新生活が始まった4月、内閣府の食品安全員会は「この春自炊デビューした皆さん、食中毒予防のため、生のお肉は洗わないでください!細菌が飛び散って、周りの調理器具や食品についてしまう恐れがある」とSNS上で呼びかけた。
食中毒を防ぐため「つけない」、低温保存で「増やさない」、加熱して「やっつける」の3原則が重要だという。さらには、菌の運び屋である”手”を洗うことが欠かせない。
<魚介類の寄生虫が原因になることも>
「アニサキス」は2~3センチの細長い寄生虫で、万が一アニサキスが寄生した魚の身を食べると、胃や腸に激痛が走ると言われている。
実は、日本の生食文化で悩みの種にもなっているアニサキス。なぜなら、死滅させるためには、見つけて傷をつける以外、加熱するか冷凍するかしかない。
福島県内の食中毒患者で見ると、2022年はアニサキスが最も多く、2021年は2番目だった。
<そもそもアニサキスとは何者?>
海の中で魚介類の内臓に寄生し、漁で水揚げされるなど魚が死ぬと身へ移動する。
アニサキスが寄生した魚介類を、生で食べることで食中毒を引き起こす。胃の壁を刺すことでアレルギー反応が起きて、腹痛に襲われると言われている。対処方法としては、胃カメラで摘出する。
福島県に報告されたものでは、カツオが圧倒的に多く、そのほかサバ・アジ・ヒラメ・イカ・サケなどに寄生しているという。
<増加傾向のアニサキス食中毒>
全国の発生件数は、2022年は578件とここ数年で最多に。月別で見ると、2022年は6月が最多の80件にのぼった。
<予防法>
1.マイナス20度で24時間以上の冷凍
2.70度以上での加熱
3.目視で見つけて除去
一方、しょうゆや酢、わさびをつけても死にませんので、要注意だ。
内閣府の食品安全委員会によると、「内臓があったところの近くで丸くなっていることが多い、ただし深く潜っていたり別の場所にいたりすることもあるので、注意して下さい」と呼びかけている。
<腹身はよく見て>
アニサキスは魚が死んだら内臓から身に移動するというが、具体的にどのタイミングで移動するのか?厚生労働省のカツオについての研究では…漁獲時すでに身に移動して寄生しているという。さらにアニサキスが検出されたのは、「腹」の身からだけだったという。
背中の身からは見つからなかったそう。こうしたことも参考にしながら、丁寧にどちらの身か表記してくれているスーパーもあるが、見落とさないように念には念を入れて確認して味わってほしい。