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35年目のラブレター 鶴瓶師匠、重岡 大毅。原田知世、上白石萌音。この4人の演技がとにかく素晴らしい。チャレンジの大切さと裏側見えるさまざまな思いが涙を誘う1本

Cinema Geek 935 2 days ago
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35年目のラブレター 監督/塚本 連平 TELL ME 〜hideと見た景色〜(22) 今日も嫌がらせ弁当(19) ぼくたちと駐在さんの700日戦争(08) 出演/ 笑福亭鶴瓶 原田知世 重岡 大毅 上白石萌音 江口のりこ くわばたりえ 笹野高史 安田顕 まず予告編の段階で涙腺が崩壊しそうな展開だった今作。 夫婦愛を描く作品としてはノンフィクションが原作であるとはいえ、じんわりと何気ない会話や何気ない気配りのある夫婦の姿を見せられ、いつしか「なんで泣いてんだろ」と思ってしまうほど自然に涙が溢れてくる作品。 個人的に2025年3月8日段階でベスト1 物語(公式HPイントロダクションより) 過酷な幼少時代を過ごしてきたゆえに、読み書きができないまま大人になってしまった主人公・西畑保(笑福亭鶴瓶)。保を支え続けたしっかり者の妻・皎子(きょうこ /原田知世)。 仲良く寄り添うように生きてきた2人。定年退職を機に、保はあることを決意する。 最愛の妻にこれまでの感謝を込めた“ラブレター”を書く――。 60歳を超えた保の長い奮闘の日々が始まった。 シナリオを追いかけていると夫婦愛であったり、そもそも夫婦とは? といった夫婦間の愛情の深さや慈しみ。互いに寄り添うことの大切さをものすごくていねいに描いている。 この部分のシナリオを追いかけるだけでもこの映画は感動に満ちている。 結婚というものがものすごく狡猾…とまではいかないにしても、結婚に意味や意義。メリットとデメリットを問いただすような時代になっているが、1972年当時はまだまだ男尊女卑が強かったなか、主人公の保は自身が持つコンプレックスもあったのか、奥さんの皎子さんにものすごく誠意ある接し方をしていたのだろう。 そしてその人柄の良さと誠意を皎子さんは正面から受け止め、愛情とともに保さんを見守り、手となり、刺させ続けたのだと思う。 この保を演じたのが笑福亭鶴瓶。 今となっては名俳優と言ってもいいだろう。 山田洋次監督の作品でも実証されたその演技力で、64歳から夜間中学に通い文字を習う年配者を見事に演じきっている。 思った通りに字がかけないシーンで 「あぁぁもう!」 といった憤慨する様子などはかなり思い詰める演技シーンでありつつも、どこか滑稽な雰囲気を出せる…のは師匠ならではだろう。 そしてその保の若い頃を演じたのが重岡 大毅 彼がまたいいのだ! なんとか自分が文字を読み書きできないことを隠し続けようとするが、コンプレックスであり恥でもあり…… でも人としてとても誠意ある対応でお見合いをした皎子さんに惹かれていく演技。 しかし でも結婚するまで皎子さんに言えない部分…といった苦悩など、難しい演技を見事に演じ、観ている人にどこか背中を押してあげたくなる好青年を演じきっている。 そして妻・皎子役の原田知世。 実際の御夫婦とは違って年の差カップルになっているが、こんなことは気にしない どこまで優しく。でもホントはちょっとネコを被ってて。でも心底ご主人の保さんを愛し、支え続ける姿を見せてくれる。 どこまでも妻として素晴らしい…というか、ある意味1970年代の妻の理想像といってもいいほどの慈愛に満ちた女性として登場する。 その明るさや天真らんまんな言葉などが、どれだけ保さんの支えになっていたのだろ… きっと皎子さんの愛情が会ったからこそ、お子さんもすくすく成長し、保さんは自身の仕事に打ち込み続けることができたのだろう。…とそんなことを思わせてくれる姿だった。 そして若い頃を演じたのが上白石萌音 食べ物の恨みは恐ろしいで~ といった怒りながらもどこか可愛らしい部分。そしてネズミにも負けない胆力ある女性の姿を演じてくれている。 彼女の「つらかったね」の一言はものすごい破壊力で、観ている側にも優しさ…というか慈愛が伝わってくる暖かさの声のトーンと演技の巧さ さすがです そして 寿司店の大将の逸美(いつみ)を演じた笹野高史さんも素晴らしい 彼がいなかったらこの夫婦が成り立たない そして字の読み書きができないことを受け入れ、彼のためにメニューをひらがなにするといった配慮 人として、大人として、先輩として、こうありたい…と思わせる人柄を素敵な笑顔で表現。 ヤスケンこと安田顕も谷山先生を熱演 人の良い先生 こんな先生がいたら、学校はもっと楽しかったと思わせてくれる と出演している俳優全員が素晴らしいので、一人ひとり上げていくときりがない… それほどまでにこの映画の出演者は全員すばらしいのだ 保さんの幼い頃の過去については、できるだけシンプルにしているものの境遇などはよく分かる しかし そこから読み取れる部分など社会と一線を越えた地域や人が実際にいたのだ というなかなか知り得ない部分も、実は鋭く描いている まずは戦争について 戦争の被害者は戦場だけではなく一般人でもありえること それは保さんも皎子さんも戦争もしくは戦争による貧困により家族を亡くしているということから伺い知れる。 学ぶ機会がなかった人が100万人単位でいるということ これは保さんが夜間学校での話の中で谷山先生が話してくれる。 夜間中学の存在 おそらく知らない人もいたかもしれない。でも学ぶキッカケは何歳でも始められるということ 何歳になっても新しいことを始めることの大切さ 保さんは読み書きから習い直しかもしれないが、観ている人もなにか新しいことをする意味や意義を感じられる 普通とは? ジェンダーにしてもそうだが「普通」という言葉が使いにくくなっている しかし、やっぱり普通…とはなんだろうか? を考えさせられる一面もある 一歩間違えれば思想なりの話しにもなりそうだが、そこはそこで置いておいて 夫婦とはこうあるべき…という一つの答えを見せてくれる映画であり、 若い人には、 結婚とは「互いを尊重して支え合うこと。そこには何者にも変えがたい大切な絆があること」だ というのを感じられる作品でもある 2025年まだ3ヶ月しかたっていないが、間違いなく今年の映画の中でも心に残る1本であることは間違いない作品 ぜひ劇場で見てもらいたい!

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