0:00 (1)はじめに
0:22 (2)精神科の外来初診での問診
1:45 (3)精神科外来を受診してすること5つ
1:54 ①診断や見立て
4:00 ②治療方針の決定
6:09 ③仕事をどうするか
8:19 ④体の原因等の除外
9:39 ⑤薬の処方
10:49 (4)まとめ
メンタルクリニックなどの心療内科・精神科の外来を受診した場合、まずは様々な角度からの問診等を通じて診断や見立てを決めていきます。そのうえで仕事も含めた治療方針の決定を相談しつつ行っていきます。
「精神科外来を受診してすること5つ」について、精神科医が12分で説明しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)
こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com
府中こころ診療所 https://fuchu-kokoro.com
チャンネル登録お願いします https://www.youtube.com/c/こころ診療所チャンネル
↓詳しい内容はこちらです。
## (1)はじめに
メンタル的な不調から精神科の外来を受診する際、様々な問診を通じて診断が行われます。では、実際に外来受診を通じて行われることは何でしょうか。本記事では、「精神科外来を受診してすること5つ」について詳しく解説していきます。
## (2)精神科の外来初診での問診
精神科の外来初診では、主に様々な角度からの問診が行われます。内科などとは異なり、内臓的な変化を診る機会は少ないため、聴診などはあまり適応されません。代わりに、医師と患者との面接を通じて診断につなげていきます。
問診では主に以下の内容が聞かれます:
1. 現病歴:受診するまでの症状などの経過
2. 現症:現在の様々な症状やその性質、強さなど
3. 周辺情報:以前の生活や受診歴、体の既往歴など
これらの情報を基に、治療や見立てを定め、介入の方向性を決定していきます。
## (3)精神科外来を受診してすること5つ
### ①診断や見立て
問診で得られた情報を通じて、可能な診断を行います。現在は診断基準DSM-5を土台に診断が行われますが、典型的でない場合は様々な情報から総合的に判断します。
同じ診断名でも、背景や環境、その人の対処能力など様々な要素から個人差が大きいため、病名に加えてその人の状況や重点を置くべき介入点などを見立てていきます。
初回の診察で診断が確定しない場合もありますが、その場合は推定される診断と見立てを共有し、現段階での方向性を決めつつ、確定診断に向けて模索を続けます。
### ②治療方針の決定
診断名と見立てを総合的に踏まえて治療方針を決定します。診断名に対応した標準的治療を土台としつつ、個人の状況に応じて適宜修正を加えます。
近年では、SDM(Shared decision making)という考え方が重視されており、医師と患者が情報を共有しながら相談して治療方針を決めていくことが一般的になっています。
治療方針には以下のような内容が含まれます:
- 薬物療法の内容
- 治療の枠組み(外来か入院か)
- 生活面での取り組み
### ③仕事をどうするか
メンタルクリニックにおいては、仕事をどうするかが大きなポイントとなります。治療面では休養が望ましい場合も多いですが、経済面などから休みにくいこともあります。診断名や病状、見立てを考慮して適切な方法を選びます。
1. 仕事を続けながら治療する場合:
- メリット:経済的影響が少ない
- デメリット:治療効果が弱まる可能性がある
2. 休職して治療する場合:
- メリット:治療効果が上がりやすい
- デメリット:経済的影響が大きい
状況によっては、異動や転職も選択肢となる場合があります。休職の際は診断書の発行が必要になることが多く、傷病手当金の手続きなども含まれます。
### ④体の原因等の除外
精神疾患に見える症状でも、実際は身体疾患が隠れている場合があります。また、薬物療法を行う際には肝機能や副作用のチェックも必要です。そのため、血液検査等を行って身体的原因の除外や、薬物療法の安全性確認を行います。
身体疾患の例:
- 甲状腺機能障害(亢進症・低下症)
- 貧血
- 糖尿病
検査の例:
- 血液検査
- 画像検査
- 心理検査(発達障害の疑いがある場合など)
### ⑤薬の処方
診断や症状に適した薬を処方します。薬にはそれぞれ長所と短所があるため、患者の状況も考慮して処方を決定します。
主に処方される薬:
- 抗うつ薬
- 睡眠薬
- 抗不安薬
2回目以降の診察(再診)では、症状の変化や副作用を踏まえて薬の調整を行います。長期間継続が必要な薬と、改善したら減量する薬があるため、効果と副作用のバランスを考えながら総合的に判断します。
## (4)まとめ
初回の精神科外来では、様々な角度からの問診を通じて情報を集めた上で、主に以下の5つの働きかけを行います:
1. 診断や見立て
2. 治療方針等の決定
3. 仕事をどうするか
4. 体の原因の除外
5. 薬の処方
特に治療方針の決定に関しては、SDM(Shared decision making)の考え方に基づき、患者と医師が状況や判断基準を共有しながら話し合って決定することが一般的です。これらのステップを通じて、適切な治療と支援が提供されていきます。
こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)
#精神科 #初診 #メンタルクリニック #診断 #精神科医
【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。