”バックカントリー遭難”北海道で今季すでに52人 中でも富良野市は昨シーズンの3件から今シーズンは11件に急増 「混雑するニセコから富良野に人が移り始めている」と専門家は指摘
スキー場の管理外のエリア「バックカントリー」での遭難が北海道で相次いでいます。
中でも富良野市で急増していて、関係者は緊急の対策に動き出しました。
1月、富良野市のスキー場の近くでアメリカ人の70代男性が遭難しました。
翌日、北海道警察の救助隊が男性を発見。
男性の友人が通報してから約15時間後の救出でした。
男性は「バックカントリー」でスキーをしていました。
富良野市でのバックカントリーの遭難は昨シーズンの3件から今シーズンは11件(2024年11月~2025年2月12日まで)に急増しています。
今、富良野で何が起こっているのでしょうか。
バックカントリーでスキーをして遭難したアメリカ人男性。
翌日救助され、幸いケガはありませんでした。
北海道で今シーズン、バックカントリーの遭難は40件。
遭難者は昨シーズンの同じ時期の2倍以上となる52人で、その8割近くが外国人です。
富良野市での遭難は、昨シーズンの3件から今シーズン(2024年11月~2025年2月12日まで)は11件に急増し、13人が救助されています。
ふわふわしたパウダースノーを風を切って進む疾走感や景色などを味わおうと、インバウンドの観光客が増えたことが事故につながっています。
「(バックカントリーの魅力は)深い雪や自然、景色、いいスキーが出来ます。木々や雪が非常に素晴らしい」(ドイツから来た男性)
「誰も行かないところ(バックカントリー)は特別だと思います」(台湾から来た男性)
バックカントリー歴4年という台湾からの旅行客です。
「友達のレベルは初心者くらいだから(滑るのはスキー場の)コースだけ。(Q:初心者がバックカントリーに行くと危ない?)めっちゃ危ないです」(台湾の男性)
しかし、この日は木々の間を抜けてコース外でスキーをする人が多く見られました。
中には途中で動けなくなっている人も。
山頂付近からさらに奥の方へ向かっていく人もいました。
危険をはらむバックカントリーをスキー場側が規制できないのはなぜなのでしょうか?
「(バックカントリーは)スキー場の管理区域外になりますので、我々が出てはいけないという立場で止めることは出来ないんです」(スキー場の担当者 斉藤靖人さん)
このスキー場では、バックカントリーに向かう人には「登山届」を出したうえで設置された6つのゲートから出ていくよう呼びかけています。
今シーズン、遭難した13人はいずれも登山届を提出していませんでした。
「富良野から死者を出さない」(富良野警察署 長崎俊之地域課長)
2月10日、富良野市では増え続ける遭難に歯止めをかけようと、警察や観光協会など約30人が参加し、初めて緊急会議を開催。
情報の共有やルールの必要性などを話し合いました。
「啓蒙は継続してやっていくことが一番大切。私たちのスキー場ではパンフレットも日本語、英語、中国語のものを作っています。いかにその人たちに届くかが大切ではないか」(富良野市観光協会 伊賀裕治副会長)
警察は1月、富良野市のスキー場でバックカントリーについて注意を呼びかけました。
「コースも整備されていないし、管理もされていないので非常に危険な場所。基本的には行かないでコース内で楽しんでいただきたい」(道警本部 地域企画課 宮竹恒二さん)
専門家は観光客で混雑しているニセコから富良野に移り始めていると指摘します。
「(外国人が)道内を回りながら、富良野に来て、富良野の雪が良かったと。富良野の山自体が(バックカントリーに)入りやすい山だというのもある」(全国スキー安全対策協議会 高柳誠理事)
周到な準備と確かな知識が必要なバックカントリー。
警察などは来週、遭難者の救助訓練を行うことにしています。