「今週のふるさとWishは、「めぐる福岡!のりものWish」です。
平成筑豊鉄道は、田川市を経由して直方市と行橋市を結ぶ地域の重要な交通手段です。単両編成のディーゼル車が田園地帯を走り、地域住民に愛されています。駅のベンチやプランターなども地元の生徒が作成し、地域との関わりを深めています。社会科見学で訪れた小学生からは「また乗りたい」という声も聞かれました。
しかし、この鉄道の存続が危ぶまれています。
▶歴史と現状 (01:07)
かつて筑豊地方には石炭輸送のための鉄道網が発展し、町の成長を支えてきました。時代の変化とともに、平成筑豊鉄道は第三セクターとして自治体の支援を受けながら存続してきましたが、営業収入だけでは維持が難しく、市町村の財政負担が大きくなっています。
年間約10億円の維持費が必要とされており、その内訳には約10万本の枕木交換費用などの安全対策費が含まれています。乗客数は開業以来減少を続け、ピーク時の約半分にまで落ち込みました。さらに、2018年の豪雨では3カ月以上の運休を余儀なくされるなど、災害の影響も大きくなっています。
▶存続か、バス転換か (02:45)
現在、鉄道の存続かバス転換かを巡る議論が進められています。鉄道がなくなれば最も影響を受けるのは高校生で、乗客の約4割を占めています。生徒からは「鉄道がなくなると不便」「バスより電車の方が利便性が高い」との声が上がっています。
一方で、成人の利用者は減少しており、地域住民の多くが車を利用しているのが現状です。「周りの大人はほとんど鉄道を使っていない」という声も聞かれました。
▶公共交通の未来 (04:15)
日本は超高齢社会を迎え、高齢者の移動手段の確保が課題となっています。免許返納後の移動手段として公共交通の重要性は増していますが、利用者が減少している現実も無視できません。
「今は使わないけれど、鉄道やバスは残してほしい」と考える住民も多く、平成筑豊鉄道も存続に向けた施策を進めています。スマホ決済の導入や新駅の設置、観光需要の取り込みなど、利便性向上に努めています。
観光列車の運行やサイクルトレインの導入など、新たな利用形態の提案も行われています。沿線には菜の花が咲き誇る風景や石炭産業の遺構が残るエリアがあり、地域の魅力を活かした観光資源の活用が期待されています。
鉄道を存続させるのか、他の交通手段に転換するのか、関係者がデータをもとに議論を進めています。地域の足としての役割を果たし続けるために、どのような形が最適なのか、住民と共に考える時期に来ています。
平成筑豊鉄道がこれからも地域の生活を支える存在であり続けるためには、利用促進の取り組みと持続可能な経営の両立が求められています。
2025年2月25日放送