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00:00 OP
01:09 ケース紹介(創作)
05:36 治療
14:23 現実を受け入れ難い
16:54 どこかの瞬間で受容する
本日は「30代女性A子さんがひきこもりの状態からどのように回復できたのか」というテーマで、架空の症例検討をしてみようと思います。
ケーススタディですね。
この架空の症例検討なんですけれども、僕の臨床経験や色々な書籍で学んだこと、論文で学んだことをうまくミックスして、できるだけリアリティがあるような話にしていますので、皆さんの参考になるんじゃないかなと思います。
毎週月曜日はこういう架空のケーススタディをやっているので、もし興味があったら毎週月曜日に見てもらってもいいと思いますし、過去のものも振り返ってみてもらうと色々なテーマで症例検討をやっていますので見てください。
■ケース紹介(創作)
A子さん、30代女性でひきこもりの人です。
ずっと家にいて外に出られない、働けないということで、困って精神科を受診したという人です。
話を聞いてみると自己肯定感がかなり低下していて、対人不安があることがわかりましたね。
診断としては「社交不安障害」や「回避性パーソナリティ障害」です。
どういう治療をしていったのかですが、そもそもどういう人なのかということから話をしようかなと思います。
A子さんは母親が教師なんです。シングルマザーなんですね。
離婚の原因というのはちょっとよくわからない。母親の父も教師だったみたいです。
母親(祖母)はどちらかというと父親を立てるようなタイプで、母親自身もおじいちゃんから厳しく育てられた過去があります。
母親とA子さんの二人で暮らしをしていたんだけれども、近くには祖父母がいて、一緒にご飯を食べることも結構多かった。そういう家でした。
子供の時にいじめに遭うんですね。A子さんはいじめられる。
学校に行きたくない時期があったんですよ。だけど、母親は「絶対行け」という感じだったんですね。「行かないなんか許さない」という感じで、「いじめっ子と戦え」みたいなことを言うわけです。
「いじめっ子っていうのは戦えばいいんだ」その一本槍なんですよね。負けちゃ駄目なんだと。
「お母さんが言い返してあげる」とか、「あんたは勉強ができないからいじめられるんだ、勉強に付き合ってあげる」「逆上りができないからいじめられるんだ。じゃあ、お母さんが付き合ってあげる」とかいうことをするわけです。
だから「行きたくない、お腹が痛いよ」と言っても、無理やり連れていく母親だったという感じです。教育的虐待といえば教育的虐待みたいなところもあった。
NOと言えない環境だったんですよね。
「嫌だ、助けてよ」と言っても、母親は彼女を愛してるんだけれどもやりすぎちゃう。解決する。
逃げることを教えてくれないんですよね。
NOと言えない環境だったとという感じです。
それで高校や大学ぐらいから不登校になってきた。
そのままニートになってしまうのがA子さんで、もう30代になっているということです。
ずっとNOと言えない環境にいたので、NOと言っても、苦しいと言っても言うことを聞いてくれない、誰も助けてくれないんだという思いに支配されている。
こういうものを「学習性無力感」というんですけれども、何度も何度も同じような体験をしているので、苦しい時に助けてと言えなくなっちゃうんですよね。
苦しい時に助けてと言うと、かえって「もっと頑張れ」と言われちゃうわけです。
「一緒に手伝ってあげるから頑張ろう」みたいな感じで余計苦しくなる。
教える側も時々イライラするわけですよね。そうすると怒られるし、苦しくなっちゃって自己肯定感が低下してしまうということです。
そういうことが続いてきた結果、外に出られない、働けないみたいになってしまいます。
NOと言えない環境だった、人が怖くなって、外に行くのが怖くなったということです。
これが生い立ちの部分です。
もともと不安になりやすい体質の人はいるわけですよ。
体質的な問題、遺伝的な問題ももちろんあるでしょうということです。
■治療
治療としてはどうしていくのかと言うと、ここに薬をちゃんと入れてあげるというのはとても重要です。
不安を感じやすい体質なので、ここにきちんとSSRIや抗うつ薬を入れることで体質改善を促していく。
働けない、出られない。それで家にいることで、ちょっとうつっぽくなってしまう。
ノイローゼっぽくなってしまうし、ノイローゼだから逆に外に出られないという悪循環も生まれてきて、うつっぽくなっていくんですね。
このうつに対して、きちんと抗うつ薬を入れてあげると少しずつ変わっていく。
吐き気があるとか体質に合わないならやめていいと思いますが、入れた方が治りは早いんじゃないかなという気がします。
ただ、うつ病のように薬が効いて、はい良くなりました、というものではなく、やはりこのシステムですよね。
システム化されたこのがんじがらめの構造を解体していかないと良くなっていかないんです。
だから薬だけじゃなくて、この人の認知を変えてあげる。認知や思考のパターンとか、それを変えていかないとひきこもりや社交不安障害は良くならないので、カウンセリング的なことは引き続きやっていくという感じです。
ノイローゼがあるから働けないんですね。
働けないから成功体験が少ない。成功体験が少ないから無力感が募る。無力感が募るからますます働けないとかね。成功体験が少ないから働けない。
