米ウ会談決裂で協定署名も中止 首脳会談で異例の公開口論 「感謝ない」と激しく批判【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年3月3日)
アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談が、日本時間1日に行われました。報道陣の前で激しい口論となる異例の形で決裂しました。この事態を受け、トランプ政権がウクライナへの軍事支援の打ち切りを検討していると、アメリカのメディアが報じています。
■「アメリカは広い海があり」発言にトランプ氏が強く反応
ゼレンスキー大統領
「How are you Mr.President?」
トランプ大統領
「きょうはめかしこんで来たな」
トランプ大統領は開口一番、長袖シャツのゼレンスキー大統領に冗談を飛ばしました。
大統領執務室に移動すると、「親トランプ」の記者から「あなたはアメリカ最高の執務室にいるのになぜスーツを着ないのですか?スーツを持っていないのですか?多くのアメリカ人は、あなたが執務室のルールを尊重しないことを問題視しています」という質問がありました。
ゼレンスキー大統領
「戦争が終わったらスーツを着ます。あなたと同じようなもの、あるいはもう少しましなものを着るかもしれません」
冒頭から不穏な空気が漂います。
トランプ大統領
「ウクライナのゼレンスキー大統領をお迎えできて光栄です」
この日は、ウクライナの鉱物資源の共同開発に関する協定が結ばれる予定でした。しかし、徐々に考え方に隔たりがあることが浮き彫りになります。
記者
「(ウクライナに)安全の保証はしますか?」
トランプ大統領
「安全の保証については語りたくない。私は取引を成立させたい」
トランプ大統領はあくまで資源に関する取引が優先で、ウクライナの「安全の保証」については確約しませんでした。
ゼレンスキー大統領
「我々は停戦だけを受け入れることは決してない。『安全の保証』がなければうまくいかない。合意文書だけでは十分ではない」
激しい口論が始まったのは会談が始まってから40分後、発端はアメリカのバンス副大統領の発言でした。
バンス副大統領
「この4年間、アメリカにはプーチン氏を非難する大統領(バイデン氏)がいた。しかし、プーチン氏はウクライナを侵略し国の大部分を破壊した。平和や繁栄への道は外交にあるのかもしれない」
ゼレンスキー大統領
「プーチン氏は停戦合意を破棄し私たちの国民を殺した。捕虜も交換しなかった。私たちは捕虜の交換に署名したが、プーチン氏は署名しなかった。どんな外交ですか?副大統領?」
バンス副大統領
「あなたの国の破壊を終わらせる外交だ。大統領執務室に来て、アメリカのメディアの前でその態度は失礼だと思わないか?」
ゼレンスキー大統領
「たくさん質問されました。最初から始めましょう」
バンス副大統領
「もちろん」
ゼレンスキー大統領
「まず第一に、戦争中は誰にでも問題があります。アメリカには広い海があり、今は(ロシアの脅威を)感じないでしょう。でも将来的には(ロシアの脅威を)感じるでしょう。神のご加護があることをお祈りしています」
トランプ大統領
「君は知らないだろう。将来何を感じるかは関係ない。私たちは問題を解決しようとしているんだ」
ゼレンスキー大統領の「アメリカは広い海があり」という言葉に強く反応したトランプ大統領。実はこの10日前、自身のSNSで「私たちには大きくて美しい海がある」と、ウクライナでの戦争はアメリカよりヨーロッパの問題だと投稿しました。
ゼレンスキー大統領にこの「海」を使った表現を揶揄(やゆ)され馬鹿にされたと思ったのでしょうか?ここからヒートアップしていきます。
■トランプ氏とバンス氏は「感謝ない」と激しく批判
トランプ大統領
「何を感じようが関係ない」
ゼレンスキー大統領
「質問に答えているつもりだが」
トランプ大統領
「君は指図する立場ではないからだ」
ゼレンスキー大統領
「(ロシアの)脅威は感じないのですか?」
トランプ大統領
「アメリカは強くあり不安は感じない。今の君はあまり良い立場にはいない。君は自分の判断で非常に悪い立場に立ってしまった。君の今の立場は悪い。君は今カードを持っていないのだ。私たちと一緒であれば君はカードを持つことができる」
ゼレンスキー大統領
「私たちはカード遊びなどしていない。私は戦時下の大統領なのです」
トランプ大統領
「君は何百万人もの人々の命を賭けて、第3次世界大戦を賭けてギャンブルをしている。君がしていることは我が国に対して非常に失礼だ」
ゼレンスキー大統領
「僭越(せんえつ)ながら…」
トランプ大統領
「大勢の人が支援に反対してきた」
バンス副大統領
「一度でも『ありがとう』と言った?」
ゼレンスキー大統領
「何度も言いました」
バンス副大統領
「きょうの会談中にだ。10月にペンシルベニアに行って“民主党”の選挙運動をした。あなたの国を救おうとしているアメリカと大統領に感謝を伝えては?」
ゼレンスキー大統領
「戦争について大声で話してみても…」
