フェンスで遮られた敷地内に放置された巨大な廃虚。 外壁には草木が絡みつき、焼け焦げた跡も…。 車も雨ざらしの状態で置き去られていました。 住民は「小学生の子どもとか結構出入りしてる。中でかくれんぼとか、鬼ごっことか。危ないというか嫌ですよね」「悪い子のたまり場とかにならないかな」などと話しました。 住民の不安も高まるこの廃虚は、茨城・利根町の一軒家が立ち並ぶ住宅街を進み、木々が生い茂る路地を抜けたその先にありました。 一体、何の建物だったのでしょうか。 住民は「前はマッシュルーム工場。キノコ工場だったって聞いた」「もう(自分が)来たときは廃屋だから。キノコ栽培してたみたい。それがポシャッちゃって」などと話します。 ここは、かつてキノコ工場だった建物。 1989年に利根町が国の補助金などで建設しましたが、わずか4年で稼働を停止。 以来、30年以上にわたり放置されたままだといいます。 工場の内部は壁が崩れ、壊れた建具などが散乱。 建設費用は国と茨城県、そして利根町が出した補助金で全て賄われ、その総額は約1億4400万円。 住民は「(Q.税金1億円以上で建設)え~、そうなんですか。全然知らなかった」「お金ない町なのに、そんなのに使っちゃったんだ。もったいないと思う」などと話しました。 工場の稼働停止後、一度は個人に売却されましたが、1996年に利根町が約4116万円で再び購入し、工場は町の所有となりました。 その後、町は工場の借り手を募集し続けましたが、2024年、キクラゲ工場として申し込んだ企業が辞退を表明するなど借り手が現れず。 放置された工場では不審火による火災が2度発生するなど、住民の不安も高まっていました。 住民: 放火ありました。近いのでちょっと怖かったです。 さらに町が調査した結果、工場の壊れた壁などからアスベストが検出されると、住民からは「早く取り壊してほしい」「やっぱりあれは壊すしかないでしょうね」など、工場の取り壊しを求める声が相次ぎました。 町に請願書を出した住民: とにかく汚かった。ゴミが飛んでくるわ、臭いしね。国民の税金がこんな、訳の分からないことに使われている。 2024年8月、住民ら157人は工場の早期解体などを求める請願書を町議会に提出しました。 町に請願書を出した住民: 水田の中に突如こんな変な、風景を壊している不快な建物を放置するということは、利根町の美しい自然と農村の姿を破壊している。そういうことすら行政は分からないというのは非常に情けない。 住民らの求めを受け1月23日、利根町は工場を解体することを決定。 2月1日に住民説明会を開くとしています。 解体の時期や予算などについては今後、検討するということです。 FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/