Hiromi Shimada, scholar of religion
宗教学者の島田裕巳さんが「オウム真理教はどういう宗教だったのか」のテーマで話し、記者の質問に答えた
司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2015/02/r00030488/
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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2015年3月号に掲載)
無自覚なままテロに関わる怖さ
オウム真理教とはどういう宗教だったのか。その重要な問いを置き去りにしたまま、地下鉄サリン事件後に教団の解体を急ぎすぎたと振り返る。
カルトといえば「マインドコントロール」という手法が議論になるが、教団が伸長した1980年代には信者は自らの意志、関心から入信している。麻原彰晃死刑囚の説法を読むと、オウムは新しくユニークな宗教として魅力的だったと見る。
ヨガを基にした激しい修行を通して神秘的な体験をすると、それを本物と信じ込み、教団から抜け出せなくなる。やがて道場で生活しながら修行する出家制度ができ、閉鎖的な集団になった。
常軌を逸した修行の激しさから必然的に起きたといえる信者の事故死。表沙汰になれば、教団の発展が阻害される。その隠ぺいが犯罪の原点になったと推察する。秘密を知る信者が脱会しようとした時に初めて殺人を犯し、凶悪化していく。
「テロを起こそうという気持ちがなかった人間が、無自覚なままテロに関わったこと自体が怖いことかもしれない」。誰しも一歩間違えば、道を踏み外す危うさがある。世界の宗教テロの防止に役立てるためにも、オウムの検証は欠かせない。
東京新聞論説室
大西 隆