【トランプ氏腹心2人が対立】関税巡り口論“中間選挙を不安視”共和上院議員の懸念は【日曜スクープ】(2025年4月13日)
米政権内における政策運営を巡る不協和音が顕在化しつつある。米電気自動車大手「テスラ」のCEOで、トランプ政権で政府効率化省を率いる実業家のイーロン・マスク氏が4月5日、「最終的には、ヨーロッパとアメリカが関税ゼロの状況に移行し、ヨーロッパと北米の間に自由貿易圏ができることで合意することを望んでいる」と見解を示した。トランプ政権のピーター・ナバロ大統領上級顧問は7日、米CNBCのインタビューで、マスク氏を「テスラ社は、自動車メーカーではなく、自動車組み立て業者」と評し、「テキサス州にあるテスラの工場に行くと多くの場合、エンジン、EVでいうところのバッテリーの多くは日本や中国から来ている。電子部品は台湾製だ」と批判した。ナバロ氏の発言を受けて、マスク氏は8日、自身のSNSにおいて、トランプ政権のピーター・ナバロ大統領上級顧問を「ナバロ氏は本当にバカ。彼の発言は明らかに間違い」と反論した。
相互関税の90日間一時停止が発表された4月9日、米紙「ワシントン・ポスト」は、発表に先立ち、トランプ大統領、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官が大統領執務室で、関税政策の方針転換に関する協議を行ったと報じた。また、同紙は、この重要な協議の場に、ナバロ氏が同席していなかったことにも言及し、ナバロ氏の見解が政権内における支持の低下を示唆していると伝えた。ナバロ氏は、大統領を補佐する通商・貿易担当の上級顧問で、対中国強硬派として知られる。2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件で、下院委員会の証言、書類提出要請を拒否した後、議会侮辱罪で禁錮4カ月の有罪判決を受けた。連邦刑務所に服役していた。
トランプ氏の相互関税発表後、株式市場の暴落とインフレ懸念の高まりを受け、これまでトランプ氏を支持してきた共和党内部からも不安の声が上がっている。2026年11月の中間選挙で、今回の関税政策が共和党にとって、懸念材料となる可能性が強まったためとみられる。2016年の大統領選でトランプ氏の対抗馬として戦ったテキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員が、政権が推進する関税引き上げに対して警戒感を示した。相互関税の一時停止を発表する前夜、共和党上院議員グループの一人として、トランプ氏と1時間にわたる電話会談を行い、「関税に関して政権には2つの道がある。関税をテコに他国に関税を引き下げるよう説得する道を選ぶか、関税をそのまま維持し、他国に報復措置を取らせるか」と述べ、トランプ氏に各国との交渉を促した。
日本政府は4月11日、トランプ政権による一連の関税措置を受け、石破総理は米政権との交渉役に赤沢経済再生大臣を正式に指名した。赤沢氏は、「胃が1センチか、せり上がったような感じ。大変重い職責だなと体が反応している」と述べ、重大な役割への強い覚悟を示した。赤沢氏は16日に訪米し、17日にベッセント財務長官、グリア通商代表部代表と会談する予定となっている。ベッセント氏は7日のSNSで、「日本は引き続き、米国の最も緊密な同盟国の一つだ。関税、非関税障壁、通貨問題、政府補助金についての今後の建設的な協議を楽しみにしている」と投稿。また、米FOXテレビのインタビューで、ベッセント氏は、「日本は交渉に非常に早く名乗りをあげたので優先されるだろう」と語った。トランプ氏から日米交渉の担当に指名されたベッセント氏は、度重なる訪日経験を持つなど、親日家としても知られている。
★ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト)、柯隆(東京財団政策研究所主席研究員)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
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