3つ目が離脱症状になります。逆に言うと、この抗うつ薬、定期的に同じ量を使う中ではそんなに副作用は少ないとされます。また、いわゆる精神的な依存は余りないとされます。 この副作用、まず1つ目としては体が慣れない副作用。これは飲み始め、もしくは量を増やした直後に出ることが多いです。吐き気、めまいなどが代表的です。脳以外の部分のセロトニンも増やしますので、それに体が慣れず、こういった副作用が出ることがあります。これらは仮に出ても数日で慣れて治まってくることが大半です。 2つ目が相性が悪いことによる副作用。いわゆるアクティベーション症候群と言われるもの。これは頻度は少ないんですけれども、一方で(こうした場合は)あまり続けても逆効果になってしまいますので、すぐ薬を中止していただけるといいと思います。3つ目が離脱症状です。急に薬をやめたとした時に、体がなれないことが発生します。その結果、めまいであったり、しびれであったりといった離脱症状というのが出ることがあります。対策としては、例えば飲み忘れていたら再度薬を再開するなどで改善が見込むことはできます。ここに関しては、薬を減らすとき一気にやめてしまうと、この離脱症状が出やすいということがありますので、減らすときは徐々にゆっくり減らすということをしていきます。 (5)総論④総論まとめ 抗うつ薬は続けることで、うつ病や不安障害の改善を図る薬になります。効果が出るのは2-3週、ちょっと時間差になりますので、じっくり腰を据えて使うことが大事です。そして、改善してきてもすぐにやめてしまうとぶり返しのおそれがあるので、目安としては半年は続けて、その後離脱症状に注意しながらじっくりと減らしていくことが大事な薬になります。 (6)各論0:どんな薬があるか 抗うつ薬、一番代表的な薬がSSRIという薬です。そのほかの薬としてSNRI、NaSSA、スルピリド、アリピプラゾール、三環系抗うつ薬というものがあります。 (7)各論①:SSRI まず、1番目のSSRI、選択的セロトニン再取り込み阻害薬になります。これは、脳のセロトニンを増やすための薬です。 セロトニンという物質は脳内で一回出て、また脳内に取り込まれますが、その部分・再取り込みを抑えることによって、脳のセロトニンを増やすという薬になります。 不安・落ち込み、双方に効果があります。特に不安に対しての効果は強いとされますので、うつ病のほか不安障害圏に使うことがあります。この薬の例としては、セルトラリン・エスシタロプラム・パロキセチンというものがあります。SSRIの特徴はおおむね総論の通りで、効果が出るまでは2から4週かかる一方で、副作用、おなかの副作用などは初期に出て、その後慣れてくること、そして、急にやめると離脱症状が出るという特徴があります。 (8)各論⓶:SNRI 減らす時も徐々に減らしていくということをしていきます。続きまして、SSRIに似た薬としてSNRIというものがあります。これはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬になります。 SNRIはもう一つノルアドレナリンという物質も増やす薬になります。基本的にはSSRIと効き目その他は近い薬になりますけれども、違いとしてはこのノルアドレナリンという物質も増やすということがありまして、この物質は主に意欲・やる気などに関連するものと言われていますので、意欲があまり出ないという方に対して効果が期待できます。一方で、副作用としてはSSRIの副作用に加えて、尿閉、不眠が出ることがあります。ここを踏まえて、どういう時にこのSNRIを検討するかと言いますと、まず1つ目としてはなかなか意欲・やる気が出ないという方に関しては一つ候補になります。 もう一つSSRIが使えない、副作用であまり使えないという方、もしくは効果があまり出ないという方。これに関しては適用を検討するということになるかと思います。 (9)各論⓷NaSSA 3つ目の薬としてはNaSSAという薬(一般名ミルタザピン)があります。この薬は、セロトニンとノルアドレナリンを同時に増やす薬なんですけれども、SSRIとは少し効く場所が違って、この2つの物質を増やす薬になります。SSRIなどとはちょっと違う特徴があります。特徴は、眠気が出やすいです。寝やすくはなる一方で、日中も眠気は残ることがあるという一長一短です。副作用も一番多いのは眠気とだるさになってきます。この薬はどういうときに検討するかといいますと、1つ目としては不眠・眠れないということがある方になります。 2つ目としては、SSRIやSNRIがあまり効果がなかったり、副作用などで使いにくかったりという方が候補になります。3つ目としては、高齢の方に使うことが結構あります。 (10)各論④スルピリド 続きまして、スルピリドという薬になります。これは少量を使うと、うつ病に効果があるとされる薬。少量を使うと、結果としてドーパミンという物質を増やすことがあって、この物質は意欲などに関係しますので、うつの症状を改善するということを主に期待します。 この薬の特徴としては、まず少ない量だとあまり副作用が出ません。おなかの症状だったり、そういうことはあまりないと、かつ離脱症状もほぼあまり考えなくていいということが長所になります。 一方で、SSRIと比べると十分量を使えず、効果としては少し弱いという傾向はあるかと思います。副作用は、1つ目としては女性の方だと生理不順の副作用が出ることがあります。プロラクチンという生リサイクルと関連するホルモンが上昇し、その関連で生理不順が出ることがあります。 この薬がどういう方に適しているかといいますと、1つ目としては副作用が出やすい男性の方(男性だと生理不順がない)ほかに、SSRIが副作用等で使いにくい方、高齢の方に使うことがあります。 (11)各論⑤アリピプラゾール 次の薬としてアリピプラゾールという薬があります。これも少量を使います。メカニズムもスルピリドと近く、少量を使うと脳のドーパミンが増える。それによって意欲などが出ます。 特徴としては、抗うつ薬(SSRIなど)と効く場所が違うので、抗うつ薬といわゆる相乗効果、合わせることで効果を発揮するという特徴があります。 一方、この薬の副作用、不眠・眠気が出ることがあります。少し量が増えてくると、アカシジアといって体がムズムズするという副作用が出る方がいます。 この薬が適した人に関しては、まずは抗うつ薬だけだと効果がもう一歩という方(併用での増強療法)。そして比較的10代の方に使うことがあります。 (12)各論⑥三環系抗うつ薬 次が3環系抗うつ薬になります。これは以前はかなり使われていた薬です。薬の効果自体はあるんですけど、口が乾いたり、便秘になったりといった副作用はちょっと出やすい傾向があります。なので、最近は使われる頻度は減っています。 (13)補足:気分安定薬 うつの治療で気分安定薬(リチウム・バルプロ酸)を使う方もいると思います。難治だったり、経過などから躁うつ病の可能性を考えた時に、併用することがあろうかと思われます。 (14)全体のまとめ 抗うつ薬は続けることによって、うつ病・不安障害などを改善するための薬になります。 主にはSSRIを使いますが、副作用などによってSSRI以外の薬を使うことがあります。共通しているのは、効くまで2-3週かかり、効果はすぐには出ないという中で、じっくり腰を据えて使うことが大事になってくる薬です。そして、安定してからすぐやめてしまうと、再燃ぶり返しのおそれがありますので、改善してもしばらく数カ月待った上で徐々に減らしていくのが大事です。 こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station) 府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695) #抗うつ薬 #うつ病 #うつ状態 #SSRI 【解説者】 医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎 精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医) 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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