つながってるんですよね。
働けていないからコミュニケーション能力が育ってない。コミュニケーション能力が育っていないから、仕事をするスキル、社会人としてのスキルが育たない。
育っていないから無力感があるし、育ってないから自己肯定感が低い。
コミュニケーション能力が低いから自己肯定感が低いし、コミュニケーション能力が低いから対人不安もある。
そしてトラウマとかもあったりするんですよね。
これが全部つながってるんですよね。システムのように繋がっている。
そして母親は、過去に対する悲しみもあるわけですよ。
自分がやり過ぎちゃったなという反省もあって、ちょっと甘やかしてしまう、共依存的になっている。
助けざるを得ないんですよね。
母親も子供の時みたいに無理やり外に出すことはできないわけですね。
子供の時はできますよ。体が小さい子は親の言う通りにコントロールできるんだけども、本人がうつになって円形脱毛症になっても、過敏性腸炎になっても、無理やり学校に連れていくってことができたわけですね。
だけど、大人になったらできないわけですね。
無理やり母親が会社に連れて行ってもうまくいかないですからね。
会社でシクシク泣いていたらクビになっちゃうわけですから、結果的にスポイルというか、お金だけ渡す。
コミュニケーションも最低限にして、あなたは今のままでいいのよという言葉しか言えない。
それで結果的にひきこもりになっているということが続いている。
だけど、崩しようがないんですよね。
働き行こうと思っても、やっぱりうつが悪化してしまうし、対人不安が悪化してしまうので働けない。
働けないでいるから、結局成功体験も低いからうつがどんどん悪化してしまうし、コミュニケーション能力や仕事の能力も育たない。
育たないからだんだん皆と離れていく。差が広がる一方で焦ってしまうとか、こういう状況が続いていますね。
それで、平凡恐怖みたいなものもあるんですね。
ここから一発逆転するためにはどうしたらいいのかと思うわけですよ。
自分は全然うまくいってなかった。
だから私は小説家になろう。
小説家になってベストセラー作家になろうとか、ベストセラーじゃなくてもいいけど、何とか芥川賞とか新人賞を取ることで、一角の人物になろうとかね。
声優になろう、自分では創作できないけれども、芸術作品に自分も参加することで、自分の存在意義を見出そうとかね。そういうものを感じたりとかしますね。
だけどまあ、なかなかそれは思っているだけだったり、努力しているんだけども狭き門ですからね。普通に働くよりもはるかに難しいですから、そういうことはうまくいかないですね。
でもうまくいかないということを言うと、やっぱり自己肯定感が下がるから、親もなかなか言えなくなっているというがんじがらめです。
こういう何て言うのかな、システムが出来上がっちゃっているという感じですよね。
もうこのシステムは変えようがないから、死ぬしかないのではないかと思い込んでいるところもあります。
あと、トラウマの問題もあるんですよね。
過去にはパニック障害と言われたことがあると言うんだけども、よく聞くと過呼吸とかパニック発作はあるんだけども、これってフラッシュバックなんじゃないかなという感じもするんですよね。
PTSDのようにも見えるようなパニック障害。
PTSDの要件を満たさないからパニック障害と診断されているんだけど、実質PTSDみたいな人は結構います。
パニック障害+社交不安障害と言っているんだけども実際はPTSDの人、PTSDの診断基準に当てはまらないから、操作的診断では社交不安障害+パニック障害という診断がついているんだけれども、その本質はPTSDという人は、病理を深く入っていくと、実質PTSDみたいな人はたくさんいます。
トラウマのせいで回避的になっている。トラウマをよく思い出す。
思い出す時は呼吸が浅くなったり、苦しくなってしまう。それでなかなか寝れないとか。
実質それはうつ病のうつと言うよりはPTSDのうつというか、そういう感じはあります。
マニアックすぎてよくわからない人は聞き流してください。
色々な話をするわけですよね。このシステムを共有していく。
こういうシステムが起きているから、あなたは出られないんだよということを共感し、一緒に理解していく、言語化していくということですね。
そうしていく中で、お母さんの苦しみのことを考えたり、祖父が厳しかったこと。
祖父は戦後の人で戦後の価値観だったという世代の違い、世代による価値観の違いも受け入れていく。社会の変化や社会というもののリアリティを知ってもらう。
ひきこもっていると、そういうリアリティを身につける場所がないんですよね。
なのでこのリアリティを知ってもらう。
人間という群れが持っていた歴史や現実感というものを会話の中で少しずつ身につけていく。
母親もASD傾向があったのかなとか、いじめた相手もちょっと発達傾向があったのかなとか、今考えてみればADHDみたいな子だった、みたいなことがわかったり。
でも、この子の背景には貧困の問題があったり。
この貧困を生み出したのはお父さんの不倫だったりとか。お父さんが不倫をしていて、女にお金を使ってるから貧困だったとかね。
社会の問題で貧困だったとか、いろんなことがあります。
そういうことを話しつつ、リアリティというものを知ってもらうということです。
■現実を受け入れ難い
概要欄続き
https://wasedamental.com/youtubemovie/7811/#c01
#精神科医 #益田裕介 #オンライン自助会