岩手・大船渡市で26日に発生した山林火災について、日本防火技術者協会の鈴木弘昭理事にお話を伺います。
青井実キャスター:
まずは1時間半前の上空からの映像を見ていただきたいんですが、延焼というのはまだ続きそうでしょうか。
日本防火技術者協会・鈴木弘昭理事:
相当広がっていますので、なかなか消すのが難しいんじゃないかと思います。この状態だと煙が多いですが、やはり火がありますね。
今回、3カ所で山林火災が相次いでいる状況ですが、改めて時系列で見ていきます。
1件目が岩手・大船渡市の綾里という地区ですが、1週間以上前の19日に発生しまして、25日に「鎮圧」といって、火がこれ以上燃え広がらない状態になったということです。
2件目が、1件目から約9km離れた場所。
陸前高田から大船渡市にまたがる山林で25日に発生し、26日に鎮圧になったと。
3件目は2件目から7km、1件目からは2kmほどの距離になっています。
場所は大船渡市で、2件目の1時間後に発生し、27日午後3時40分現在もまだ燃え広がっているということです。
青井実キャスター:
この3つの火災というのは、関係あるんでしょうか?ないんでしょうか?
日本防火技術者協会・鈴木弘昭理事:
あるかもしれませんね。正確には分からないですが。通常これだけ距離が離れていると、飛び火はないとみるんですけれども。
宮司愛海キャスター:
飛び火がないとすると、なぜ大船渡市周辺でこれだけ火災が相次いだと考えられますか?
日本防火技術者協会・鈴木弘昭理事:
これは、ちょっと難しいんですけどね。別の画面では、林の谷間になっているようなところがあって、その谷間に沿って燃えているように見えるんですね。当然、風の向きによってはそういう谷間に行きますから。熱気流がそこにたまって着火しやすい状態になっている所に、何らかの火種が飛ぶか、あるいはできるか。
青井実キャスター:
気象条件であったり、風の方向であったりも加味してとなるんですね。
日本防火技術者協会・鈴木弘昭理事:
そうですね。ただ、日本の場合には自然発火というのは案外少ないもんですから、今回の場合も自然発火とはちょっと考えにくいんですが。
青井実キャスター:
現地では今も消防に加えて自衛隊などが懸命の消火活動を行っている状況ですが、消火について、この広さ・規模になると消火はなかなか難しいんですか?
日本防火技術者協会・鈴木弘昭理事:
難しいと思いますね。ヘリコプターなどで水を持っていくんですが、火の近くまで持っていけませんから。熱気流で持っていけませんから、上のほうから放出します。そうすると地面まで、木のところに来たところまでで、もうバラバラになっちゃっている。そうすると効果が少ないと。実際には効くんですが、もちろんあるのとないのとでは違いますけれども、それでも通常の建物を消すような状態のようには消えないと。
宮司愛海キャスター:
最近は乾燥注意報も10日連続で出ていたりとか、極端に雨が降らない乾燥した状態が続いているということですけれども、この周辺でまだ火災が起こる可能性、恐れはあると思いますか?
日本防火技術者協会・鈴木弘昭理事:
これだけ大きくアナウンスされていますから、改めて、たばこを捨てたり、あるいはマッチだとかそういう火遊びをしたり、それから野焼きといいますか、そういうことはないと思うので、ちょっと考えにくいんですけども。
青井実キャスター:
27日朝にかけても大きな被害があり、住宅にも被害が出てしまったわけですが、範囲はかなり広いんです。
まだ状況は全て分かりきっていませんが、大船渡市などによりますと、建物の被害だけで少なくとも84棟以上。
それから、男性とみられる1人の焼死体が小路地区で見つかっていて、人的被害も出ている状況です。
上空の映像を確認した限り、エリアでいうと合足漁港と綾里漁港という2つの漁港にまたがった間の集落などで住宅の多くが焼失したとみられています。
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