トランプ大統領
「彼は大声なんて出していない。ウクライナは大変なことになっている」
ゼレンスキー大統領
「ちょっと待って下さい」
トランプ大統領
「君はたくさんしゃべったが、ウクライナは窮地にある」
ゼレンスキー大統領
「それは分かっています」
トランプ大統領
「君たちは勝っていないし勝てないのだ。我々が手を貸せばウクライナは生き残れるだろう」
ゼレンスキー大統領
「ウクライナの民は強さを保っています。戦争が始まった当初から私たちは孤立しており感謝しています。この政権に対し感謝を表明します」
トランプ大統領とバンス副大統領は「ゼレンスキー大統領は支援についての感謝の言葉がない」などと激しく批判。さらに…。
トランプ大統領
「あのバカな大統領(バイデン前大統領)が3500億ドル(約52兆円)の兵器などを支援した」
ゼレンスキー大統領
「あなたたちが投票した大統領だ」
トランプ大統領
「君の兵隊は勇敢だが、アメリカの軍隊を頼っている。もしウクライナが米軍の軍事装備を持っていなかったら、この戦争は2週間で終わっていただろう」
ゼレンスキー大統領
「プーチン大統領からそう聞いたのですね、3日で終わると」
トランプ大統領
「もっと短いかもしれんぞ。この調子だとビジネスを行うのはとても難しいことになるな」
バンス副大統領
「お礼を言ってください」
ゼレンスキー大統領
「何度も言ったでしょう」
バンス副大統領
「意見の相違があることを受け入れましょう。アメリカのメディアで異なる意見を訴えるのは止めませんか。あなたの意見は間違っているのです」
トランプ大統領
「こういう状況が見られるのはアメリカ国民にとって良いことだ。とても重要なことだ。しっかり長い議論を見てもらおう。まずは感謝してほしい」
ゼレンスキー大統領
「感謝はしていますが」
■会談決裂 協定署名も中止
首脳会談での前代未聞の口論。現場にいたウクライナ駐米大使が思わず顔をしかめる事態になりました。
トランプ大統領
「今の君はカードを持っていない。国民は瀕死(ひんし)状態で兵士が不足している。聞くんだ!ウクライナの兵士は不足している。停戦は良い話なのに『停戦はしたくない。停戦はしたくない』『戦争は続けたいし、あれもこれも欲しい』と言う。今すぐ停戦できるなら停戦を取るべきだ。弾丸を止め兵が殺されないようにだ」
ゼレンスキー大統領
「もちろん私たちも戦争を止めたい」
トランプ大統領
「でも停戦はしたくないのだな?」
ゼレンスキー大統領
「申し上げたように“安全保障の確約”がほしい」
トランプ大統領
「私は停戦を望んでいる。話し合うより停戦する方が早い」
ゼレンスキー大統領
「停戦についてどう考えているか(ウクライナ)国民に聞いてください」
トランプ大統領
「それは私の任期中ではなかった。私の決定ではない。それは賢くないバイデンという男が決めたことだ。オバマとの取り決めだろう」
ゼレンスキー大統領
「でもアメリカの大統領だったではありませんか」
トランプ大統領
「失礼、それはオバマで、彼はあなたに毛布を与えて、私はあなたにジャベリンを与えた。私はあなたに対戦車兵器のジャベリンを与え、オバマは毛布を与えた。『オバマは毛布を与えて、トランプはジャベリンを与えた』が実際だ。もっと感謝するべきだ。あなたは一枚もカードを持っていないが、私たちとであればカードを持てる。でも私たちがいなければ一枚もカードはない」
およそ10分続いた、異例のバトル。最後にトランプ大統領は「もう十分だろう。素晴らしいテレビショーになるね」と述べました。
会談は決裂。予定されていた鉱物資源を巡る協定への署名は中止となりました。
前代未聞の出来事に、CNNのキャスターも…。
CNN アマンプール国際主任
「このようなことを目にしたことは現代外交史においてたった一度もありません」
■米ウ会談から2日後…欧州首脳との会合が開催
世界中が注目した首脳会談から2日…。
日本時間2日夜、イギリスでヨーロッパの首脳らが集まる会合が開かれ、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の関係修復について議論されました。
イギリス スターマー首相
「ヨーロッパの安全保障にとって一世代であるかないかの瞬間なので集まりました。ウクライナにとって良い結果を得ることは、ここにいるすべての国そして他の多くの国の安全保障にとっても不可欠です」
会議後、ドイツのショルツ首相は「この会議はウクライナをロシアの侵略の犠牲者として改めてヨーロッパの支持を表明する機会となった」と述べ、ポーランドのトゥスク首相は「アメリカとヨーロッパの分裂は受け入れられない。例外なく誰もが感情に関係なくEUとアメリカの関係が強固なものになることを望んでいる」と述べました。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年3月3日放送分より)
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