池松壮亮、三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡がお互いの印象を語り合う『本心』スペシャル座談会 パート2【2024年11月8日公開】
日本映画界屈指の鬼才・石井裕也監督(『月』、『舟を編む』)の最新作『本心』が11月8日(金)に全国公開。原作は、「ある男」で知られる平野啓一郎の傑作長編小説「本心」。
キャストには、池松壮亮を主演に迎え、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子らが集結。今からさらにデジタル化が進み、“リアル”と“リアルでないもの”の境界が曖昧になった少し先の将来が舞台。
物語の始まりは2025年。亡くなった母の“本心”を知るためAIで彼女を蘇らせることを選択する青年・石川朔也と、彼を取り巻く人間の【心】と【本質】に迫る革新的なヒューマンミステリー。
幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んだのか…母の本心を探るため、朔也は不安を抱えながらも、AIに集約させ人格を形成するVF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用し、仮想空間に母を蘇らせる選択をする――。
この度、池松壮亮・三吉彩花・水上恒司・妻夫木聡が“本心”を語るスペシャル座談会映像の第2弾が解禁となった。
映像では、撮影当時の心境を互いに明かしながら、話が広がっていく。まずは池松が口火を切り、「新旧キャストもスタッフも揃って、良い混ざり合いだったかなと思います」と回想。石井組初参加の水上は、「初めての中で結果を残さないといけない、というのがありました。でも、すごく作品を好きになれましたし、石井さんの演出も刺激的でした」と緊張と興奮の現場を、新星らしく振り返る。
しかし続けて、「ずっと“呼んでください”って言ってるんですけど、(石井さんから)“水上君俺のこと嫌いだから”って言われるんですよ!そんなことないですよ、何を根拠に!(笑)」とユーモアも交え、現場の雰囲気の良さを感じさせた。
また、初参加ゆえに“大丈夫かな…”と池松が気にかけていたという三吉は、「家では崩壊してました(笑)監督の前で泣いたら負けた気がすると
思って、“絶対泣いてやんねぇ!”と(笑)」と当時の心境を暴露。本作に挑む上で、以前からあった家族に対するコンプレックスと向き合ったうえで役へ挑んだという三吉。これまでとは違う向き合い方で臨んだ“三好彩花”という人物への愛着とこだわりも垣間見えた。
池松と石井監督のタッグは『本心』が9作目。両者の関係性について、妻夫木は「戦友を通り越しているような気がしますね。家族ともちょっと違うような関係性に見えるし、切っては切れない縁ですよね」と語る。池松とのシーンも多かった三吉も、「対面して向き合っている信頼感や一緒に前を向いて進む信頼感というよりも、逆を向いていながら背中がくっ
ついている安心感と信頼感のようなものを感じました」と形容。
石井監督と座長・池松の強固な信頼感が土台にあった上で生み出された本作の“揺るぎない強さ”は、劇中からも随所で感じ取れる。
【初めて脚本を読んで・完成した本編を観て】のテーマでは、三吉が「一回見ただけだと解消しきれなかったんですよ。お芝居を見たり、ストーリーを見たり…という着眼点が色々ある中で、もうちょっと何回か見たいなと思いました」と作品に内包されたさまざまな視点を回想。
妻夫木は、「脚本で読んでいた時よりも、監督が人間というものを信じたのかな、と思いました。壮亮と田中(裕子)さんが演じることでより深みが出て、これは本当にVF なのか現実なのかを惑わせる。それがより一層、話に入りやすくなったような気がしますし、こういうことが実際にあってもおかしくない、という説得力が芝居によって増したと思います」と熱弁。
それを受けて池松は、「朔也のエモーションでこの映画を引っ張っていかなくては…と思っていたので嬉しいです」と喜びを魅せ、田中演じる“VF の母が涙を流した”シーンに言及し、「人間らしさを田中さんが選べば選ぶほど、AI というものが怖くなる」と、作品の持つあらゆる側面の“面白さ”を力説した。
たびたび「また呼んでくれますかね…」と嘆くなど、映像全体を通して心配をし続ける水上のキュートさも炸裂。しかし、その印象とは一転、劇中で演じている朔也の幼なじみ・岸谷からは得体の知れない怖さを感じさせる瞬間も。その彼の俳優としてのギャップと、人間としての捉え所の無さにも酔いしれてほしい。
AI や仮想空間、日々著しく進化するテクノロジーが世界中を席巻し、生活様式が目まぐるしく変貌している今。時代に翻弄され彷徨う人間の【心】と【本質】を描いた革新的なヒューマンミステリー『本心』を是非劇場で見届けてほしい。
【STORY】
工場で働く青年・朔也(池松壮亮)は、同居する母(田中裕子)から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ朔也は、途中に豪雨で氾濫する川べりに母が立っているのを目撃。
助けようと飛び込むも重傷を負い、1年もの間昏睡状態に陥ってしまう――。目が覚めたとき母は亡くなっていて、生前“自由死”を選択していたと聞かされる。また、ロボット化の波で勤務先は閉鎖。
朔也は、唯一の家族を失くし、激変した世界に戸惑いながらも幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で「リアル・アバター」の仕事を始める。
カメラが搭載されたゴーグルを装着し、リアル(現実)のアバター(分身)として依頼主の代わりに行動する業務を通して、人々が胸の内に秘めた願いや時には理不尽な悪意に晒され、人の心の奥深さとわからなさを日々体感してゆく。
そんななか、仮想空間上に任意の“人間”を作る「VF(ヴァーチャル・フィギュア)」という技術を知る朔也。
いつまでも整理のつかない「母は何を伝えたかったのか?どうして死を望んでいたのか?」を解消したい気持ちから、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木聡)に「母を作ってほしい」と依頼する。
野崎の「本物以上のお母様を作れます」という言葉に一抹の不安をおぼえた朔也は「自分が知らない母の一面があったのではないか?」と、手掛かりを求めて、母の親友だったという三好(三吉彩花)に接触。
彼女が台風被害で避難所生活中だと知り、「ウチに来ませんか」と手を差し伸べる。かくして、朔也と三好、VFの母という奇妙な共同生活がスタートする。その過程で朔也が知る、母の本心とは。
そして「人に触れられない」苦悩を抱える三好を縛る過去、彼女だけが知る母の秘密とは。その先に浮かび上がるのは、時代が進んでも完全には理解できない人の心の本質そのものだった――。
池松壮亮
三吉彩花 水上恒司 仲野太賀 / 田中 泯 綾野 剛 / 妻夫木 聡
田中裕子
原作:平野啓一郎「本心」(文春文庫 / コルク)
監督・脚本:石井裕也
音楽:Inyoung Park 河野丈洋
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:RIKI プロジェクト
©2024 映画『本心』製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/honshin/ 公式X:@honshin_movie