“高原の原宿”再興へ 山梨・清里にホテルがオープン 奮闘するデザイナーの思いとは【ワイド!スクランブル】(2025年2月7日)
かつて“高原の原宿”とも呼ばれた山梨県北杜市の清里に、今月1日にホテルがオープンした。ブームが過ぎ去った街の再生に取り組む男性の思いとは?
■新コンセプトのホテル開業
山梨県北杜市、八ケ岳連峰の南に位置する清里。標高1200メートルに高原が広がり、澄んだ空気や美しい自然を満喫できる。
首都圏から電車や車で2時間半ほどの距離だ。今月オープンしたこちらのホテルを手がけたのは、2020年に東京から移住したデザイナーの中野シロウさん(57)だ。
中野さんはチキンラーメンのキャラクター「ひよこちゃん」が刷新された際にデザインを担当。これまで手掛けたデザインは、10万点を超える。
駒見直音アナウンサー
「広い、アイランドキッチンだ。窓からはきれいな景色が見えますね」
中野さん
「ここね、シカの群れが出たり。ほぼ毎日出てくる」
1日1組限定の貸し切り型ホテルで、1階と2階にベッドルームが合わせて3つ。グループでのパーティーなども受け付けている。
中野さん
「(Q.どういったコンセプトのホテル?)宿泊をできるようにしたいと思ったのは、ミュージアムがもともとあって、海外の人が来られた時にミュージアムをもっと見たいから泊まりたいという話が多かった」
このホテルの最大の特徴が、隣接するミュージアムと渡り廊下でつながっているところだ。
中野さん
「ここが正面で、このミュージアムにあるものが大体入っているような。おもちゃだったり、古着だったり」
ミュージアムには、中野さんが10代から収集してきた貴重なレトログッズや、仕事のサンプル資料のために購入したものなど、およそ3万点のコレクションが飾られている。
宿泊客は館内を3時間貸し切りにできる。思い思いにグッズを堪能したり、レトロゲームをプレーすることも。また、時間限定でミュージアムの一般公開も行っている。
■奮闘するデザイナーの思いとは
まるで“おもちゃ箱”のようなミュージアム。ただ、中野さんにはもっと大きな夢があるという。
中野さん
「ぼくは興味が湧くと行動力があって、東京の(事務所)ビルを売却したので、何かここでおもしろいことをしたいなと思って。この先、ライフワークとしてできるものが、『街』としてあるといいなと」
「(Q.なぜ清里を選んだ?)偶然なんですけど、車で走っていて見つけた。駅前、ひとつも(店が)開いてなくて。でも映画のセットみたいでおもしろくて。『ここなに?』と思って。1980年代の色が残っている街、駅前が。カラフルな家とか」
清里は1970年代から80年代にかけ、漫画や人気女性誌に取り上げられ、一躍人気観光地になった。
メルヘンチックな建物が並び“高原の原宿”と呼ばれ、年間250万人以上が訪れたことも。ブームが去った今も、メルヘンチックな建物は多く残されている。
駅前通りは、冬の時期で平日ということもあり、シャッターを閉めている店舗が少なくない。駅周辺の店舗数について、清里観光振興会の舩木良会長はこのように話す。
舩木会長
「30店舗くらいはあった」
中野さん
「ほとんど開いてないことが多かった」
観光案内所スタッフ
「8割がた、閉まっているよね」
こうした状況に中野さんは…。
中野さん
「静かになってしまった街で、やっていない店舗があると“廃墟特集”とか組まれてしまう。それは非常に良くないことだと思って、1軒でも多く自分の力でお店を開けていこうと」
中野さんは偶然見つけたおもちゃ箱のような街・清里を80年代の街並みを生かしながら、新たなデザインの力で活性化させたいと思っている。
ミュージアムホテル以外にも、駅周辺の7つの店舗などを買い取り、現在アンティーク家具や古着の店を運営している。
残りの店舗も今後、飲食店などを誘致していく予定だという。
中野さん
「ここは、また新しく店舗でオープンしようとしていて」
こちらは中野さんが直接、経営に携わっているわけではないのだが…。
中野さん
「もともと、この3人でそば屋をやっていて、またそば屋を今度やれないかという話をしていた」
中野さんは地元の人たちに対し、店のデザインなどを通じて、協力、応援を行っている。
地元住民 矢野嘉彦さん(58)
「(Q.中野さんはどういう存在?)中野さんには、期待感しかなかった。もう一回、清里を再生できるのではないか。期待だけですね」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年2月7日放送分より)
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