録画日時 2024年3月27日(水)13:30-15:00
場所 北海道大学 人文社会科学総合教育研究棟 W202室
言語 日本語
主催 人間知・脳・AI研究教育センター
https://www.chain.hokudai.ac.jp/events/3742/
Abstract:
1970年前後にアメリカの知覚心理学者ジェイムズ・ギブソンが創始した研究プログラムである「生態学的アプローチ(生態心理学)」の戦略的プロパガンダを試みる(強制ではありませんのでご安心ください!)。このアプローチが知覚と行為を探究し説明する際、重要であるが特に物議をかもしそうな主張をあえて取り上げ、身体性認知科学や4E認知との異同と協働可能性、さらには未来の心の科学と哲学が歩むこともできる道を考え議論する場を提供したい。取り上げる主張は、1)感覚なしの直接知覚・遮蔽知覚―見えない机の裏側も「見えている」、2)自己知覚と知覚性自己運動制御―自分を見ながら自分の行動調整をする、3)異所同時性と場所知覚(地理的環境知覚)―神のようにすべての観察点から世界を知覚する、の三つである。いずれの主張も、環境と知覚者の両事実を特定し行動制御に利用される生態学的情報が、生物外部の環境媒質内にエネルギー場のパタンとして存在するという生態心理学の根本仮説を根拠にしている。生態心理学の観点からは、経験や行動の可能性の主要な条件は、生物主体にではなく環境(と生態学的情報)の側にある。このラディカルさの魅力が少しでも伝わるよう尽力したい。