Ukrainian girl sings "The Bells of Nagasaki" (Invited to Chernobyl Nuclear Power Plant Accident Memorial Service for Peace Exchange) Toyokazu Ihara
1.目的
1986年4月26日、午前1時23分に爆発した「チェルノブイリ原子力発電所4号炉の事故」から32年が経過した。
4月26日当日及び前後に開催される、ウクライナ各地での慰霊行事や記念式典に出席し、「長崎原爆の被爆体験と長崎の平和運動」について、挨拶、講演、映画上映などを行う。
また、ベラルーシ共和国では、「国立医科大学図書館」での学内平和集会に出席し、ウクライナと同主旨の講演を行う。
2. 招請団体
1)ウクライナ・スラブチッチ市長
2)ウクライナ・国立チェルノブイリ博物館長
3)ウクライナ・NPO法人「ゼムリャキ」
4)ベラルーシ共和国・国立医科大学校及び日本ベラルーシ友好協会
3.協力団体
高田賢三「起き上がりこぼしプロジェクト」
4.招待者
長崎原爆被爆者 (日本国外務省非核特使)
代表 井原 東洋一
長崎瓊子の会 (日本国外務省非核特使)
被爆2世 大瀧 知子
5.日程
平成30年4月23日(月)~5月4日(土)
6.行事日程
別紙詳細日程の通り
7.公式行事実績
1)訪問国・団体など公式訪問 4回
2)駐日本国大使館表敬と夕食会 4回
3)慰霊式典集会参加、献花と挨拶 3回
4)被曝体験と反核平和講演 5回
5)共演(ナイチンゲール合唱団) 1回
6)意見交換と懇談会 5回
7)公式記者会見及び取材 2回
計 24回
8.講演の主な内容と主張
1)チェルノブイリ被災犠牲者と遺族への見舞い。
2)自らの被爆体験と長崎原爆の惨状。
3)原子爆弾は絶対悪であり投下は実験だった。
4)オバマ大統領の「核なき世界」発言の評価。
5)長崎の復興と加害の歴史の反省と謝罪。
6)世界平和の先導的役割を果たすべき日本。
7)科学の成果の共有と核兵器禁止への期待
8)核の平和利用の欺瞞、チェルノブイリ、福島の連帯
9)人間による安全保障、核と人類とは共存できない。
10)長崎の平和運動の具体例。10数件例示。
9.総括的感想と意見
1986年4月26日午前1時23分に発生した「チェルノブイリ原発4号機の炉心爆発」は、原発事故で最大級のレベル7に記録され、32年後の今日もなお廃炉にむけた困難な作業が継続されており、解体廃炉の立案責任者ドミトリー・ステマリク戦略計画部長による公式見解でも「原発の燃料除去まで、500年以上をかける対策が現実的であり、2016年11月に完成した、耐用100年の鋼鉄製シェルター内の作業は、年内に終了させたい」と語られている様に、超長期にわたり収束不可能と考えなければならない。
しかし、ウクライナが核兵器廃棄を実現した先駆性に学ぶ「核兵器禁止」の課題とは全く異なり、「原発依存」の現実は、あれほどの惨劇を経験しながらもなお顕在化している、ウクライナ及びベラルーシ共和国の内部事情と矛盾におどろき、この根源は日本国内と同根の闇の中にあるのではないかと痛感させられた。
被害国民は、二つの国でも2分されている。
核被害者が受けている困難、すなわち、肉体的、精神的、社会的差別は深刻で、それらに対する保障は充分ではなく、廃炉作業の未来に苦悩する若者たちは、希望を失いかけている。
原発ベテラン作業者たちの自負心に満ちた言動は、夫を失い、幼児を抱えて避難し、差別に抗して生き抜いてきた女性たちの心をつかんではいない。
差別と分断は、古来から支配の道具であり「原発は現在の戦争である」との認識を深めた。
それでも、世界中に散在する原発の、これから到来するおびただしい廃炉作業に手を抜くわけにはいかない
「原爆と原発」そして「戦争と人類」
「人類が戦争を終わらせなければ、戦争が人類を終わらせるであろう」とのケネディの言葉を、改めて肝に銘じなければならない。
長崎は、伝えて、伝えて、伝え続けなければならない。