規制もなぜ進歩?39歳の創業者が賛否起こす中国発AI『DeepSeek』の正体【報道ステーション】(2025年1月31日)
今週、様々な企業の株価を乱高下させたり、アプリのダウンロードランキングで1位に躍り出たりと、何かと世界を騒がせている中国発の生成AI『DeepSeek』。一体、どんなものなんでしょうか。
■ダウンロード数が世界1位に
アメリカ トランプ大統領
「それほど金をかけずにできるなら良い話じゃないか。諸君も金をかけずに同じ結果を出せる。そうしてほしい」
トランプ大統領が圧倒的なコストパフォーマンスを称賛するのは、今、にわかに注目されているDeepSeekです。
東京大学AI研究者 今井翔太さん
「DeepSeekというのは生成AIの一種で、特に生成AIの中でも考える能力に優れたもの。もう一つは能力というよりは“コスト”のお話で、非常に安く作られている。それが特徴ですね」
開発費は8億7000万円。アメリカのOpenAIに比べて10分の1以下と言われています。利用料金も安く、アプリのダウンロード数では『ChatGPT』を抑え、世界1位となりました。
東京大学AI研究者 今井翔太さん
「DeepSeekの価格崩壊を例えるとすると、家が普通何千万円で建っていたようなものが100万、下手すれば数十万円で建つような状況になって、研究や経済、投資の世界でも大きく反応するのは仕方がない」
中国政府の会議に呼ばれる若い男性。DeepSeekの創業者・梁文鋒氏(39)です。数学で天才的な才能を発揮し、中国屈指の名門・浙江大学に17才にして合格。卒業後、数々のファンド事業で軍資金を得て、おととし『DeepSeek』を起業。そして今月20日、生成AI『R1』をリリースしました。まさに、新進気鋭の中国ベンチャーです。
■問題浮上で国会でも議論
しかし、この生成AIにはある問題が浮上しています。
東京大学AI研究者 今井翔太さん
「習近平と入れると、このまま続けると良くないことを言ってしまうとひっかかって出してくれない。これはDeepSeekの特徴です」
DeepSeek
「申し訳ありません。その問題についてまだ学習していません。私は数学、コード、論理関連が得意です」
東京大学AI研究者 今井翔太さん
(Q.どんなことが書かれている)
「これは多分定型文です。都合が悪いことを聞かれたら自動的に出しているだけ」
31日の国会でも議論になりました。
自民党 小野寺五典政調会長
「DeepSeekは、尖閣は歴史的および国際法上、中国固有の領土ですと。事実と違う答えが返ってきています」
中国への情報流出も懸念されていて、国内IT大手のGMOは業務での利用を禁止。NECは「評価中の段階で利用できる状態ではない」としています。イタリアではアプリストアから削除するなど、世界で100社以上が利用を控える動きが広がっています。アメリカも…。
アメリカ ラトニック商務長官候補
「中国企業DeepSeekが格安でAIを作れたと発表したが、我々の技術を盗用したり基にしたからだ」
■規制の中でなぜ開発できた?
そもそも、アメリカによる半導体の輸入規制を受けている中国で、ここまでのAIがなぜ開発できたのでしょうか。
東京大学AI研究者 今井翔太さん
「アメリカがGPU(画像処理装置)の輸出規制をしていた。中国に制限がかかっていた。むしろDeepSeekの技術力を高めるのを後押ししてしまった。制約の中でやりくりしていた。普通のAI研究者は見ないが、ハード(パソコンなど)に近いところ、なんならハード自体を頑張ろうとやっていたら、その積み重ねが結晶となってDeepSeekが生まれた」
その努力は“根性”のようなものに近いといいます。
東京大学AI研究者 今井翔太さん
「これは例えると、日本の自動車メーカーが1900年代後半にやっていたことに少し近い。劣勢に追い込まれているなかで、ちゃんと生産方式を工夫した。ただ、それが最終的には世界を圧倒するようになった」
東京大学AI研究者 今井翔太さん
(Q.AI業界の勢力図は変わる)
「いくらかはあると思う」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp