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【戦後77年】北海道各地に残る”戦争遺跡” 相次ぐ劣化や崩落 保存に向けた調査進む一方で課題も 2022年10月10日放送

HBCニュース 北海道放送 173,152 lượt xem 2 years ago
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ご覧の映像は北海道各地に残る、コンクリート製の防御陣地「トーチカ」です。戦争体験者が亡くなっていくなか、戦争を語り継ぐ貴重な戦争遺跡といわれています。戦後77年が経ちました。劣化が進み、崩落が相次いでいます。戦争遺跡どう保存し、生かすのか、議論が続いています。

 「トーチカ」は、アメリカ軍の北海道上陸に備えて、1944年秋ごろから終戦まで旧日本軍が造ったコンクリート製の防御陣地です。

設計工房アーバンハウス 小野寺一彦さん(3日)
「海岸線だけで、見えるだけで8基あるんですね」

北海道内のトーチカを調査している帯広市の建築家、小野寺一彦(おのでら・かずひこ)さんです。24基が集中する北海道内最大のトーチカ群がある、大樹町で生まれ育ちました。トーチカには、兵士の出入り口と、敵を銃撃するための「銃眼(じゅうがん)」が開いています。

設計工房アーバンハウス 小野寺一彦さん
「これ銃眼。真正面から銃撃するのではなく、敵が上陸してくるところを横から銃撃する」

多くのトーチカが海岸線に平行に銃眼(じゅうがん)が開けられ、敵が押し寄せる海側の壁の厚さは2メートルを超えます。丈夫なトーチカですが、消失の危機にさらされています。

 道内最大のトーチカ群がある大樹町。貴重な戦争遺跡の崩壊が進んでいます。

設計工房アーバンハウス 小野寺一彦さん
「ここの場合は、本来ここから20メートルぐらい奥にあったと思う。それが高波を受け引き波で砂がさらわれる。そこにトーチカも引っ張り込まれることを繰り返し77年でここまで来ているのではないかと思う」

トーチカは敵に見つからないように土に埋もれるように造られますが、波や風でコンクリートが露出したものが多く、崩落したものも少なくありません。小野寺さんは、戦時中の記録や情報提供を手掛かりに埋もれたトーチカを見つけ出し、20年以上かけて撮影した写真や位置をまとめて道内のトーチカ95基の報告書を自費出版しました。トーチカは、アメリカ軍の上陸が予想された北海道東部から苫小牧市までの沿岸部で多く見つかりました。

設計工房アーバンハウス 小野寺一彦さん
「ネットでは戦跡マニアや廃虚マニアが投稿しているが、明らかに違うものもトーチカとして公表している人たちもいたから、整理したほうがいいかなと思った」

 2008年、伐採作業中に土に埋まった状態で見つかったトーチカです。

設計工房アーバンハウス 小野寺一彦さん
「きれいに(型枠の)木目が残っている。これちょっと見てください。木があるでしょ、板が。型枠なんですよ。それを全部取らないうちに終戦を迎えた」

77年前のままの状態で残るトーチカ。天井には…。

設計工房アーバンハウス 小野寺一彦さん
「当時の人の、作った人の跡が残っているんですよね。そういう人たちはどんな思いで造ったんだろうというのが先に来た。すごい迫力でしょ?こういうものが大樹町にあるということが重要であって、平和や戦争に対する歴史教育が、戦争遺跡があることでできるのではないか」

戦争を語り継ぐ場として活用すべきだと訴えています。

 根室市では、トーチカより古い戦争遺跡の保存が議論されています。「陸揚庫(りくあげこ)」です。

根室市 谷内紀夫北方領土対策監
「これはケーブルピットと言っているが、ここから海底電信線が海の方に敷かれていった」

1900年(明治33年)、根室と国後島との間に海底電信線が敷かれ、1935年(昭和10年)には電話が開通します。根室から択捉島北端まで、総延長およそ450キロの電信線は、通信インフラとして北方領土の人々の暮らしを支えてきました。

「陸揚庫」は、1935年ごろに建てられたとみられる海底電信線と陸の電線をつなぐ中継施設です。120年前に敷かれた海底電信線も残っています。

根室市 谷内紀夫北方領土対策監
「ソ連軍が1945 年、択捉島に8月28 日、国後島に9月1日侵攻し上陸した。上陸直後の島の緊迫した状況が各村の役場から根室側に電報で伝えられた」

(1945年8月29日 午前1時30分の電報~訳文~)
「8月28日正午、ソビエト軍艦2隻 留別(るべつ)に上陸せり(中略)電信不通詳細分明(ぶんめい)ならず ソビエト軍艦は尚滞在中」

根室市 谷内紀夫北方領土対策監
「この海底電信線と陸揚庫を経由して届けられた。歴史的な出来事の証人のような施設」

2021年10月には、国の登録有形文化財に登録されました。いま、コンクリートの劣化を調査するなど保存の準備が進められています。

根室市 谷内紀夫北方領土対策監
「今後返還運動や北方領土学習のきっかけになるような建物として、きちんと物語も含めて伝えていける施設にしたい」

▽スタジオ補足
●根室市の「陸揚庫」…民間から買い取り「所有」し登録有形文化財に登録され、保存に向け調査を実施中。
●大樹町の「トーチカ群」…所有していた旧日本軍が消滅、譲渡手続きができず。大樹町は24基あるうちの1基だけを「管理」するにとどまる。


#北海道 #ニュース #HBC #戦後 #終戦

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