高台の空き家「天空の廃虚」 海一望+昭和感で入居者殺到 大人の夢実現へ【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年2月4日)
神奈川県横須賀市の高台にある空き家は荒れ果てていることから、「天空の廃虚」と呼ばれている。今、なぜかここに多くの人が訪れているという。
■1960年に市営住宅として建設…2020年に廃止に
ひとけがなく、荒れ果てた無数の空き家。海が一望できる高台に建ち並ぶ姿から、「天空の廃虚」と呼ばれている。
今、この天空の廃虚を訪れる人が殺到。
東京都から来た40代
「秘密基地みたいな感じがワクワクする」
横須賀市から来た50代
「皆で盛り上がりそうで楽しそう」
神奈川県横須賀市。コンビニやスーパーが一軒もない、最寄り駅から曲がりくねった坂道を上ること10分…。
穏やかな横須賀の海が一望できる高台にある「田浦月見台住宅」。プロ野球のグラウンドとほぼ同じ広さの敷地に、木造やコンクリート造りの平屋住宅が22棟、58戸建ち並んでいる。
住宅の外壁は崩れ、ひさしもはがれ落ち…庭には畳が積まれている。電話機や蛍光灯、トイレの便器などが置かれ、かつて人が暮らしていた痕跡がうかがえる。
1960年に市営住宅として建てられたが、老朽化のため2020年廃止に。入居者が退去した後は空き家となったまま…。
坂が多く道も狭いため、再開発が難しく廃虚と化した。
近隣住民
「でかい廃虚だなとずっと思っていた」
「天空の廃虚でしょ。ただすごく良い景色なんで」
しかし今、天空の廃虚にある変化が起きていた。
住民はいないはずなのに…大勢の人が連なって歩いている。さらには、輪になって集まる様子も。
担当者
「ここが一番景色がいい。海が見える」
行われていたのは「見学会」。空き家をリノベーションし、「店舗兼用住宅」の賃貸物件として再活用することとなった。
エンジョイワークス
高才ゆきさん
「『職+住』一体のなりわい住宅として改修。この古いものに良さを見いだして、新しいものをつくっていただけるような方に集まっていただいて、コミュニティーを形成していく」
天空の廃虚の見学会に人が引き寄せられるポイントがあった。
高才さん
「海も感じるしお部屋から一望できる。『古民家』『庭付き』『海見え』『平屋』は人気な最強ワード。この4つの最強ワードがここは全部そろっている」
海を眺められる高台にあり、古民家で平屋という昔ながらの風情を感じられるうえに、庭付きというぜいたく感も魅力となっている。
SNSでPRを行い、入居者を募集したところ希望者が殺到。関東だけでなく、北海道や愛知県からも訪れ、見学者はこれまでにおよそ700人が参加した。
東京から参加(40代)
「何かトライしたい人にとって非常にうってつけの場所」
東京から参加(20代)
「セカンドハウス的な使い方のイメージ」
■看護師を辞め…夢だった飲食店開業
飲食店を開業予定
本美穂さん(56)
「ここで飲食店を。定食みたいなおうちのゴハンをやりたい」
横須賀市在住で看護師をしている本さん。7月から友人と一緒に飲食店を開業予定だ。
本さん
「こっちキッチンにするなら大きいテーブルを置いて相席スタイルにはなるんですけど。厨房(ちゅうぼう)の方にもカウンターを作りたい」
「『もとさんち』っていうお店で、おかえりっていうコンセプト。いらっしゃいじゃなくて。人のうちのゴハンみたいな感覚」
35平米の広さで家賃は駐車場込みのおよそ8万円。実は、飲食店開業は本さんにとって夢でもあった。
本さん
「調理師(免許)を取ったのは30年前。もともとは飲食をやりたくて取った免許だったんですけど、ちょっとそれができずここまできて、やっぱやりたいのそっちだよね」
「(Q.オープンする時は看護師やりながら?)いやもうそこはきっぱり辞めようと思ってます。やっぱり中途半端に心が動いてしまうので」
看護師の仕事を辞めて、30年越しの夢をかなえることを決心した。
本さん
「皆で盛り上がりそうとかもあるので、楽しそうだなっていうワクワク感がやっぱり一番」
「最悪、主人が脱サラしてどこか移住っていうのも考えたりしたんですけど、ノスタルジックな昭和感、懐かしい、ここだったらみたいな感じでチャレンジしようかと思いました」
「(Q.家族の了承は得られている?)反対するというのはない。選択肢は」
夫 本賢さん(52)
「(反対は)なかった」
横浜市在住の山本剛さん(58)は…。
山本さん
「今、江戸切子の勉強しているので、それの工房をできたらなと。もう早期退職しちゃったので、普段知り合えない人たちとの出会いとかもあるかな。横浜市で住まいを残して2拠点みたいな形」
入居者の中には、カフェやラーメン店、そして雑貨店。さらには、マッサージ店や民泊施設を開業予定の人たちもいる。
■「古いモノと新しいモノの融合」に価値を見出し セレクトショップを開業
セレクトショップを開業予定
渡辺翼さん(33)
「自分でお店をやりたくて、(去年)12月に会社を辞めて。洋服と家具と器とその3つの柱でお店をやろうかなと思ってます」
アパレル会社のバイヤーとして働いていた渡辺さん。今年から独立し、セレクトショップを開こうとしている。
70平米の1棟を契約し、家賃はおよそ15万円。
渡辺さん
「代々受け継がれて今も残っている建物があって、そのまま使うんじゃなくて自分なりにリノベーションして使っていい。新たな可能性がすごいある」
「古いモノと新しいモノの融合」に価値を見いだした渡辺さん。
この日は家具店へ。
渡辺さん
「自分のお店のオリジナル家具。食卓テーブル、スツールとか作って頂ければなって話をしています」
開店予定の店では、オリジナルの家具を販売するという。
田浦月見台住宅には飲食店が入る横丁やドッグラン、サウナ付きの入浴施設などの交流できる場所も作られる予定だ。
渡辺さん
「1人だけでやるっていうよりは、皆で盛り上げて街を盛り上げていくっていうところも重要」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年2月4日放送分より)
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