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ヒステリー球【ストレスからの「のどのつまり」。心療内科・精神科の症状を精神科医が7分でまとめ】

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0:05 (1)はじめに 0:35 (2)ヒステリー球とは? 2:00 (3)ヒステリー球の鑑別疾患と診断 3:26 (4)ヒステリー球の治療 6:10 (5)まとめ 「ヒステリー球」は、体の原因がなく、ストレスを背景に発生する「のどのつまり」の感覚です。特効薬はないため、ストレス対策を取りつつ、緊張を和らげる各種の薬を検討します。 精神科医が要点を約7分の動画にまとめています。 出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長) こころ診療所吉祥寺駅前 https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所 https://fuchu-kokoro.com チャンネル登録お願いします https://www.youtube.com/c/こころ診療所チャンネル ↓↓内容の詳細は下記になります。 (1)はじめに:ストレスでの喉の違和感「ヒステリー球」 心療内科・精神科の症状。今回は「ヒステリー球」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。 うつ病などの治療の中で、「のどのつまり」の症状が気になるという相談をよく受けます。 また、内科・耳鼻科で「のどのつまり」を相談したが異常がなくて、メンタルの科での受診を勧められた。そういったご相談もあります。 今回はストレスから起こる喉の違和感「ヒステリー球」について見ていきたいと思います。 (2)ヒステリー球とは <ヒステリー球とは> ヒステリー球は、「喉の詰まりが実感されるんだけども、内科的・耳鼻科的な異常はない」という状態。 そして社会生活に影響が出ている状態です。 これは精神科では、DSM-5では「身体表現性障害の中の感覚障害の一つ」と分類されます。一方、耳鼻科では、「咽喉頭異常感症」、のど(咽頭)や喉頭のところの異常な感覚と言われます。 <咽喉頭異常感症の2つの原因> まずは「真性の咽喉頭異常感症」。これはいわゆるメンタルのもの「ヒステリー球」になります。 もう一方は、「症候性の咽喉頭異常感症」、これは何か身体の原因があるとの分類です。 <ヒステリー球の症状の例> 「喉に何か(ボール等)が詰まったような感覚」という方がいます。 あとは「飲み込みにくくて引っ掛かる感じ」という方。 人によっては「何か喉が腫れているような感じ」が出ます。 <ヒステリー球の想定されるメカニズム> 基本的にはストレスで交感神経が優位になってバランスを崩す。 その結果、食道・胃の上にある食道の筋肉の「過剰な収縮」が一部のところで起こる。 その違和感が「のどの違和感」として自覚されるというものになります。 (3)ヒステリー球の鑑別疾患と診断 <ヒステリー球の代表的な精神科的な原因> まずは「うつ病」に伴い自律神経の不調があって「ヒステリー球」が出ることがあります。 また、ストレス反応「適応障害」によって出てくることはあり得ます。 あとは、いわゆる「不安障害」不安と緊張が強くなり、自律神経のバランスを崩して出ることがあり得ます。 <ヒステリー球の代表的な内科・耳鼻科的な原因> まずは「のどや甲状腺などの腫瘍」(実際に)固まりが実際あった結果違和感になっている可能性。 あとは「逆流性食道炎」いわゆる胸焼けの延長でこの違和感が出ている可能性。 もう1個は、「慢性副鼻腔炎」鼻の奥の副鼻腔の炎症が絡んでいることが時にあります。 <診断までの2段階> ①体の原因の除外 内科や耳鼻科というところを受診をし、必要な検査を受けて体の原因がないことを証明し、除外します。 ②心療内科・精神科 体の原因がないという背景のもと、他の症状や背景・生活への影響を見ていきます。 そして背景の精神疾患も合わせて診断し、治療を図っていきます。 (4)ヒステリー球の治療 まず大原則として、このヒステリー球へのいわゆる「特効薬」はありません。 その中で、ヒステリー球はストレスにより起きているため、現実的な治療としては大きく2つです。 一つが「ストレス対策」、もう一つがいわゆる「薬物療法」になります。 ①ストレス対策 <基本的な考え方> 強すぎるストレスを背景にこのヒステリー球が出ていますので、背景のストレスを減らすというところになります。 <具体的な方法> 1つ目は「環境調整」環境によるストレスが大きい場合、その環境を調整してストレスを減らします。 2つ目が「ストレスマネジメント」ストレス時にどういう風に対策をするかを色々調整していく話。 3つ目は「認知行動療法」考えや行動にくせがあった場合は、そこを調整します。 ②薬物療法 候補は様々ですが、基本的にヒステリー球は「緊張」が背景の中、薬で「緊張を和らげて」いきます。 候補の薬を見ていくと、まずは漢方薬、これ「半夏厚朴湯」というのは有名です。つづいて「タンドスピロン」という依存がない不安を取る薬。続いてが「抗不安薬」、最後にあるのが、いわゆる「抗うつ薬」になります。 1)漢方薬 これは主に色々ある中、「半夏厚朴湯」という漢方が喉の詰まりに一番使います。 不安や緊張を和らげて結果、ヒステリー球の改善も図っていきます。 安全で副作用の心配もない一方、効果は遅くて弱めなのが弱点です。 2)タンドスピロン これは、依存がない「弱めの抗不安薬」になります。 緊張を和らげて効果を見込みますが、漢方薬よりは効果が強く、抗不安薬などより比較的安全でもあります。 一方で、漢方と比べたら眠気が出る、また抗不安薬などと比べると効果は弱い所が弱点です。3)抗不安薬 これはベンゾジアゼピン系の薬で即効性があり、比較的効果は強いものです。 依存リスクを踏まえ、効果が長い「超長時間型」、ロフラゼプ酸エチルなどを主に使います。 ただあくまで対症療法に過ぎず、かつ「超長時間型」でも依存や眠気には注意が必要になってきます。 4)抗うつ薬 SSRIなどの抗うつ薬を、うつ病や不安障害に対して続けて使い、時間差で効果を見込みます。 背景にうつ病や不安障害がある場合は第1選択になります。 一方、初期のお腹の副作用や、中止した時の離脱症状等には注意が必要です。 (5)まとめ 今回は心療内科・精神科の症状「ヒステリー球」について見てきました。 この「ヒステリー球」は体の原因がなく、ストレスが影響する「のどのつまり感」です。食道の動きの不調の関与が言われます。 まずは、内科・耳鼻科で体の原因がないことを確認した上で心療内科を受診し、背景の不調も含めて診断をします。 ヒステリー球に対しては、いわゆる「特効薬」ありません。背景のストレス対策をまず取りながら、いくつかある「緊張を和らげる薬」の相性を見ていきます。 こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station) 府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695) #ヒステリー球 #咽喉頭異常感症 #のどのつまり #身体表現性障害 #半夏厚朴湯  【解説者】 医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎 精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医) 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

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