100年を超える、ふるさとの食べごと。
茅乃舎1893は、日本各地に根付く、食文化を紹介する取り組みです。
今回は長崎県・五島列島の食を紹介させていただきました。
『茅乃舎1893』は、各地に伝わる地域の食に光をあてようと始めた取り組みです。
1893という年は、私たち久原本家グループが生まれた年でもあります。この頃から現在にかけた100年以上の間に、食生活では大きく現代化が起きたのではないかと思っています。そこで、それより前から伝わるであろう、「100年を超えるふるさとの食べごと」を未来に残したいと思いました。
本来、四季と多彩な地形に恵まれた日本列島は、山ひとつ越えるだけで食べるものが違うと言います。
そんな土地に根ざした多様性にこそ食の豊かさがあるのではないか、そんな思いで各地域を巡っています。いわゆる観光名産品ではなく、かつてふつうの暮らしの中にあり、ふつうの方々が作っていたものを探し続けています。
この取材は今回の五島列島で、4回目になります。
回を重ねるごとにその地域の歴史にしっかり触れるべきだという思いが強くなり、これまで以上に五島の歴史や背景について読み込み、撮影に臨ませていただきました。
五島列島は、海を越えて渡ってきたものを受け入れ、そこから小さな波のように新たなものが生まれた土地であると感じました。一方、撮影時に教えてもらった「干しかまぼこ」のように、ひとつの湾を隔てるだけでつくるものが全く違うという話もありました。こうした外にひらかれた開放性と、島や湾により隔たれることによって生まれる独自性の双方が共存する、不思議な魅力が五島にはありました。
そして今回も取材させていただいた皆様のたくさんのご厚意に甘えさせていただきました。
フジちゃんが持たせてくれた炊いたイワシ、とても美味しかったです。
杉さんがご案内してくれた干しかまぼこ、おうちでご飯にふりかけていただきました。絶品でした。
有川さん、教えていただいたきびなごの開き、最後までうまくできなかったけど、また教えてくださいね。
中村神父様、色々教えていただきありがとうございました。はったい粉のお団子でお腹がパンパンになりながら、自分が歳をとった時には何を懐かしく思い出すだろう…と考えていました。
みなさま、本当にありがとうございます。
変わりゆく社会の中で、すべてのものを未来に残すのは難しいのかもしれません。それでも、私たちが何を受けついだのか、目に焼き付けておきたいと思います。
この動画を見た方にも、ご自身の「ふるさとの食べごと」に思いを馳せていただけたら幸いです。
取材をさせていただいた五島の皆さまに感謝いたします。
■以下2点、誤りがございました。訂正してお詫びいたします。
7:42 福江市(ナレーション)→ 五島市
8:24 福江協会 → 福江教会
2022.12.20
『茅乃舎1893』編集部