およそ1年前の福島県沖地震で甚大な被害を受けたローカル線の阿武隈急行。
今、直面している課題を乗り越るため、駅では普段めったに見られない光景を取材することができました。
去年3月に発生した福島県沖を震源とする マグニチュード7.4の地震。
福島県内では、相馬市などで最大震度6強を観測し、各地で被害が相次ぎました。
中でも、甚大な被害を受けたのが、福島と宮城をつなぐローカル線の阿武隈急行。
線路のゆがみやホームの崩落など被害箇所は100か所以上に上り、全線復旧までおよそ3か月を要しました。
あの地震から間もなく1年。
■大川記者リポート
「去年3月の大地震からおよそ1年が経ち、ホームは完全に復旧していて、きょうも多くの利用客の姿があります。」
人口減少やコロナ禍など、ローカル線を取り巻く環境は厳しさを増していますが、地域の生活の足として欠かせない阿武隈急行。
しかし今、ある課題に直面しています。
■阿武隈急行運輸車両課 丹治浩康さん
「一番の課題は、車両の老朽化が進行していて…」
車両の老朽化です。
ローカル線が持つ車両のうち55%は車齢が30年を超えていて、その更新が喫緊の課題となっているのです。
今から35年前の1988年に開業した阿武隈急行もその一つ。
■阿武隈急行運輸車両課 丹治浩康さん
「旧車両の8100形という車両になります。」
青と緑のラインでおなじみの阿武隈急行「8100形」も開業当時に導入された車両です。日々、メンテナンスを行い、これまで車両に大きなトラブルは出ていませんが…
■阿武隈急行運輸車両課 丹治浩康さん
「車両の速度を調整する心臓部になる機械になります。特に電子系の部品がありません。(Q廃番になっている?)もう作れないです。」
阿武隈急行では旧型車両から新型車両への更新を進めていて、8100形も近年、廃車となる予定です。
そうした中、先週22日。 終電後の梁川駅に阿武隈急行の職員の姿がありました。
■阿武隈急行企画営業課 舘山純さん
「きょうは、新型車両。AB900系という車両がこれから福島から梁川まで入線するので…」
旧型に代わる新型車両が搬入されるということで、この日は特別入場券を販売。
深夜にもかかわらず、30人ほどの鉄道ファンが駆け付けました。
■仙台から来た鉄道ファン
「小さいころから阿武急を見ているので、古い車両が新しい車両を引っ張ってくるのも意味があると思って、寂しいという思いもあるが、これから新しい列車が頑張っていく姿も見ていきたい。」
そして、午前2時21分。
4両の旧型車両にけん引され、真新しい新型車両の「AB900系」4両が無事、駅に到着しました。
今後は試運転の期間を経て、順次旧型車両と置き換わっていきます。
■阿武隈急行運輸部長 森剛さん
「これまで活躍した車両が去っていくという入れ替わりがあるので、寂しい部分も出てくるが、新しい車両で心地よく皆様に乗っていただければ。」
災害に、コロナ禍、さらには車両の老朽化など様々、課題はありますが、地域の交通を支えるため阿武隈急行はきょうも走り続けます。
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https://www.fct.co.jp/news/area_news_1115