0:05 (1)はじめに
0:34 (2)躁状態
2:29 (3)軽躁状態
4:00 (4)うつ状態
5:20 (5)軽うつ状態
6:10 (6)混合状態
6:46 (7)ラピッドサイクラー
7:11 (8)まとめ
「躁うつ病(双極性障害)」では、「うつ」と「躁」の真逆の状態を経験するほか、経過で様々な状態を変動するのが特徴です。
その状態6つにつき、精神科医が要点を約8分の動画にまとめています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)
こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com
府中こころ診療所 https://fuchu-kokoro.com
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↓↓内容の詳細は下記になります。
(1)はじめに:躁うつ病で起こる状態6つ
躁うつ病セルフチェック。今回は「躁うつ病で起きる状態6つ」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
「躁うつ病」は一見真逆の「躁」と「うつ」が混在する変化の大きな精神疾患です。
そして経過においてもさまざまな状態に変化するということが少なくありません。
今回はこの「躁うつ病で起こる状態6つ」についてやっていきたいと思います。
(2)躁状態
躁状態は、「何でもできる」と感じる、うつの真逆の状態になります。
<躁状態とは>」
躁状態は「うつの逆」で、「何でもできる」とに感じる状態です。
活力にあふれすぎて活動しすぎる状態とも言えます。
そして、人によっては、イライラや浪費などが出てトラブルになることには注意が必要です。
<躁状態の代表的な症状>
①高揚気分・誇大性
気分が高揚し、自分は何でもできるという思うような状態です。
②多弁・観念奔逸
活動が増える「過活動」や多弁になり、その内容も様々に「飛んで」まとまらないものになります。
③衝動・浪費
思いついたものに行動する。そして欲しいと思ったら買う状態。結果お金も使いすぎてしまうことがあります。
<特に注意が必要なリスク>
①浪費・借金
衝動的に、もしくは躁気分を背景に「大きな買い物」をした結果、多額の借金が発生することがあります。
②対人トラブル
躁状態では他者に対して圧力をかける交流パターンが出現し、時にそれに伴ってトラブルになります。
③衝動的な行動
衝動的に他者を巻き込む行動をすることで、後日トラブルになってしまう恐れがあります。
<対策は休むことだが…>
躁状態の対策は「刺激を減らして」「休養」「抗精神病薬を使う」ことです。
しかしなかなか特性上自発的に休み「刺激を減らす」ことはしばしば困難です。
対策が行えずかつトラブルの危険が強い場合は、時に入院しての治療が必要になります。
(3)軽躁状態
これは「軽めのそう状態」自覚的には一見いいですが、実際は不安定な面があります。
<軽躁状態とは>
軽躁状態は、「躁」まではいかない「軽い躁」の状態になります。
トラブルまではいくことは少なくて、自覚的には「いい状態」と感じられることが多いです。
しかし実際は躁状態に移るリスクがあるなど、不安定な面もあります。
<軽躁状態の例>
まずは「普段より頭が回る」ような状態。
あとは「気分が普段より少し晴れやか」な状態。
そして「動きやすくて疲れにくい状態」などがあります。
<軽躁状態のリスク>
ここで、「軽躁とは良いことだらけじゃないか」というご質問があります。
実際にはそうではないところもあります。軽躁状態には、以下のようなリスクがあります。
①躁状態のリスク
この軽躁状態で動き過ぎたり、刺激を入れ過ぎることで「躁状態」に移行するリスクがあります。
②うつ状態のリスク
躁になるリスクの他、この逆として反動で「うつ状態」になるリスクもあります。
③細かいトラブルのリスク
大きなトラブルはない一方、他者への「上から目線」などから、傲慢と思われたり、細かいトラブルが生じるリスクがあります。
(4)うつ状態
このうつ状態は「うつ病同様の強い落ち込み」です。
<うつ状態とは>
うつ状態は、うつ病同様の強い落ち込みが続く状態になります。
活動が困難になり、自己評価も極めて低くなります。
そして、「躁状態」の時とはある種、まるで別人のように見えます。
<代表的な症状>
①抑うつ気分
落ち込みや否定的な考えが頭を巡ったりすることがあります。
②制止・集中困難
動きが少なくなって集中ができない。それによって生活の活動が実際行いにくくなることもあります。
③不安・不眠
不安で落ち着かず不眠になりまして、さらに不安定になる悪循環が生じる危険があります。
<特に注意が必要なリスク>
①会社などに行けない
社会的な活動がこの「うつ」によってやりづらくなってしまうことがあります。
②生活がままならない
日常生活でも、「制止」や「集中困難」から、強い困難が生じる場合があります。
③自己否定にのまれる
「うつ」に思考がある種乗っ取られた状態になり、「魔が差してしまう」危険が時に生じます。
(5)軽うつ状態
この軽うつ状態は「軽めのうつ」であり、「意外と安定する」のが特徴です。
<軽うつ状態とは>
軽うつ状態は、「うつ状態」まではいかない軽度の落ち込みの症状になります。
漠然と「気が乗らない」「沈んだ感じ」などを自覚することがあります。
外から見ると目立ちにくいですが、本人の中ではある種の「不全感」を自覚しやすい面があります。
<安定時は軽うつが多い>
いわゆる安定した状態(寛解)のとき、多くはこの軽うつ状態です。
客観的な意味では安定していますが、一方本人としては「不全感」を感じやすい面があります。
そして、この「不全感」へどう折り合うか、この成否が治療や予後を左右する面が少なからずあります。
(6)混合状態
これは少し特殊な状態、「躁とうつが混じった状態」です。
<混合状態とは>
混合状態は、躁とうつの要素が混じった状態です。
躁とうつの移行期に起こりやすい、あとは抗うつ薬の影響で起こることがあります。
症状・状態とも不安定なことが多いため、これは注意が必要です。
<混合状態の例>
「落ち込んでいるけれども動き回ってしまう」という場合があります。
「何でもできると思うが、逆に動く気がわかない」というときもあります。
「考えはいろいろ浮かぶが、気分が全くすぐれない」場合も出てくることがあります。
(7)ラピッドサイクラー
これも特殊な状態の一つで、「躁とうつが短期間で切り替わる」状態です。
<ラピッドサイクラーとは>
年4回以上「躁」「うつ」「混合」どれかの状態に切り替わることです。
「抗うつ薬」が引き金になることが時にあると指摘されています。
これも症状・状態とも不安定なことが多いため、やはり注意が必要な状態です。
(8)まとめ
今回は躁うつ病セルフチェック「躁うつ病で起こる状態6つ」について見てきました。
「躁うつ病」ではいろいろ状態が起きます。主な状態としては、「躁状態」「軽躁状態」「うつ状態」、「軽うつ状態」の4つがあります。
そして、特殊な状態としては、「混合状態」と「ラピッドサイクラー」があります。
この中で「軽躁状態」というのは、自覚的には一番いい状態されることが多いですが、実際は「躁状態のリスク」など不安定な部分があります。
一方で、安定する時はこの逆の「軽うつ」軽いうつの状態のことが多いです。
この時自覚的にはある種の「不全感」がありますが、ここでの折り合いの成否が、治療や予後を大きく左右します。
こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)
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【解説者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。